琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

『琥珀色の戯言』 BOOK OF THE YEAR 2012

今年も残り少なくなりました。
恒例の「今年僕が面白いと思った本ベスト10」です。

いちおう「ベスト10」ということで順位はつけていますが、ジャンルもまちまちですし、どれも「本当に多くの人に読んでみていただきたい本」です。
2012年に発売されたものではない本も含まれていますが、「このブログで2012年に紹介した本のなかで」ということで。
(ちなみに、このブログで2012年中(12/26まで)に感想を書いた本は、241冊。ちなみに去年は155冊、一昨年は146冊だったので、かなり増えました。
読書量が増えた、というよりは、このブログに本の感想中心に書くようになったためだと思われます。
いままでずっと1年の半分以下だったので、実際に数えてみて、けっこう驚きました。


今年は、ちょっと短めにまとめてみました(毎年「このエントリ長すぎ!」って言われるので)



まず、10位から6位まで。


<第10位>僕と日本が震えた日

僕と日本が震えた日 (リュウコミックス)

僕と日本が震えた日 (リュウコミックス)

内容紹介
2011年3月11日。この日の衝撃は、実際に被災地に身を置いていた人たちばかりではなく、その被害映像を目にした世界中の人間たちの心をはげしく振るわせた。ドキュメンタリーコミックの第一人者である鈴木みそが、まずは自分の周りから取材を広げていきながら、今回の震災が浮き彫りにした現代日本の「日常」を描き出していく。 「都市被災編」「書籍流通編」「先端科学編」「日本経済編」「食品汚染編」「東北取材編」の6編に加え、ガイガーカウンターの利用方法をまとめた漫画「放射線の正しい測り方」2編も収録。


この本の詳しい感想はこちらです。


現時点でいちばん読みやすい「放射線の基礎知識の本」だと思います。



<第9位>「当事者」の時代

「当事者」の時代 (光文社新書)

「当事者」の時代 (光文社新書)

出版社/著者からの内容紹介
私は2009年夏、『2011年新聞・テレビ消滅』(文春新書)という本を上梓し、そのなかでマスメディアがなぜ立ち行かなくなっているのかをビジネス構造の観点から論じた。なぜビジネス的に描いたかと言えば、それまで出回っていたマスメディア論の多くが、「日本の新聞は言論が劣化している」「新聞記者の質が落ちている」といった情緒論ばかりだったことに辟易していたからである。そうした情緒論ではなく、純粋にビジネス構造の変化からマスメディアの衰退を論じようとしたのが同書だった。
本書はその続編に当たる。今回はビジネス論ではなく、ただひたすらその言論の問題を取り上げた。しかし私は巷間言われているような「新聞記者の質が落ちた」「メディアが劣化した」というような論には与しない。そんな論はしょせんは「今どきの若い者は」論の延長でしかないからだ。
そのような情緒論ではなく、今この国のメディア言論がなぜ岐路に立たされているのかを、よりロジカルに分析できないだろうか----そういう問題意識がスタート地点にあった。つまりは「劣化論」ではなく、マスメディア言論が2000年代以降の時代状況に追いつけなくなってしまっていることを、構造的に解き明かそうと考えたのである。
本書のプランは2009年ごろから考えはじめ、そして全体の構想は2011年春ごろにほぼ定まった。しかしその年の春に東日本大震災が起き、問題意識は「なぜマスメディア言論が時代に追いつけないのか」ということから大きくシフトし、「なぜ日本人社会の言論がこのような状況になってしまっているのか」という方向へと展開した。だから本書で描かれていることはマスメディア論ではなく、マスメディアもネットメディアも、さらには共同体における世間話メディアなども含めて日本人全体がつくり出しているメディア空間についての論考である。


この本の詳しい感想はこちらです。

みんなが「マイノリティの立場を代弁」して「ツッコミ」になっている時代への警告の書。

 当事者であることを引き受けるというのは、途方もなく重い人生を背負うということと裏腹だ。

それでも、自分の人生の「当事者」であることからは、逃げられないのも事実です。



<第8位>政府は必ず嘘をつく

内容紹介
3・11以降、原発事故・放射能問題からTPPまで、政府や東電、大手マスコミの報道は隠ぺいされたり、偏った見方が蔓延るなど、国民に真実が知らされない中で、洪水のように情報が発信されている。
アメリカでは9・11の同時多発テロ以降、大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義ショック・ドクトリン」によって貧困格差が拡大し続けている。


何が本当なのかが信じられなくなった今、どうすれば私たちは真実を手にできるのか。

著者は日本国内の状況を追いながら、並行して貧困大国化するアメリカに何度も足を運び取材した。

アメリカで目にした惨状、日本に帰るたびに抱く違和感は、やがて1本の線としてつながる。

それは、3・11後の日本の状況が、9・11後に格差が拡大していったアメリカの姿に酷似し始めているということだ。

そして、その背景にあるものは、中東の春やTPPなどと、同一線上にあるものだった。

「情報が操作され、市場化の名の下に国民が虐げられているアメリカの惨状を見るにつれ、このままでは日本が二の舞になる」と警告。

今こそ、自らが考え、行動し、真実を見抜く目を持つことの意義を問いかける。

この本の詳しい感想はこちらです。


僕にとっては、「いままで知らなかった、世界の現実」を教えてくれる一冊でした。



<第7位>64(ロクヨン

64(ロクヨン)

64(ロクヨン)

内容紹介
D県警の広報が記者クラブと加害者の匿名問題で対立する中、警察庁長官による、時効の迫った重要未解決事件「64(ロクヨン)」視察が1週間後に決定した。たった7日間しかない昭和64年に起きたD県警史上最悪の「翔子ちゃん誘拐殺人事件」。長官慰問を拒む遺族。当時の捜査員など64関係者に敷かれたかん口令。刑事部と警務部の鉄のカーテン。謎のメモ。長官視察の日に一体何が起きるのか? 組織対個人。驚愕の長編ミステリー。


この本の詳しい感想はこちらです。


今年の「小説」では、これを1位にしました。
『楽園のカンヴァス』『犯罪』も捨てがたかったのですが。



<第6位>オタクの息子に悩んでます

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

内容紹介
人生相談に役立つ思考ツール
●分析 エビデンス=証拠を求めながら、相談を読み解く
●仕分け 解決可能な項目と解決不能な項目に分ける
●共感 相談者の感情を共有する
●フォーカス 具体的な行動を提示する
●ピラミッド 構成要素を図解する ……etc.


父親が大嫌い、Twitterで悪口を書かれた、女優と結婚したい……こうした悩みを打ち明けられたとき、どんなアドバイスができるか。朝日新聞beの人気連載「悩みのるつぼ」で、誰よりも相談者の気持ちに寄り添い、「役立つ回答」を編み出し、読者や相談者本人から絶大な信頼を誇る著者が、「回答」に辿り着くまでの思考経路を一挙に公開。人生相談と本気で格闘することで、問題解決のための分析力、思考力が身につく、画期的な書。


この本の詳しい感想はこちらです。


「日本の悩み相談界を劇的に変えた」一冊。
”同じ温度の風呂に入る”ことって、大事ですよね、とても難しいけれど。




続いて、1位〜5位です。


<第5位>僕たちのゲーム史

僕たちのゲーム史 (星海社新書)

僕たちのゲーム史 (星海社新書)

内容説明
本書は、ゲームと共に生きてきた「僕たち」のための本です
僕たちの暮らしの中にゲームが登場して、30年ほどの時が流れました。本書ではその歩みを辿ってゆきますが、ソフトの売り上げ、あるいはハード戦争といった事柄に重心を置いた記述はしていません。なぜなら、日本のゲームは、「ボタンを押すと反応する」という基本を巧みにアレンジしつつ、一方で「物語」との向き合い方を試行錯誤してきた歴史を持っているからです。このような視点でゲーム史を編むことで、「スーパーマリオのようなゲームはもう生まれないのか?」「最近のゲームはつまらなくなったのでは?」といったあなたの疑問にもお答えできるようになりました。さあ、ゲーム史をめぐる冒険の旅に出ましょう!


内容(「BOOK」データベースより)
スーパーマリオはアクションゲームではなかった。誰も知らなかった、僕たちとゲームの30年史がここにある。


この本の詳しい感想はこちらです。


日本の「ゲームを語る視点」を変えた一冊。
まさに「ゲームと共に生きてきた『僕たち』のための本」でした。



<第4位>藝人春秋

藝人春秋

藝人春秋

内容紹介
人気漫才コンビ・浅草キッドの一員であり、芸能界ルポライターをも自任する水道橋博士。現実という「この世」から飛び込んだ芸能界という「あの世」で二十数年を過ごす中で目撃した、巨星・名人・怪人たちの生き様を活写するのが『藝人春秋』です。
たけし軍団の先輩、そのまんま東が垣間見せた青臭すぎるロマンチシズムを描きだす。古舘伊知郎の失われた過激実況に、過激文体でオマージュを捧げる。苫米地英人湯浅卓の胡散臭すぎる天才伝説に惑乱させられる。稲川淳二が怪談芸を追い求める、あまりに悲劇的な真の理由に涙する。
爆笑問題草野仁石倉三郎テリー伊藤ポール牧、三又又三、ホリエモン……選りすぐりの濃厚な十五組。
中学時代の同級生・甲本ヒロトのロック愛に博士自らも原点を見出すエピソードは、感動的ですらあります。
そしてその原点・ビートたけし松本人志という、並び立たぬ二人の天才が互いへの思いを吐露した一瞬に見える、芸人の世界の業の深さよ。博士が「騙る」暑苦しく、バカバカしく、そして少し切ない彼らの姿からは、「父性」を乗り越えようとする男の哀しい物語が浮かび上がり、その刹那「藝人」は「文藝」をも超えてゆきます。
電子書籍で話題沸騰した作品を完全全面改稿・加筆し、博士生誕五十年を(自分で)記念する、渾身の一冊です。


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まさに渾身の「藝人絵巻」。
稲川淳二さんと児玉清さんの話はとくに印象的でした。
これほど笑わされ、泣かされる本はめったにありません。


<第3位>あんぽん 孫正義

あんぽん 孫正義伝

あんぽん 孫正義伝

内容説明
ここに孫正義も知らない孫正義がいる


今から一世紀前。韓国・大邱で食い詰め、命からがら難破船で対馬海峡を渡った一族は、豚の糞尿と密造酒の臭いが充満する佐賀・鳥栖駅前の朝鮮部落に、一人の異端児を産み落とした。
ノンフィクション界の巨人・佐野眞一が、全4回の本人取材や、ルーツである朝鮮半島の現地取材によって、うさんくさく、いかがわしく、ずる狡く……時代をひっかけ回し続ける男の正体に迫る。
“在日三世”として生をうけ、泥水をすするような「貧しさ」を体験した孫正義氏はいかにして身を起こしたのか。そして事あるごとに民族差別を受けてきたにも関わらず、なぜ国を愛するようになったのか。なぜ、東日本大震災以降、「脱原発」に固執するのか――。
全ての「解」が本書で明らかになる。


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週刊朝日』では、橋下大阪市長のことで、大問題を引き起こしてしまった佐野眞一さんですが、この『あんぽん』は、とにかく「気迫が伝わってくるノンフィクション」でした。
とうか、佐野さんにここまで書かせた孫正義さんも凄い!



<第2位>評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」

評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」

評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」

内容紹介
消しゴム版画家・ナンシー関の死から10年。だが、その文章は一向に色あせることはない。いとうせいこうリリー・フランキーをはじめ、ナンシーの文章に影響を受けたという宮部みゆきなど、多くのインタビューで重層的に希代のコラムニストの真実に迫る。


内容(「BOOK」データベースより)
青森から上京してきた18歳の予備校生は、どのようにして、消しゴム版画家にして名コラムニストとなったのか。他の追随を許さない鋭い批評眼は、いかにして生まれたのか。なぜ、魅力的で非凡な文章を書き続けることができたのか。ナンシーを知る人たちへのインタビューとともに、彼女自身の文章に垣間見えるいくつもの物語を紐解きながら、稀代のコラムニストの生涯に迫る。


この本の詳しい感想はこちらです。


没後10年。
結局、ナンシー関が抜けた穴を埋める人は、まだ出てきていません。
リアルタイムでは、この人のすごさを理解できてなかったよなあ。



<第1位>ルポ 子どもの貧困連鎖

ルポ 子どもの貧困連鎖 教育現場のSOSを追って

ルポ 子どもの貧困連鎖 教育現場のSOSを追って

内容(「BOOK」データベースより)
駅前のトイレで寝泊まりする女子高生、車上生活を強いられる保育園児、朝食を求めて保健室に行列する小学生…大人たちからハンディを背負わされた子どもに今、何が起きているのか。


この本の詳しい感想はこちらです。


「どうせ、親が悪いんだろ」
 僕もそう思っていました。
 この本を読んでいていたたまれなくなるのは、必ずしも、親の問題だけが、「子どもの貧困」の原因ではないということです。
 親も生活が苦しいなか一生懸命働いていているにもかかわらず、生活はラクにならず、子どもにもしわ寄せがいっているという家庭が少なくないのです。
 子どもがいることによって、仕事がなかなか見つからない場合もあります。


 とにかく、「生きていくことに精一杯で、義務教育レベルでさえ、まともに受けさせられない」。
 仮に授業料が免除されても、子どもを通学させるためには、たくさんのお金がかかります。
 いまの日本では、レールからちょっと外れてしまうだけで、「普通に子どもを育てること」さえ、難しくなってしまうのです。


 「高齢化」による危機が叫ばれる一方で、「子どもの貧困」は、置き去りにされているような印象があります。
 ぜひ、多くの人に読んでいただきたい一冊です。




というわけで、『琥珀色の戯言』の2012年のベスト10でした。
今年は僕にとって、ある意味「電子書籍元年」になりました。
12月に入って、iPad miniで、電子書籍を何冊か読んでいるのですが、少し目が疲れるものの、なかなか快適です。
面白い本は、紙でも電子でも、やっぱり面白いし。
本で部屋が占拠されないというのが、こんなに便利だったとは。
これさえあれば、旅行に出かけるときに「こんなに本を持っていかないで、重い!」と怒られずにすみますし。
電池の問題というのはありますけどね、長旅や海外の場合は。


ただ、いまのところ、電子書籍はまだまだ最新刊に弱いのです。
「いま、読みたい本」が電子化されていない、ということが多いのはけっこうつらい。


おそらく、来年も「本の感想メイン」になると思います。
個人的な趣味が反映されまくっているラインナップですが、来年もよろしくお願いいたします。

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