琥珀色の戯言

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【読書感想】アメリカのめっちゃスゴい女性たち ☆☆☆☆


アメリカのめっちゃスゴい女性たち

アメリカのめっちゃスゴい女性たち

内容紹介
逆境こそ、またとないチャンスである。


女も男も、人種も生まれも関係ない、
やる気と努力で栄光をつかんだ55人の
ワクワクする負けない人生!


レズビアンをカムアウトした、ハリウッドの才女、ジョディ・フォスター
乳ガンの予備切除、国連親善大使も務める、アンジェリーナ・ジョリー


オバマ当選に最も貢献した、テレビ界の超大物司会者/
アメリカ空軍を率いる、世界初の女性指令官/
ゼロックスをよみがえらせた、アフリカ系生え抜き経営者/
「ミズ」という言葉をつくった、モテ系フェミニスト/
恋人たちの予感』で、コメディ旋風を巻き起こした脚本家/
妊娠中にグーグルから引き抜かれた、ヤフーの新CEO/
歴代大統領11人に、最前列で質問を続けたジャーナリスト ほか


<まえがきより抜粋>
この本は15年間アメリカに暮らした私が「スゴい!」「カッコいい!」と感動した
アメリカ女性たち55人について書いたエッセイ集です。
ただ、ヒラリー・クリントンとかレディ・ガガとか、日本でも既によく知られている女性たちよりも、
「もっと日本の女性にも知って欲しい」と思った女性たちを多めにしました。
また、最初から恵まれている人よりも、多くの障害を乗り越えた人を多く取り上げました。
女性というだけでなく、人種、民族、貧困、身体障害、親によって絶望的に未来を阻まれたが、
逆にそれによって誰よりも強くなった人々です。


たしかにこれは「めっちゃスゴい」人たちだ……
55人の「スゴい女性」たちを、それぞれ3ページ程度で紹介しているエッセイ集なのですが、僕にとっては知らない人ばかりで、「こんな人もいたのか!」とひたすら感心しながら読みました。
政治家や経営者、芸能人だけではなく、さまざまな形でアメリカの社会に影響を与えている女性たち。
その多くは、日本ではあまり紹介されることのない人です。
日本で知られているアメリカの女性って、一部の政治家と、ハリウッドスター、スポーツ選手が大部分なんだよなあ。


読んでいて驚かされたのは、ここで紹介されている女性たちの多くが、貧困家庭に生まれたり、幼少時に虐待をうけたりという、大きな心の傷を抱えながらも立ち上がり、世界をよくしていくために活動していることでした。
彼女たちは、「自分が成功すること」だけではなく、「自分と同じような立場の子供たちにとって、世界が少しでも住みやすい場所になるように」行動しているのです。


また、子供の頃十分な教育を受けられる環境にはなく、落ちこぼれてしまっていたのに、のちの努力で「天才」であることを証明し、活躍している人が多いことにも驚かされました。
もちろん、こういう「一発逆転パターン」は、アメリカでもごく稀にしか起こらないことだとは思うのですが、日本の場合は、こういう「天才的な頭脳を持っているのに、子供の頃に教育の機会が与えられなかった人」が、大人になってから自分の努力や周囲のサポートでのし上がっていく、というケースをあまり聞いたことがありません。
おそらく、才能を持った人、「勉強の機会を与えれば、すごい能力を発揮する子供」は、日本にもたくさんいるはずなのですが、彼らをスクリーニングする、あるいは、彼らをバックアップするシステムが、不十分なのでしょう。


ああ、でもこの本を読んでいると、「現実の残酷さ」に、ちょっと打ちのめされてしまうところもあるんですよね。
お兄さんの無実を証明するために、安酒場でウェイトレスとして働いていたベティ・アン・ウォーターズさんは、30代で司法試験を目指して勉強をはじめました。
ギリギリの生活のなか、兄を助けたい一心で勉強し、ついに司法試験に合格したウォーターズさん。

 2001年、逮捕から18年後、ベティはとうとう兄の無実を証明し、彼を釈放させた。ベティの戦いは、ヒラリー・スワンク主演で『コンビクション』というハリウッド映画になった。
 ケニーは、自由になった半年後、近道しようと塀に登って落ちて頭を打って死亡した。映画には最初、その場面があったが、試写を観た人々があまりに打ちひしがれたので、公開時にはカットされた。


 銃乱射事件の被害者となった、ガブリエル・ギフォーズ下院議員の項より。

 男は群衆にも銃を乱射した。20人が撃たれ、6人が死亡。犠牲者には9歳の少女もいた。犯人は統合失調症と判断された。
 脳を損傷したギフォーズ議員は奇跡的に生き延びた。頭蓋骨を切除するなどの大手術を繰り返し、両目の視力はほとんど失われ、右半身は完全に麻痺したが、銃撃から約8か月後、夫に付き添われて議会に姿を現し、壇上に立って輝くような笑顔を見せた。
 リハビリのため、議員は引退したが、ギフォーズは政治活動をやめたわけじゃない。彼女はオバマ大統領と共に、銃購入者の犯罪歴と精神疾患歴のチェックを義務付ける法律を作ろうと邁進している。驚くべきことにアメリカではそのような法律がなかったのだ。
 しかし、もっと驚いたのは、実際に銃撃を受けたギフォーズ自身が議会で、麻痺して不自由な口から一語一語絞り出すようにして、犯罪・精神疾患歴チェックの必要性を訴えても、議員たちには全く効き目がなかったということだ。
 犯罪歴や精神異常のチェックに反対する議員たちは「法律で禁じたところで、危ない奴らはどうせ銃を手に入れるから」と言う。でも、本当は、彼らは銃所持の権利を守るための団体NRA(全米ライフル協会)の言いなりなのだ。2013年4月17日、連邦上院議会で、犯罪・精神疾患歴のチェックを義務付ける法案は否決された。投票前、2012年12月にコネティカットの小学校の乱射事件で我が子を殺された親たちが議会を訪れ、議員たちに法案成立を求めたが、それも無駄だった。

 なんなんだこれは……
 それでも、ギフォーズ議員は、諦めることなく、銃規制に向けての活動を続けているそうです。
 この本には、ギフォーズ議員のような「不屈の人」のエピソードが、たくさん紹介されています。
 男だから、女だからというのではなく、「すごい人」というのは、まだまだ大勢いるのです。


 いやまあ、いろんな意味で、「過激な人たち」のエピソードも満載なわけですが。
 人気司会者であり、自らがレズビアンであることをカミングアウトしたエレン・デジェネレスさんのこんな発言を、著者は紹介しています。

 現在、全米一の人気番組『アメリカン・アイドル』の審査員を務める彼女の資産は65億円。アメリカで最も稼ぐ女性の一人だ。
「カムアウトしたら仕事を失うだろうと思っていた」エレンは言う。
「それでも、私は自分を偽れなかった。同じように苦しんでいる人たちのためにも」
 エレンは菜食主義者で、化粧品や医薬品の動物実験に強く反対している。
「コスメが安全かどうか動物の目に入れて実験するなんてバカげてるわ。そんなのレイプで刑務所入ってる奴にやればいいのよ!」


 この本の冒頭で、著者は「アメリカの女性たちの現在」を紹介しています。

 アメリカでは現在、妻の方が収入の多い世帯は、なんと全体の4割になりました。2013年には、男以上に稼ぐ女性たちについて調査研究したノンフィクション『リッチャー・セックス』も出版されました。著者のワシントン・ポスト紙の記者リザ・マンディは、女性の収入が上がったのは、今まで男に支配されていた技術職や専門職、管理職、それに経営に女性が進出したからだと書いています。
 その理由のまずひとつは、女性の高学歴化。現在、アメリカの大学院の修士課程の6割は女性、博士課程でも52%が女性です。大学院に入るのは、ウチの妻のようにいったん社会人として働いて学費を貯めた30歳以上の人々が多いそうです。アメリカではいくつになっても大学に戻れて、再就職も難しくないわけです。


(中略)


 現在、アメリカの企業の管理職の43%、役員の14%が女性です。世界的な巨大企業のトップにも女性は少なくありません。


 それに対して、日本の現状はというと、

 しかし、日本の企業の女性管理職率は11.1%。先進国でも韓国と並んで最低です。女性役員になると日本ではたったの1%。、100人に1人しかいません。ああ、もったいない。


 女性の能力を活かせていない日本は「ああ、もったいない」。
 アメリカから、日本をみると、たしかに、そう思えてきますよね……

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