琥珀色の戯言

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ゼロ・グラビティ ☆☆☆☆☆


あらすじ: 地表から600キロメートルも離れた宇宙で、ミッションを遂行していたメディカルエンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)。すると、スペースシャトルが大破するという想定外の事故が発生し、二人は一本のロープでつながれたまま漆黒の無重力空間へと放り出される。地球に戻る交通手段であったスペースシャトルを失い、残された酸素も2時間分しかない絶望的な状況で、彼らは懸命に生還する方法を探っていく。


参考リンク:映画『ゼロ・グラビティ』オフィシャルサイト


2013年37本目。
世間は3連休前という金曜日のレイトショーで鑑賞。
3D吹き替え版で、観客は30人くらいでした。


すごいものを観ました。
なんというか、とにかくすごいので、なるべく予備知識少なめで、ぜひ映画館で3D版を観てもらいたい。
僕はいままで、3D映画で「この映像体験はすごいな」と思った作品が2つありました。
ひとつは、『アバタ―』。
もうひとつは『塔の上のラプンツェル』。
これらの作品は、「映画」という形式を利用した、アトラクションだよなあ、と感じたのです。
アバターの飛行シーンは、まるでテレビゲームの世界に入ったみたいでしたし、『ラプンツェル』でたくさんのランタンが空に飛びあがるシーンでは「これはもう、観光地だな」と思いました。


そして、この『ゼロ・グラビティ』。
この映画の「無重力感」は、本当にすごい。
もちろん僕は宇宙に行ったことがないので、これがリアルなのかどうかはわかりません。
でも「宇宙にポツンと存在している、ひとりの人間の絶望的なまでの孤独感と高揚感」みたいなものが、ここまで表現された映画は、いままで観たことがありません。


この映画、宇宙の、あるいは無重力の映像表現は素晴らしい。
ただ、それは「人を驚かせるための映像」としてだけ機能しているわけではないのです。
宇宙空間の広がりや、自分の力では、動けない、止まれないという無重力の世界(ほんと、観ていてもどかしくてしょうがなくて、いつのまにか四肢を突っ張りまくっていることに気づきました)、そして、人間の小ささ。


この映画のいちばんすぐれたところって、「映像表現」が、「宇宙とはどんなところか?」というテーマを、何よりも饒舌に語っているところなんですよね。
技術自慢じゃなくて、「宇宙」を理解するための映像を徹底的に作ったら、こんなにすごくなってしまった、という感じ。


ストーリーは、シンプルです。
上映時間も、90分と短い。
でも、これ以上濃密な時間が続いたら、観ていて窒息してしまうのではないかと、怖くなりました。
そして、フィクションではありますが、宇宙飛行士という仕事の過酷さと、助け合いの精神。
ギリギリの状況でも、諦めない。
しかし、諦めるべきときには、潔く。
なぜ、そんな状況で、あなたは……と、僕は本当にせつなくなる場面がありました。


僕は、この映画の「テーマ」みたいなものが、よくわからなかったんですよ。
もしかしたら、「観客になるべく宇宙空間に近いものを体験してもらうこと」そのものがテーマだったのかな、とか考えてみたり。
やっぱり地球はイイネ!みたいな単純な話ではなさそうな気がする。
宇宙の怖さ、そしてその静謐な美しさも描かれているし。


「宇宙なんて、だいっきらい!!」
……でも、本当は大好き。


これはもう、歴史に残る「ツンデレ宇宙体験映画」です。
ぜひ映画館で!3Dで!!
なんのかんの言っても、この映画の3D版と同じ映像を自宅で体験できるようになるには、あと10年くらいはかかりそうです。
正直、「これ観たから、もう宇宙には行かなくてもいいかな」とか、ちょっと思ったんですけどね。
宇宙空間に投げ出されて、酸素が無くなって死ぬのを待つっていうのは、人間の死に方のなかで、もっともつらいような気がするし……

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