琥珀色の戯言

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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド ☆☆


100年以上ぶりに現れた超大型巨人に多くの人間が捕食され、生き残ったエレン(三浦春馬)は調査兵団の一員として外壁修復作戦を決行。しかし巨人に襲われてしまい、アルミン(本郷奏多)をかばったエレンは巨人に飲み込まれてしまう。その直後、黒髪の巨人が出現し、ほかの巨人たちを攻撃するという謎の行動を見せる。人類の存続を懸けて彼らは巨人たちと戦い続けるが……。


参考リンク:映画『進撃の巨人』公式サイト


「前編」の感想はこちらです。


 2015年25作目。
 週末のレイトショーを観賞。
 観客は10人くらいでした。


 なんだか、こんな映画、どこかで観たな……そうか、松本人志監督の『大日本人』だ!
 この強引な展開は……こんなのもどこかで……あっ、ジブリの『ゲド戦記』!
 『前編』の際も、原作ファンからは、かなり酷評されていたこの実写版『進撃の巨人』なのですが、僕個人としては「オススメはしないが、怪獣映画、特撮映画としては『こういうのもアリ』ではないか」という感じでした。
 ある種の強引さや過剰さも特撮映画の魅力だとは言えるわけで。
 前編の最後で、人間にとって、対巨人の劣勢を巻き返せるような「新兵器」の可能性が示されて、後編へ。

 率直なところ、後編冒頭の「これまでのあらすじ」紹介をみながら、「このまとめ映像だけ観れば、前編観なくてもよかったのでは……」とも思ったのですけど。

 後編の内容については、前編を観ていないと、終始ネタバレになってしまうので詳述は避けますが、僕にとっての実写版『進撃の巨人』の魅力だった、「人間が巨人に食われ、踏みつぶされ、死体がゴロゴロしている映像」が、この後編では、ほとんどみられないのです。
 あの「これがPG12で良いのか? 夢に出るぞ」という残虐さが、この映画の「ハリウッド映画には不可能な魅力」だったのに!
 同時期に公開された、『ジュラシック・ワールド』は、いかに生々しい「残酷描写」を避けながら、恐怖を表現するのか、というテーマの教科書的な作品ではありました。


 この『進撃の巨人』って、おそらく、もともとは1本の映画として公開予定だったものが、尺が長くなりすぎて、前後編になったのではないかと思われます。
 結果的に、前編は100分弱、後編は90分弱、という、短めの映画2本になってしまった。
 ところが、当初から前後編の予定ではなかったがために、演出に偏りみたいなものができてしまったんですよね。
 前編のラストを観て、「後編は、この『新たな武器』を利用して、人類と巨人の壮絶なバトルがみられるのだろうな」と思ったんですよ。
 

 ところが、この「後編」は、「拡げた大風呂敷を畳むのに精一杯」という感じで、話が、どんどん小さく小さくまとまっていきます。
 巨人が人を食うシーンや、逃げまどう人々の描写も、ほとんどみられません。
 そもそも「巨人」がほとんど出てこないのです。
 制作途中で予算が尽きたのか?
 『進撃の巨人』の魅力って、「圧倒的な力と数の巨人たちと、無力な人類との対比」だと思うんですよ。
 そんななかで、人類に何ができるのか?


 ……あれ、これ、『ゴジラキングギドラ』?
 監督は「怪獣映画」をつくりたかったのかもしれないけれど、「怪獣」どうしが延々と戦っても、置いていかれたような感じがするだけ、なんですよね。
 展開とか登場人物の感情の動きもあまりに唐突だし、いくら「怪獣映画」といっても、あまりに御都合主義すぎる。
 

 この映画、前後編を1本にまとめてしまえば、もうちょっとマシだと思うのです。
 ひとつの作品の「前半」で巨人の圧倒的な力をみせて、「後半」では、「巨人」の秘密と、キャラクターたちの人間ドラマを描いていき、物語を着地される。
 それなりに「まとまり」があったはず。
 ところが、前後半だけみると、とくに後編に関しては「なんで『進撃の巨人』なのに、怪獣映画(それも、あまり質が高いとはいえない)になってるんだ?」と疑問になってきます(とはいえ、上映時間が短いので、あっという間に終わってしまうのですが)。
 しかも、わざわざ2本に分けて、入場料も倍取っているにもかかわらず、なんでこんなに慌ただしく話が展開して、ほとんど何も解決していないにもかかわらず、「ハッピーエンドみたいな雰囲気」なの? としか言いようがないのです。


 「壁の中の幸福」をテーマにしたかったのはわからなくもないんだけれど、『マトリックス』を焼き直して怪獣映画にした、そんな感じなんだよなあ。


 正直、コケるのであれば、もっと壮大にコケてもらいたかった、とは思います。
 僕は「ウルトラファイト」を観に来たんじゃないってば。


 上映時間が90分弱ということで、観ても疲れない、というのは中年男にとってはありがたい面もあるのですが、観終わったあと、観客たちが「まーこんなもんだよね。ネットでもさんざん叩かれてたしさ」って足早にシアターを出ていきました。
 つまらなさも、なんだか、予定調和的。
 どうせなら、「何これ、金返せ!」って席を蹴りたくなるくらいの「超駄作」だったらよかったのに。