琥珀色の戯言

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ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論 ☆☆☆

ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論

ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論

内容紹介
国を守る最後の手段を、一人の男が教えてくれた。
彼の名は、来島恒喜――。
もう政治家も官僚も頼りにならないなら、国民自身の手でなんとかするしかない!


TPPとは、逃げ道なき過酷な“経済戦争”である。
もともと4つの小国(シンガポールブルネイ・チリ・シンガポール)が2006年に締結した自由貿易条約であるTPP。それを、2010年「5年間で輸出倍増」計画を掲げリーマン・ショック後の大不況克服を目論むアメリカ・オバマ政権が乗っ取ってから、話はおかしくなった。アメリカはTPPを使って、日本の市場と日本人の財産を手中に収めることにターゲットを絞ったのだ。日本がTPPに加入すれば、貧困がさらに拡大するばかりでなく、悪魔の条項「非関税障壁の撤廃」で、日本文化は完全に破壊される――。TPPに賛成するマスコミは1%の富裕層のためにウソを垂れ流すデマ拡声器にすぎない! 民主党だけでなく自民党の中にも賛成者は多数、存在する。いま気づかなければ、日本は亡くなるのだ。
まだ間に合う。戦争に賛成する国会議員を落選させよ!

最近僕は、TPP関連書籍をよく読んでいます。
自分の仕事にはあんまり関係ないだろうし、まあ、日本の輸出を増やすためにはいいんじゃない?なんて思っていたのですが、知れば知るほど、TPPに参加することは、大部分の日本人にとっては「自分の首を締める行為」だと感じるようになりました。
この本では、小林さんが、TPPの危険性について、「ゴーマンかまして」いるわけですが、小林さんが「少しでも早く声をあげたい」と、この作品を描かれた意気込みは凄いです。
しかしながら、作品としては、これまでの『ゴーマニズム』シリーズのなかで、一二を争うクオリティの低さ。
170ページで1500円の本なのですけど、同じ内容が何章にもわたって繰り返して描かれてますし、「TPPは怖い!」「アメリカの侵略行為だ!」と煽りまくっているわりには、「じゃあ、TPPに日本が参加したら、具体的にどんなことが起こるのか?」という具体的な見通しに乏しいんですよね。
いや、小林さんがウソをついているというわけではなくて、TPPは日本の一般市民にとって(いや、実際はアメリカの一般市民にとってさえ)ほとんどメリットがないんですよね。
TPPで笑うのは、アメリカと日本、両国のごく一握り(1%)の「富裕層」のみ。


しかし、この本でいちばん気になったのは、

国を守る最後の手段を、一人の男が教えてくれた。
彼の名は、来島恒喜――。
もう政治家も官僚も頼りにならないなら、国民自身の手でなんとかするしかない!

この「来島恒喜」という人への手放しの賞賛でした。
うーん、小林よしのりは、テロリズムを肯定するのか?
「国民自身の手でなんとかするしかない!」というのは、「みんなテロをやれ!」と煽っているように聞こえます。
テロリズム」=「絶対悪」だとばかりは言い切れない場面が、歴史にはあるのかもしれません。
でも、この来島さんの場合は、本当に「テロしか方法がなかった」のだろうか?
影響力がある人だけに、小林さんには、安易にテロを肯定してほしくない、と思うのです。

 こんな「デフレ期」に、TPPによってさらに貿易自由化を進めたら、さらに安い商品が入ってきて、国内の産業が入ってきて、国内の産業が対抗できず人件費を下げ、失業者が増え、さらにデフレは進行する。
 企業だけはハケンとバイトとリストラと工場の海外脱出でコストを削減して設けるからGDPだけが上がるかもしれない。
 だが、国民は豊かにならない!
 日本の中の1%程度の企業家と株主だけがどんどん豊かになるのだ。

 そもそも「日本は貿易立国」というのは間違いである。
 輸出依存度は韓国43.3%、中国24.5%に対して、日本はわずか11.4%という内需大国である。
 当然内需に関わる人の方が圧倒的に多い。
 GDPの1割ちょっとしかない輸出企業がいくら儲けたところで、たかがしれている。

いやほんと、TPPの「怖さ」を伝えるための手段をして、マンガの力は、けっこう大きいと思うのです。
いろんな本が出ていますが、やっぱりちょっと敷居が高かったから。


でも、やたらと「国」とか「公」とかを持ち出し、自己犠牲を称揚してアジる小林さんの表現方法に僕は食傷気味だということも、この本を読んでわかってきました。
「戦争論」のときは、すごく「納得できた」のだけれど、いまは、「小林さんは何と戦っているのだろう?」と感じることが多いのです。

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