琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

「バカの釣り堀」で釣られた話

参考リンク:バカの釣り堀 - 北沢かえるの働けば自由になる日記
↑のエントリを読んで、もう30年以上も昔のことを思い出してので書いてみます。


僕が子どもの頃は、「駄菓子屋」って子どものパラダイスだったんですよ。
50円とか100円とか、おこずかいをもらって、友達と駄菓子屋に行き、アイスやジュース、お菓子をかって飲み食いする。
そして、外に遊びに出かける。
昔からインドア系少年だった僕にも、そんな時代はありました。


当時の駄菓子屋の「名物」のひとつに、「メンコ」があったのです。
20円(たぶん)一袋で、中には「おにぎりせんべい」くらいのメンコ(ウルトラマンの怪獣が描かれている)が入っているのですが、そのメンコのなかに「あたり」があるのです。
「あたり」を引くと、ふだんの袋に入っているよりも、はるかに大きな「スペシャルメンコ」をもらえるのです。
「1等」「2等」など、いくつかの等級があるのですが、なかでも「特等」は、僕たちの憧れでした。
「特等」は、直径30cmくらいあって、勝負でも、風圧で相手のメンコをひっくりかえせるし、こちらがひっくり返るリスクはほとんどありません。
まあ、子どものことですから、実際はあれこれ手練手管をつかって、特等の巨大なメンコを取ったり取られたりもしていたのですけど。


ある日、行きつけの駄菓子屋に行くと、メンコくじの箱の中に、10個ほどの袋が。
そして、景品コーナーには、「特等」のメンコが鎮座していました。
これは……ビッグチャンス!!
いくら日頃くじ運が悪い僕でも、このシチュエーションなら、「全部買い占めれば、特等が当たる!」


ちょうど、なんとか10個買い占められるくらいのお金を持っていたんですよね。
で、こんな大金を一挙に投下していいのか、とは思ったものの、「負けない勝負」ですから、思い切って、その場にあるメンコくじを全部買ってしまいました。


そして、袋をあけて、ひとつひとつ確認していったのですが……
ない!「特等」と書かれたメンコが、ひとつもないっ!おかしい!
僕は半泣きになりながら、駄菓子屋のおばちゃんに抗議しました。
なぜ、この中に「特等」がないのか?


おばちゃんは、「いやー、残念だったねー」と誤魔化すばかり。
たぶん、あらかじめ抜いてたんですね、「当たり」を。


いま思い出すと、それこそまさにおばちゃんの「戦略」だったわけですが、これをいまだに覚えているということは、当時の僕にとっては、ものすごくショックな出来事だった、ということなのでしょう。


しかし、長期的な損得でいえば、このとき学んだことはかなりプラスになっていると思うのです。
もしかしたら、こういう経験が、人を少しだけ利口にするのかもしれません。
とはいえ、「だから、積極的に騙されろ」というわけにもいかないのだけれども。

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