あらすじ: 人類が長年にわたって追い続けている、人類の起源にまつわる謎。地球で発見された古代遺跡から、その答えがあるかもしれない未知の惑星の存在が浮かび上がる。科学者たちを中心に編成された調査チームは、宇宙船プロメテウス号に乗り込んで問題の惑星へと向かう。惑星にたどり着いた彼らは、人類のあらゆる文明や常識を完全に覆す世界を目の当たりにして息をのむ。誰も到達できなかった人類誕生の真実を知ろうとチームの面々が探査に没頭する中、思いも寄らない事態が迫ろうとしていた。
2012年26作目の映画館での鑑賞。
18時台の回で、2D字幕版を観ました(吹替えがかなり酷いことになっているという噂を耳にしたので)。
観客は、僕を含めて中年男性が3人。
うーん、こんなもの、なんだろうなあ。
そもそも、『アベンジャーズ』や『るろうに剣心』よりも『プロメテウス』というのは、ちょうど僕くらいの中年男、『エイリアン』直撃世代かリドリー・スコット監督信頼派くらいかもしれないし……
冒頭の理解困難なDNAが出てくる場面をみて、「うわー、『SFツリー・オブ・ライフ』引いちまったか?」とすごく不安になったのですが、その後はとくにわかりにくいところもないSF映画。
でもまあ、この映画、とにかくツッコミどころ満載なんですよ。
「人類の起源」を探索にきたはずの研究者チームのはずなのに、学術的な調査の鉄則を無視して現場を踏み荒らし、余計なことをして酷い目に遭いまくります。
「もう怖いから自分だけ帰る!」って小学生かよ!しかもそんな怖がり人間は、自分たちだけで帰るよりは「みんなと帰ろうとする」か「しょうがないから、みんなと一緒にいる」だろ!
ああ、これぞまさに「ヤブヘビ」ってやつだな……としか言いようがありません。
人類の危機を救ったというよりは、「そもそもこんな連中を派遣したから、人類が危機に陥ったんじゃないか!」と。
防疫もセキュリティも適当で、船長も無責任極まりない。
この映画には、
人類の最大の謎、それは<人類の起源>
という大仰なキャッチコピーがつけられているのですが、肝心の「謎解き」も、「で、人類の起源の話じゃなかったの?」と呆れかえってしまいます。
作品中の重要な謎も、「そうか、あれは『○○○○』だったのか!」と、横溝正史シリーズなら「ちがいます」と金田一耕助に一蹴されてしまうような「ある人物の突然の思いつき」で解決!
誰もそれを「検証」しようとしない。
ええっ? マイコン時代のアドベンチャーゲームかよ……
『ポートピア連続殺人事件』のほうが、まだ筋道がしっかりしているんじゃないか?
ただ、この映画、「大真面目に観ると、『金返せ!』って気持ちが増幅される」のですけど、「この人たち、今度はどんなヘンなことやるのかな?」と思いながらみると、けっこうワクワクするんですよね。
理路整然としていないだけに、かえって「次に何が起こるんだろう?」という期待感はけっこうあるんだよなあ。
もう、「なんでもあり」ですから。
ところで、主演のノオミ・ラパスさんって、『ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女』でリスベット・サランデルを演じていた女優さんなんですね。
観終えたあとに知りました。同一人物が演じているとは思えないなあ。
ほんと、リドリー・スコット監督、いったいどうしてしまったんだ? と心配になるような映画ではあります。
あの時代には斬新でインパクトがあった『エイリアン』のデザインも、同じようなものを現代にもってくれば、今の観客は、良くいえば「レトロ感」、悪くいえば「古臭さ」しか感じない。
そんなの当然のことのはずなのに。
まったく予備知識なしに見せられて、10年前の映画だって言われても、信じますよ僕なら。
まあでもなんというか、『エイリアン』シリーズ大好きな人と、「壮大なネタ映画」マニアの皆様には、悪くない映画なんじゃないでしょうか。