琥珀色の戯言

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るろうに剣心 京都大火編 ☆☆☆☆



かつて人斬り抜刀斎と呼ばれた伝説の人斬り、緋村剣心佐藤健)。刀を置き、平穏な生活を送る剣心は、ある日、剣心から影の人斬り役を引き継いだ志々雄真実(藤原竜也)が京都でその名をとどろかせていることを知る。政府が派遣した討伐隊は志々雄を前に成すすべがなく、最後の望みとして剣心に白羽の矢が立つ。志々雄の野心を阻止すべく、剣心は京都へ向かう。


参考リンク:映画『るろうに剣心 京都大火編』公式サイト


2014年27本目の劇場での鑑賞作品。
火曜日のレイトショーで、観客は40人くらいでした。
時間帯もあるのでしょうけど、僕と同じくらいの中年男性のひとり観客がけっこういました。
ああ、この人たちも『週刊少年ジャンプ』の、『るろうに剣心』直撃世代だったのだろうなあ。


本来であれば、「伝説の最期編」まで含めて感想を書いたほうが良いのかもしれませんが、とりあえず『京都大火編』を観て。


今回は、『るろうに剣心』のなかでもクライマックスの『志々雄真実編』ということで、期待半分、不安半分でした。前作のときは、「なぜこの部分の映画化?」「映画にするのなら、志々雄編にすべきだったのでは?」などという意見をけっこうネットで観たんですよね。
志々雄真実、四乃森蒼紫、瀬田宗次郎といったファンの多い強烈なキャラクターが多数登場してくる一方で、思い入れが強いひとも大勢いるシリーズ。
満を持しての前後編での映画化です。


ついこのあいだ、テレビで放映された第一作を観たのですが、見比べてみると、剣心は前作とあまり変わらず、武井咲さんの神谷薫は女性らしくなったなあ、弥彦はあたりまえのことだけど大きくなったなあ、という感じです。
蒼井優さんは、相変わらず影が薄かった……


前作に続いて、アクションシーン、チャンバラシーンはすばらしかった。
ハリウッド映画にありがちな「なんかすごく速いんだろうけど、速すぎて何をやっているんだかよく見えず、なんだか誤魔化されているんじゃないかと気分になるスピード」ではなくて、ちゃんと目で追えて、何をやっているのかがわかるのが心地好いのです。


ストーリーも、あれだけの長さの原作を、前後編とはいえ、4時間半にまとめるのは大変だったと思います。
登場人物が多いので、どうしても、ストーリーを進めていくために、細切れのエピソードを積み重ねていくような感じになりますし、それぞれのキャラクターの描きこみも物足りなく思われました。
僕のように原作を知っている人は、その予備知識で映画でのキャラクター描写の「隙間」を埋めることができるのですが、全く知らないで観ている人にとっては、「抜刀斎はどこだ!」ばっかりの四乃森蒼紫さんって、「コント担当の人なのか?」って思われそう。
前作に比べると、設定がシビアなので、クスッとさせられるような微笑ましい場面はほぼ皆無です。
まあ、これはしょうがないといえば、しょうがないんだけど……


あと、冒頭の志々雄登場シーンは、本当にカッコいいといったら語弊がありそうなんですが、なんだかゾクゾクしました。
ほんと、これほど「徹底的に悪を貫いてくれる悪役」って、けっこう珍しいですよね。
やっぱりさ、悪役は、キッチリ悪いほうがエンターテインメントとしては盛り上がるものだと痛感しました。
神木隆之介さんの宗次朗も、ほんと、観ていてムカつくんだよなあ、素晴らしい!


歴史好きとしては、「内乱を起こして、諸外国に付け込まれたくない」という「軍隊を使わない理由」を聞いて、「時代設定としては、つい最近、西南戦争やったばっかりじゃん!」とか、ツッコミを入れたくもなりました。大久保さん無防備すぎるだろう、とか。


そして、この映画を観ていて痛感するのは、僕自身の攻撃性というか、容赦なさ、みたいなものなんですよね。
「逆刃刀」を使い、「不殺」にこだわる剣心をみていると、なんだかすごくもどかしいんですよ。
そいつらどうせ更生なんてできないに決まっているし、生かしておいてもまた悪いことやるって!
そもそも、何も悪いことをしていない村人は見せしめとかいって虐殺されているのに、それを実行した悪党は「不殺」で手加減されるなんて、おかしくないか?
というか、いくら逆刃刀でも、あれだけたくさんの敵を戦闘不能にするくらいダメージを与えていけば、ひとりやふたりは死ぬんじゃないか……「死なないけど、すぐには立ち直れない」というちょうどいい範囲のダメージを与えるのって、けっこう難しいだろ、しかもあの乱戦だぞ……


もう、あんなやつら、ぶった斬っちゃえよ、剣心!
斬って斬って、斬りまくれ!!
なんなんだよ、そのぬるい「逆刃刀」って。
そもそも、「素晴らしいデキの『人を殺さない刀』って、矛盾してないか……


いやほんと、この映画を観ていて、「悪・即・斬」(by 斎藤一)の誘惑に打ち勝てる人って、いるのだろうか……
僕なんか、薫さんが「剣心!殺しちゃだめ〜」って言うたびに、
「やかましい!このスイーツ師範代女!そんな甘いこと言ってる状況じゃないだろ!」と内心苛々しっぱなしです。
るろうに剣心』って、自分のなかの隠れた攻撃性のリトマス試験紙みたいな作品だよねえ。
そういえば、原作を読んでいるときから、僕はずっと、もどかしかったんだよなあ。
このモヤモヤした感じこそが、僕にとっての『るろうに剣心』でもあるわけです。


とりあえず、「ここで終わりかよ!」と言いたくなるのは、前後編の前篇としては、「成功」なのでしょうね。
「ほとんど全部『伝説の最期編』に持越しじゃないかよ!これ、後編はもっと駆け足になっちゃうんじゃない?」と心配しつつも、『伝説の最期編』を楽しみに待つことにします。