琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

陽だまりの彼女 ☆☆☆☆



あらすじ: 取引相手を訪ねた新人営業マンの浩介(松本潤)は、そこで同じ中学校に通っていた幼なじみの真緒(上野樹里)と10年ぶりの再会を果たす。学年有数のバカとして名をはせ、何かといじめられていた彼女が、当時の姿から想像がつかないほど魅力的な女性になったことに驚く浩介。再会に運命めいたもの感じた二人は惹(ひ)かれ合うようになり、結婚を決意するまでに。だが、真緒は誰にも知られてはならない、とんでもない秘密を持っていて……。


参考リンク:映画『陽だまりの彼女』公式サイト


2013年32本目。
月曜日のレイトショーで鑑賞。
観客は、僕も含めて4人。
原作の小説は既読です(ちょっと前に読んだので、けっこう内容を忘れていましたが)。


もしあなたが、上野樹里さんか、松本潤さんの大ファンなら、この映画は観て損はないと思います。
逆に、「上野樹里うざい」という気持ちが少しでもあるのなら、やめておいたほうが良いかもしれません。
けっして悪い映画ではないのですが、ストーリーに関しては「こういうのは受けつけられない!」という人も少なくなさそうですので、上野さんや松本さんが幸せそうにしているのを観ているだけで満足、というくらいのおおらかな気持ちで観られる人向けです。


この映画「“女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1”待望の映画化!」とのキャッチコピーなのですが、僕にはちょっと甘すぎるかな、と不安でもありました。
でも、けっこう評判が良いのと、僕はけっこう上野樹里さんが好きなんですよね、とくにキワモノじゃない人を演じているときの上野さんが。
けっこう前に観た『虹の女神』という映画での上野さんがすごく良くて、それ以来、僕は「普通の範疇なんだけど、ちょっとワガママな女の子」を演じている上野樹里さんが見たいと思っていました。
『のだめ』のイメージが強すぎるのか、なかなかそういう「普通の女性の役」の上野さんを観ることができず、寂しく感じてもいたのです。
そういう意味では、これはもう「ストライク」な作品で。
個人的には、後半の差し迫った感じよりも、中盤の「とにかく上野さんと松本さんが一緒にいて幸せそうな場面」ばかりが印象に残りましたし、それでいいのではないかと。


観終えての感想。
原作読了済みだったので、「秘密」はわかっていたのですが、この作品の場合、あらためて考えてみると「その秘密に騙される」というよりは、「いくらなんでも、そんな非科学的でベタなオチはありえないだろう」という視聴者の「先入観」が障壁になってしまう感じなのですよね。
あまりのベタさに、この21世紀に、よくぞここまで直球勝負してきたな、と感心してしまうし、それがかえって新鮮に思えたりもする。
そしてやっぱり、上野樹里という女優は天才だなあ、と。
イヤミとかわざとらしくならないギリギリの「天然のはしゃぎっぷり」を演じられる人って、あんまりいないと思うのです。
もうほんと、いちいち可愛らしくて困ってしまう。


というわけで、上野樹里さんが好きな人は、ぜひ観てください。


ところで、映画版は小説版とは少しラストが変更されているのです。
ただ、その「少し」が、この作品の世界としては、かなり大きな変更ではあるんですよね。
僕は小説版のラストのほうが好きで、映画版はサービス過剰すぎて、作品の「せつなさ」が中和されてしまっているような気がするのですが、後味のよさは、映画版のほうが上でしょう。
個人的には、バーでビーチボーイズの歌が流れる場面で終わり、というのが良かったな、なんて考えてしまうのですが。


中途半端に「重苦しい要素」を注入された、マンガ原作の恋愛映画よりも、僕はこの「とにかく恋愛をしているふたりがやたらと幸せそうな映画」のほうが好きです。
うらやましい!


人生における恋愛っていうのは、うまくいっているときに突然終わってしまうのは悲しくて仕方がないし、長く続けていると、どこかでマンネリとか方向性の違いみたいなのが出てきて、やっぱり辛くて仕方がない。
どちらに転んでも、ハッピーエンドにはならない。
「ちょうどいいタイミングで終わる」っていうのは、難しいというか、不可能なことだよなあ、などと、この映画を観て、考えこんでしまいました。

アクセスカウンター