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琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN ☆☆☆

映画



あらすじ
100年以上前、人間を捕食する巨人が現れ、人類のほとんどが食べられてしまった。生き残った者たちは巨人の侵攻を阻止すべく巨大な壁を3重に作り上げ、壁の内側で暮らしていた。エレン(三浦春馬)やミカサ(水原希子)もそんな中の一人だった。そんなある日、100年壊されなかった壁が巨人によって破壊されてしまう。


参考リンク:映画『進撃の巨人』公式サイト


 2015年20作目。
 火曜日のレイトショーを観賞しました。

 観客は30人くらい。夏休みということもあってか、若い人の友達同士、あるいはカップルが目立ちました。

 監督がSNSでの発言で炎上するなど、いろいろ話題になっている、この『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』。
 ネットレビューでは、かなり厳しい評価が多いようです。
 『Yahoo映画』のレビューでは、2015年8月4日夜の時点で、「平均2.1点(5点満点)」を叩き出し、制作者たちへの怨嗟が溢れています。


 まあ、酷い映画っていうのも、それはそれでネタにはなるだろ、と。
 僕はこれまで、『進撃の巨人』を2巻までしか読んでおらず、巨人とか壁とかの設定の概略は知っていますが、その後の展開については、ネットでちらほら小耳にはさんだ知識がある程度なんですよね。
 つまらないと思ったから読んでいないわけではなく、「面白そうだから、時間があるときにゆっくり読もう」と思いつつ、いつのまにか宝塚記念ゴールドシップのように出遅れてしまい、レースに参加不可能になってしまいました。
 とはいえ、これだけ人気になっているマンガなので、どういうふうな展開になっているのかは、漏れ聞こえてくるだけでも、小耳にはさみきれないくらい、ではあるのですが。
 「原作をよく知らない、こだわりもない人の感想のひとつ」として読んでいただければ幸いです。


 98分という、短めの「前半」を観終えて、「これ、『2.1点』ってほど酷くはないんじゃない?」と思ったんですよ。
 それは、僕が原作への思い入れに乏しいことが理由なのかもしれないけれど。
 たしかに、真面目なパニックムービーとして観ると「あんなにアッサリ壊されてるのに、あの壁修復しても意味ないだろ!」とか、「いくら寄せ集めの連中でも、あまりにも軍紀におおらかすぎるんじゃない?無断離脱とか、大声あげたりとか、夜中にやっちゃってるとか……おまけに、みんなの希望となるべきものを、ヤケになって個人で使用!
 やることなすこと、「裏目、裏目」です。
 エレンが「もう巨人なんか、いないんじゃねえの!」って言ったとたんに、ドカーーン!
 「ウソ800」を飲んでるんじゃなかろうか、と思うくらいです。
 うーむ、やはり素人の軍隊は役に立たんな(安倍さん、聞いてます?)。
 こんな内輪もめと軍紀無視の寄せ集め軍団には、さすがに笑ってしまいます。
 こいつら、「激烈に弱いのに、態度は『アベンジャーズ』」みたいだ……
 というか、アベンジャーズって、弱かったら存在意義無いのでは……


 巨人に対しても、いろいろ言いたくなってくるんですよ。
 この映画はたぶん、「巨人」を怖く、面白く見せるための映画であり、「怪獣映画」として撮られているのではなかろうか。
 そのわりには、「巨人」の最初の登場シーンとか、ちょっと「軽い」んだよなあ。
 そこは、ハリウッド版の『ゴジラ』とかのもったいぶりかたを、見習ってほしかった。
 実写での巨人のファーストインプレッションが全て、とも言うべき映画ですし。


 ただ、ホラーとか怪獣映画っていうのは、緊張感のなかに「笑い」みたいなのが含まれてくるのです。
 特撮ヒーローの悪の秘密結社のあまりにもくだらない作戦にツッコミを入れる、みたいなのが、「特撮ファン」の楽しみでもあるわけで。


 この映画の映像を観て、最初に思い出したのは、「館長 庵野秀明 特撮博物館」で公開されていた、特撮短編映画 「巨神兵東京に現わる」でした(『エヴァンゲリオン新劇場版『Q』の本編の前に上映されていたやつです)。
 これは9分あまりの短編だったのですが、巨神兵がいきなり東京にあらわれ、破壊の限りを尽くす。
 ただひたすら、破壊する様子を映像にする、という作品だったのです。
 この『巨神兵東京に現わる』も、樋口真嗣監督でした。
 僕は、樋口監督は、この『巨神兵東京に現わる』の延長線上に、この『進撃の巨人』を置いていたのではないか、と想像しているのです。
 圧倒的な力による、破壊と殺戮のカタルシス。滅ぼされる、快感。
 まあ、実際に滅ぼされては困るわけですが、特撮ファンにとっては、「破壊の映像を極める」「人類がものすごく不快な過程で滅んでいく」というのは、「見もの」なんですよね。
 この『進撃の巨人』って、前半の、巨人が街を破壊し、無差別に人々を食っていくシーンにいちばんインパクトがあって、あとはちょっと学芸会っぽくなってしまうのです。
 本当に樋口監督が撮りたかったのは「巨人が徹底的に人類を食い尽くす映画」だったのかも。
 

 それにしても、石原さとみさんのハンジ、キレッキレだったなあ。
「こんなの初めてェーーーーーッ!」
 すみません、思わず爆笑してしまいました。
 でもあれ、「笑うところ」だよね。他の人は誰も笑ってなかったけどさ。
 これ、「笑いながらツッコミを入れる」っていう観かたが、許される映画だと思うんだけどなあ。
 真面目に原作を追いたい人は、原作にかなり忠実だという、アニメ版を観ればいいわけだし。


 あと、観ながら考えていたのは「これは6歳の長男には観せられないな」と。
 というか、これ「PG12」で良いのだろうか……
 13歳くらいで観たら、けっこうトラウマになりそうな場面続出。


 「巨人に人間が食われる生理的不快感」みたいなものは、きちんと描かれていたような気はします。
 この映画の評価が低いのは、たぶん、「観客は、巨人が世界を破壊する映像よりも人間たちのドラマを観るつもりで劇場に来ていた」からなのです。
 「巨人を見せたかった制作側」と、「人間を観たかった観客」の乖離が、「2.1点」の悲劇を生んでしまったのではないかなあ。
 僕は、そういう意味では「制作側寄りの観かた」をしていたのかもしれません。

 
 とりあえず、後篇も観るつもり。
 それまでにマンガのほうも、最新刊までフォローしておきたいものです。



進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)

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