琥珀色の戯言

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マイ・バック・ページ ☆☆☆


マイ・バック・ページ [DVD]

マイ・バック・ページ [DVD]

「週刊東都」の新米記者、沢田(妻夫木聡)は新左翼運動への取材を通じて活動家たちに共感を抱きながらも、ジャーナリストとして客観性を保たなければならない立場との間に葛藤する日々を送っていた。1971年のある日、彼の所に活動家を名乗る梅山(松山ケンイチ)という青年が接触してくる。自分は「京西安保」の幹部であり、武装決起を起こすなどと語るその言葉は、いずれも真偽定かならぬものがあったが、宮沢賢治を愛読し、CCRの『雨を見たかい』をギターでつま弾く姿に、沢田は親近感を覚えていく。やがて梅山は学生仲間を引き込んで「赤邦軍」なる組織を作ると、自衛隊基地を襲撃して武器を奪うという計画を立てる。計画を明かされた沢田は自分に独占取材させてくれと頼み、事件に巻き込まれていくことになる。

 自宅でDVDを鑑賞。
 正直、前半はけっこう退屈で、「これ、2時間20分も観られるかなあ……」と挫折しそうでした。
 でも、梅山が出てきてからは、なんとなく引き込まれていって、終わりまで一気に鑑賞。


 なんというか、すごく重苦しい雰囲気に満ちた映画なのですが、これを「若気の至り」で片づけていいのかどうか、僕にはわからないのです。
 沢田は、なぜあんな「活動家」に共感してしまったのか?
 そもそも、梅山は、何と闘おうとしていたのか?
 「何と闘うか?」がわからないまま、「何かと闘わなくてはならない」「何かと闘う自分を他人に見せなくてはならない」、そんな強迫観念に駆られた男と、闘えない自分自身と、闘おうとしない周囲の大人たちの板挟みになって、意地を張ってしまった男。
 この映画を観ながら、僕は内心、「沢田、ガキだなあ……」と毒づいていました。
 でも、沢田の周囲のマスコミの「大人たち」がやっていたことは、果たして、正しかったのかどうか?
 「マスコミによる社会正義の実現」を語りながら、実際にそれが暴力として形になってしまうと、保身に走ってしまうような人間が、「若気の至り」を嘲笑う。
 うーん、なんというか、苦い映画ですね……


 このDVDを観たあと、Wikipediaなどで調べてみたのですが、原作『マイ・バック・ページ』は、映画評論などで知られる川本三郎さんの自叙伝を映画化したもので、沢田=川本さんなんですね。赤邦軍にも、『週刊東都』の表紙モデルだった倉田眞子さんにも、モデルとなった実在の団体や人物が存在します。
 倉田さんって、「映画を華やかにするためにつくられた女性キャラ」だとばかり思っていました。
 若くして亡くなられたというのも事実だったとは……


 この映画、妻夫木さんと松山さん初の共演ということで話題になったのですが(というか、それ以外ではほとんど話題にならなかった、と言うべきかもしれません)、この2人の演技、なかなかの見ものでした。
 途中までは、「カリスマ性と胡散臭さを併せ持った活動家・梅山役の松山さんが「いい役」を獲って、「良い子」っぽい沢田役の妻夫木さんは、ちょっと損したかな、と思いながら観ていたのですが、終盤の妻夫木さんの存在感、とくにラストはけっこう印象的でした。

 
 なんというか、「人生には、正解のない選択肢のなかから、どれかを選ばなければならないことがあるのだ」ということを痛感させられる映画ですね。
 いや、もしかしたら、そんなことばかりなのかもしれない。


 観終えたあと、ひたすら、もやもやするばかりだし、けっして面白くもなければ得した気分になれるわけでもないのですが、けっこう良い映画なんじゃないかな、と僕は思います。
 いやほんと、「実話」っていうのは、もやもやするものだよね……
 

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