琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

2013年「ひとり本屋大賞」発表

※これは僕が個人的に行っている企画で、「本屋大賞」を運営されている方々とは、何の関係もありません。念のため。


参考リンク:「本屋大賞」公式サイト
「2013年本屋大賞」は、本日、4月9日の19時から発表会が開かれます。


というわけで、今年も人の迷惑かえりみず、やってきました電線軍団!
もとい、「ひとり本屋大賞」!
僕が候補作全11作を読んで、「自分基準」でランキングするという企画です。
あくまでも「それぞれの作品に対する、僕の評価順」であって、「本屋大賞」での予想順位ではありません。
(「本屋大賞」の授賞予想は、このエントリの最後に書きました)


では、まず11位から4位までを。


第11位 世界から猫が消えたなら

世界から猫が消えたなら

世界から猫が消えたなら

世界から猫が消えたなら

世界から猫が消えたなら

↑の感想はこちら。
KAGEROU』も、書いたのが水嶋ヒロさんじゃなければ、あそこまでは叩かれなかったのかもしれませんね。



第10位 晴天の迷いクジラ

晴天の迷いクジラ

晴天の迷いクジラ

晴天の迷いクジラ

晴天の迷いクジラ

↑の感想はこちら。
なんだかさ、精神病の薬とか、産後うつとか育児ノイローゼとかを出してきたら「リアル」なんだと勘違いしているんじゃないか?
そして、彼らを「抑圧する側」の描写が、あまりにも極端で一方的なのも、なんだかとても読んでいて悲しかった。



第9位 きみはいい子

きみはいい子 (一般書)

きみはいい子 (一般書)

↑の感想はこちら。
うまいんだよなあ、本当に。
いまの子どもたちが置かれた状況の切実さも伝わってくる良作だと思います。
でも、何かもうひとつ足りなかったような気がしているのも事実なんですよね。



第8位 ふくわらい

ふくわらい

ふくわらい

↑の感想はこちら。
こんな女、いねーよ!って何度ツッコミを入れたことか。
でも、これまでの西さんの小説のなかでは、いちばん好きでもありました。



第7位 光圀伝

光圀伝

光圀伝


光圀伝 電子特別版 (中)<光圀伝> (角川書店単行本)

光圀伝 電子特別版 (中)<光圀伝> (角川書店単行本)

↑の感想はこちら。
個人的には「あまりに史実とかけ離れた話なのでは……」と思ったので、Wikipediaで調べてみたのだけれど、Wikipediaの範囲では、小説を読んでいて、「これは嘘だろ」と思ったところの多くが史実だったことに驚きました。



第6位 百年法

百年法 上

百年法 上


[asin:B00BAMJIWS:detail]
[asin:B00BAMJIRS:detail]
↑の感想はこちら。
「他人が長生きしすぎる世界」と「僕たちが長生きしすぎる世界」の間には、けっこう高い壁がある。
そんなことも考えさせられる作品でした。



第5位 屍者の帝国

屍者の帝国

屍者の帝国


[asin:B00BH70H4E:detail]
↑の感想はこちら。
僕はこの作品、「伊藤さんと円城さんの友情の物語」で底上げされて、あまりに過大評価されているのではないかと思ってもいるのですが、円城さんはそんな「作品の内容以外で語られること」を承知の上で、これを書いている節もあるんですよね。



第4位 楽園のカンヴァス

楽園のカンヴァス

楽園のカンヴァス


[asin:B009GDC1OA:detail]
↑の感想はこちら。
「ミステリ」としては、そんなに完成度が高いものではないのかもしれないけれど、それ以上に著者の「アートの魅力について語りたい」という情熱が伝わってくる作品。美術館が好きな人にはオススメです。



さあ、いよいよベスト3。


第3位 ソロモンの偽証

ソロモンの偽証 第I部 事件

ソロモンの偽証 第I部 事件

ソロモンの偽証 第II部 決意

ソロモンの偽証 第II部 決意

ソロモンの偽証 第III部 法廷

ソロモンの偽証 第III部 法廷

↑の感想はこちら。
出ました、宮部『ダンガンロンパ』!
これだけの長大な物語を読むのにかかる時間や手間、コストを考えると(読書っていうのは、コストとか言い出すとつまらなくなりがちなものではありますが)、「すごい作品だし、僕は読み終えられて満足なんだけど、他の人に『読んだほうがいいよ』と薦めるのには躊躇う」という感じです。
第3部の盛り上がりはけっこうすごいんだけどなあ。



第2位 海賊とよばれた男

海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 下

海賊とよばれた男 下

↑の感想はこちら。
この著者とタイトル、そして「『本屋大賞』ノミネート!」というのをみて、「うわ、また密漁の話か……」と、かなり憂鬱な気分になってしまったのですが、これは面白かった、というか素晴らしかった!
出光佐三という、「異端の起業家」の物語であるのと同時に、「働く」ということについて、問いかけてくる物語でもあるのです、これは。



第1位 64(ロクヨン)

64(ロクヨン)

64(ロクヨン)


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↑の感想はこちら。
後半、「これ、あまりに大風呂敷を広げすぎて、竜頭蛇尾に終わってしまう小説なのでは?」と思いながら読んでいました。
あれ、もう100ページもないよ!
でも、横山秀夫さんは、そこで読者を裏切るような仕事はしない作家さんですね。
すっきりしないからこそ、残る余韻もある。
人間ドラマとしても、ミステリとしても、すごく完成度の高い作品です。
単行本はけっこう分厚いので、「はじめてのKindle本」にいかがでしょうか(値段は紙の単行本とほとんど同じなんですが)。


以上、2013年「ひとり本屋大賞」の発表でした。
実際の「本屋大賞」の順位とのギャップを、どうぞお楽しみに!


今年の「本屋大賞」、「超大作が多いし、11作もある」ということで、かなり読み疲れました。
『ソロモンの偽証』とか、そりゃもうもちろんノミネートされてしかるべき良作なんだけれども、長い長い長い。
第3部の学級裁判は徹夜級なのです。でも、そこまで行くのがけっこう大変。
この本こそ、Kindle版が欲しかった……


その一方で、今年の候補作は「読みがいがある」作品が多かったのも事実です。
7位より上は、どれも「昨年だったら大賞クラス」だと思いますし(『舟を編む』が駄作だというわけではありませんので念のため)。


けっこう物語のバリエーションが広いというか、「自分探し」や「恋愛小説」「有川浩」らの「定番」がほとんどなく、さまざまなジャンルの作品が揃っていますし、「なぜこれがノミネートされたんだ……」というのは、1作しかありませんでした。


東日本大震災というのは、静かに「本屋大賞」にも影響を与えてきていて、「個人的な、身近な物語」よりも、「歴史」や「SF」「ミステリ」、そのなかでも「きちんと作り込まれていて、その作品世界に没入できるような作品」が好まれる傾向が出てきているような気がします。
「身近な現実」というものの脆さを、あの震災で植え付けられてしまったから、より強固な物語の世界への逃避を求めてしまっているのだろうか……
それは僕の勝手な推測なのですが、とりあえず、今年はけっこう豊作の「本屋大賞」だったのではないかと。
ただ、東野圭吾さん、有川浩さん、伊坂幸太郎さんといった「本屋大賞レギュラー」が外れたにもかかわらず、そんなに「掘り出し物」といえるようなノミネート作が無かったのも事実ではあります。
これだけネットで「オススメ本」がすぐに広がっていく時代に「隠し球」をやるのは難しいのはわかっているのだけれども。


あと、今回はKindle版が出ているものは、それも紹介してみました(2013年4月8日の時点。見落としがあったらすみません)。
というか、Kindle版が出ていないのは、『きみはいい子』『ふくわらい』『ソロモンの偽証』『海賊とよばれた男』の4作。
本屋大賞」にノミネートされるような作品は、けっこう電子書籍化されているのだなあ、と考えるべきか、「4作も『未電子書籍化』なのか……」と嘆息すべきなのか。
『ソロモンの偽証』とか、分厚い本が3冊にもなるので、「これこそ、電子書籍化すべきじゃないのか……」とボヤかずにはいられませんでした。
結局、今回のノミネート作は、すべて紙の本で読んだのですが、来年もしこの企画を継続するならば、半分くらいは電子書籍で読むことになると思います。便利なんですよ、というか、部屋にこれ以上、本が増えるとつらくなってきた。「物語の力」は、紙でもKindleでも、変わりないですし。


そうそう、最後に僕の「順位予想」を書いておきます。
第3位:晴天の迷いクジラ
第2位:海賊とよばれた男
第1位:64(ロクヨン


今年はけっこう自信あり!!

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