琥珀色の戯言

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アウトレイジ ビヨンド ☆☆☆☆



あらすじ: 5年前、ヤクザ界での生き残りを懸け壮絶な権力闘争に明け暮れた暴力団「山王会」は関東の頂点を極め、政界にまで勢力を広げていた。彼らの壊滅を目指す刑事の片岡(小日向文世)は、関西最大の「花菱会」と対立させるべく策略を練る。そんな中、遺恨のある木村(中野英雄)に刺されて獄中で死んだはずの大友(ビートたけし)が生きていたという事実が持ち上がる。その後、出所した大友だったが……。

参考リンク:映画『アウトレイジ ビヨンド』公式サイト


2012年30本目の劇場鑑賞作品。
公開初日、世間は三連休初日の19時からの回を鑑賞。
観客は50人くらい、なかなかの盛況でした。


この映画、冒頭でまず驚いたのは、スタッフが真っ赤な文字で紹介されていったことでした。
しかも、監督とか主要キャストではなく、「照明」とか「撮影」、「キャスティング」なんていう裏方さんたちが、かなり目立つように紹介されていくのです。
これはなんというか、北野武監督なりの、「北野組」と観客へのメッセージなのかな、と。


そして驚いたのが、暴力団対策課の刑事2人が、冒頭にものすごく説明的な会話で、『アウトレイジ1』の概略と、その後の状況を観客に教える場面でした。
えっ、こういう「説明的なセリフ」って、映画のセオリーでは「好ましくないもの」なんじゃないの?
ある意味、開き直ってしまったかのような説明っぷり!
この『ビヨンド』は、前作『アウトレイジ』を観ていないと話についていくのは難しい(というか、十分に楽しめない)映画だと思うので、しょうがない面はあるんですけどね。
これから観に行かれる方は、ぜひ前作を予習しておいてください。


前作は、椎名桔平さんの「処刑」シーンとか、「うわこれはグロいな……」と感じるシーンが多かったのです。
でも今回は、やっぱりドンパチは多いですし、銃声にドキッとするところもあったのですが、「こりゃ見ちゃいられない」というシーンは少ない感じでした。
演出がおとなしくなってというよりは、「これは、銃を誰かにつきつけたら、容赦なく引き金を引く映画なのだ」という覚悟をして見るようになった、つまり、観客が「学習」している影響が大きいのかもしれません。
ストーリーは、「謀略と暴力の連鎖」で、やっぱり人が死にまくります。
「なんでそんな行動を……」とか、「これ警察が見たら怒るのでは……」と思うようなところもあるのですけど、そのくらいの「フィクションらしさ」が、たぶん、この映画にはちょうどいい。
「リアルな暴力」を見せる一方で、「これはあくまでも映画だからな!」というサインも観客には送られているのです。
そもそも、サイレンサーくらいつけるだろ、と。


ストーリーの話をあれこれするとネタバレになって面白くないのでやめておきますが、あのオチには驚きました。
というか、「これ、オチてない」のではないか、と唖然としましたし、スタッフロールが流れ始めた館内には「あれ?」という空気が充満していました。
ただ、僕はあれって、肩すかしであるのと同時に、すごいカタルシスもあったなあ、と感心してしまったんですけど。


あとは、「ブラック三浦友和」に前作ほどの迫力がなかったのが残念なのと、「なんだこの『ダンガンロンパ』は……」というシーンが印象的でした。
今回は西田敏行さんがダークだったな……


最後にネタバレで、あのラストシーンを観てひとこと(たぶんほとんどの人が、何のことだかよくわからないと思いますが……)
 大友、ロイエンタールかよっ!

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