琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

007 スカイフォール ☆☆☆☆



あらすじ: MI6のエージェントのジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)は、NATOの諜報(ちょうほう)部員の情報が記録されているハードドライブを強奪した敵のアジトを特定し、トルコのイスタンブールに降り立つ。その組織をあと少しのところまで追い詰めるも、同僚のロンソンが傷を負ってしまう。上司のM(ジュディ・デンチ)からは、敵の追跡を最優先にとの指令が入り、後から駆け付けたアシスタントエージェントのイヴ(ナオミ・ハリス)と共に、敵を追跡するボンドだったが……。

参考リンク:映画『007 スカイフォール』オフィシャルサイト


2012年37本目の映画館での鑑賞作品。
19時からの会で、観客は10人くらい。時間帯もあってか、中高年の男性がほとんどで、女性はひとりだけでした。
僕はもともと『007』シリーズにそんなに思い入れはないのですが、今回オープニングで、ちょっと、がっかりしたんですよね。
あれ?あの『007のテーマ』ジャンジャジャジャンジャンジャンジャン ジャンジャラジャンジャンジャンジャンジャンが、無い……
スター・ウォーズ』と一緒で、このシリーズは、とにかく最初のアレがないと盛り上がらないのに……


冒頭のアクションシーンは、ものすごく派手、というわけではないのですが、ギリギリのリアリティがあって(とはいえ、あんな目立つエージェントがいてもいいのか?とは思いますけど)、かなり見ごたえがありました。
なんかこう、痛みが伝わってくるような、アクションなんだよなあ。


今回の『スカイフォール』のテーマは、「仕事を遂行するために私情を捨てること」と「人として、仲間としての愛着」の衝突にあります。
多くの仲間の命を助けるためのデータを取り返すために、目の前の仲間を見捨てるのは「正しい」のか?
なんだか、サンデル教授の講義のような話ではありますね。


観ていて、「なんかわざわざ問題をややこしくしているんじゃないか、この人たち……」とまどろっこしくなる場面もあるのですが、全体に流れている哀愁というか、これまでの『007』シリーズに対する惜別の念と、新しく生まれ変わらなければ、もう続けていくのは難しいという覚悟が、この作品を引き締めているのです。
さんざん「マンネリ化」を指摘されていながら、変わってしまうと「らしさが無くなった」と批判されてしまう『007』シリーズ。
この『スカイフォール』は、いろんな意味で、「これまでの集大成」であり、「区切り」のように思われます。
これでシリーズが終わってもみんな納得するだろうし、新しい『007』の幕開けにも見える。
結局は、この作品がヒットするか否か、にかかっているのかもしれませんが。
オープニングで「あれ?」と感じたのですが、クライマックスでは、オールドファンが思わずにやけてしまうような場面も、ちゃんと用意されています。


ところで、僕にとってのジェームズ・ボンドは、長年ロジャー・ムーアだったのですが、ダニエル・クレイグさんって、僕的には、「ロジャー・ムーア超えのボンド」なのです。
僕がダニエル・クレイグさん好きだからかもしれませんが、この人の「色気」と「冷静さ」、そして「渋み」のバランスっていいですよね。
今回は、敵役に『ノーカントリー』のハビエル・バルデムさんがキャスティングされています。
相変わらずの「怪演」っぷりなのですが、こういう「ちょっとサイコ系の悪」役に、まったく違和感がなくなってしまっているというのは、まさに時代なんでしょうね。


今作では、「いまのようなネット社会に、身体を張るエージェントが必要なのか?」「それは人命軽視なのではないか?」という問いかけもなされています。
僕も確かに、そんな気もするんですよ。
いまや、戦闘機だって、操縦者は基地から遠隔操作している時代ですし。


それに対して、「そんな時代だからこそ、身体を張るエージェントの存在が大事なのだ」と主張するM。
これは、MI6だけではなく、いま、あるいはこれから世界中で問われていくことなのでしょう。


ところで、この『スカイフォール』、イスタンブールからはじまり、日本の軍艦島でもロケが行われているようなのですが、いちばん印象的だったのは、中国・上海の夜景のシーンでした。
ああ、中国はこんなに都会になったんだなあ(もちろん、上海は中国のなかでも発展が著しい都市ではあるんですけどね)。
先日の『ミッション・インポッシブル』ではドバイ超高層ビルが舞台になっていましたが、いまや、ハリウッド映画は「異国情緒」を求められるロケ地として、日本より中国、ドバイを選ぶのだなあ、なんて、あらためて考えてしまいました。


最近の(ダニエル・クレイグ主演以降の)『007』くらいは観ておいたほうが楽しめるのは間違いありませんが、この作品が「最初の『007』」でも、それなりに面白いのではないかと思います。


『007』って、なんとなく観に行って、まあこんなものかと可もなく不可もなくみたいな感じで帰ってくることが多いのですが、今回は帰りながら何度もあのテーマ曲を口ずさんでしまったものなあ。
これなら、次回作もけっこう楽しみです。

アクセスカウンター