琥珀色の戯言

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【読書感想】はるまき日記 ☆☆☆☆


はるまき日記: 偏愛的育児エッセイ

はるまき日記: 偏愛的育児エッセイ

内容説明
ドラマ化&アニメ化された『臨死!!江古田ちゃん』の瀧波ユカリはじめてのエッセイ集。2010年9月に生まれた娘、名付けて「はるまき」が、寝たきり乳児から走り回り乳幼児になるまでを描いた育児日記には、子育てものに欠かせない「かわいい?」や「共感しちゃう~!」は存在しません。その代わり、乳児を抱える新米夫婦の大いなる妄想や現実逃避、大人のホンネが満載! スリル満点のおむつ替え、新しい授乳法「おっパブ」の開発、乳児に向かって時には歌い踊り、時には淡々と説諭する夫。飲む出す吐くしゃぶる寝る泣くを繰り返すはるまきの、突然やってきた赤子の宇宙人感や赤ちゃん特有のむっちり感はたまりません。はるまきの成長とともにつづった爆笑の育児エンタメ・ノンフィクション! 書き下ろしの4コマ漫画も収録してます。

同じように「育児」をしてきた僕にとっては、なかなか興味深い一冊でした。
僕にとっては、息子が小さかった頃は、「夜泣きで眠れなかったなあ……」とか「オムツ替えるの大変だった……」というような、あまり好ましくない記憶が多いのですが、著者はこう書いておられます。

 オムツ替えは確かに面倒だが、「何が出るかな♪ 何が出るかな♪」的な楽しさがある。「ぱっぽん」なんて大仰な音がしたかと思いきや申し訳程度の量であったり(でも開いてしまったからしかたなく替える)、サイレントモードで排泄し続けたせいでオムツギャザーが悲鳴をあげるほどの惨事になっていたり、はるまきはこちらの予測を見事に裏切って攻撃してくる。オムツを開けた途端にこちらの服を狙って噴射をしてくることもある。夫は新しいオムツを盾にして、今まで3度の防衛に成功している。スリルだって満点なのだ。
 今日、ネットで「子供のオムツを替えるのがどうしても嫌なんだけどうしたらいい?」という父親からの相談を見つけた。彼に足りないのは、親としての意識とか子供に対する愛情とかではなく、人生を楽しむ才能だと思う。きっとオムツ替えを嫌がるような男とデートしてもつまらないだろう。オムツの中身を見ながら、一緒に心から笑ってくれる夫でよかった。

 これを読みながら、僕には「人生を楽しむ才能」が足りないのだなあ、と痛感しました。
 「オムツ替え」って、あんまり楽しいイメージが持てなかったのだけれど、そういうところに「人生への向き合い方」が反映されるのかもしれませんね。


 とはいえ、全く何の心配もなく……というわけにはいかず、ソファから落ちた「はるまき」にあわてた著者が『定本 育児の百科』で「落下事故」の項をひいた話も出てきます。
 この本には、まず最初に「1歳になるまでにどこかから落ちずにいられる赤ちゃんはほとんどいないし、落ちて命にかかわるということはそうそうないので安心しなさい」というようなことが書いてあった」そうです。
 いやほんとうに、「先達の知恵」というのはすばらしい。
 この項目を読むときのお母さんの心境がよくわかっているなあ、と感心しました。
 そして、多くのお母さんに、いきなり救急車を呼ぶ前に、この本を読んでいただきたい……


 著者の子育ては、もちろんいろんなトラブルがありながらも、「楽しく充実したもの」だったようです。
 夫もすごく協力的で、僕にとっては耳に痛いところもたくさんありました。
 ただ、それも著者が人気マンガ家、夫はIT系でほとんど自宅で仕事をしているからこそできるんじゃないか、とも思ったんですよね。
 そしてその「違和感」は、あの東日本大震災以降の内容で、どんどん大きくなっていきました。


 「子どもが心配だから」実家の北海道への移住を決意し、すぐに新しい住居を構えた著者一家。
 そうだよね、放射能が心配だからね……
 でもさ、大部分の日本人は「心配だから逃げる」わけにはいかないんだよね。
 僕自身は九州在住なので、震災にともなって移住を考えてはいませんでしたが、あの震災があまりに大きな出来事だっただけに、それに対する向き合い方は、人と人とのあいだに大きな断絶を生み出してしまったような気がします。
 著者だって、不安で、いたたまれなくて、「やれることをやっただけ」なのはわかっているつもりなのだけれど……

 今日から我が家は夏休みということにして、富良野へ出発。フラノラベンダーエクスプレスという電車で富良野へひとっ飛びし、「北の国から」資料館やチーズ工房などを巡る。はるまきはまったく乗り気ではなく、この日一番楽しそうだったのはホテルの部屋で『お○○さんといっしょ』を見ている時であった。

 子どもって、親が気合いを入れて「お出かけ」しても、こんな感じなんだよなあ、と頷いてしまいました。
 本当に「面白い子育て日記」なんですよこれ。
 ただ、それだけに、震災のときに、あまりにも「身軽」だった著者が妬ましくなってしまったのです。
 

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