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琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

【読書感想】新しいニッポンの業界地図 みんなが知らない超優良企業 ☆☆☆☆


Kindle版もあります。

内容紹介
著者は30年近く業界・企業を取材してきた東洋経済新報社のメディア編集委員。本書は、そんなプロの眼から、従来にはなかった新しい業界分類を設定し、これから伸びていく企業約250社について解説したもの。無名な高収益企業、無名な高シェア企業、無名な高技術企業が続々登場。ビジネスマンのビジネスチャンスに、投資家の銘柄選びに、学生の就職活動に役立つ情報満載!


 ソニーは長期低迷し、シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収され……長期にわたって「日本企業沈没」的なイメージを僕は抱いていました。
 でも、この本を読んでみると、ソニーとかシャープみたいに有名ではないけれど、業界内でのシェアを確実に抑え、世界で唯一無二の存在として利益をあげている日本の企業がたくさんあるのだ、ということがよくわかります。
 もちろん、一時期のようなイケイケドンドン、という状況ではないのかもしれませんが、GDP世界3位の日本には、まだまだ競争力がある企業がたくさんあるのです。
 就職先を検討したり、投資をする際に「名より実をとる」ためにも、これらの企業のことを知っておいて損はないと思います。

 
 いろんな産業の「概観」という感じで、それぞれの企業について、そんなに長い文章が割かれているわけではないのですが、大まかなところをつかむには、このくらいがちょうど良いのかもしれません。
 そして、日頃あまり深く考えたことがなかった企業の「大きさ」がわかるのです。

 殺虫剤というとドラッグストアの隅に置いてあって、何となく暗いイメージがあるが、今後殺虫剤メーカーも成長するだろう。
 殺虫剤の売上高第1位はアース製薬アース製薬大塚製薬のグループ企業。大塚製薬ポカリスエットカロリーメイトをつくっている超優良企業だが、その優良企業グループの一員なのだ。
 第2位は第日本除虫菊(非上場)。社名を知らない人が多いと思うが、商標の金鳥と言えばすぐわかると思う。日本に住んでいて金鳥蚊取り線香を知らない人はいないのではないか。上場していないが商品力のある優良企業だ。
 第3位はフマキラー。第3位といっても、売上高はアース製薬の約5分の1と、だいぶ規模が小さい。しかし、海外展開が進んでいて、全売上高のうち46%は海外、世界80ヵ国でフマキラーの製品が販売されている。あまりにも海外展開がうまくいっているので、アース製薬フマキラーの買収を試みたこともあった。フマキラーは業界1位の企業から意識される優良企業といえる。

 アース製薬金鳥フマキラーの「順位」なんて、僕は想像もつきませんでした。
 アース製薬って、フマキラーの5倍も売上があるのか。


 日本企業の意外な「海外展開」についても紹介されています。

 通信教育最大手のベネッセホールディングスは中国、台湾、韓国で幼児向け通信教育を行っている。
 日本で人気のキャラクター「しまじろう」は海外でも人気がある。この「しまじろう」を活用した用事通信教育講座「こどもちゃれんじ」はアジアでも大人気だ。ただ単に学力をつけるのではなく、生活習慣や礼儀も学べるため親からの評価が高い。
 日本国内の「こどもちゃれんじ」会員数が77万人であるのに対して、中国、台湾、韓国の合計会員数は115万人。中国だけでも83万人と日本を上回っている(2015年10月時点)。同社は2018年までに中国での会員数を150万人に増やす計画だ。
 また、インドネシアでは、通信教育ではなく幼児教育の教室を展開している。


 これもまた、ひとつの「グローバル化」だと言えるのかもしれません。
 同じ「しまじろう」(国によって若干はカスタマイズされているとしても)で学んだ子どもたちは、将来、今の日本人と中国人よりも共通点が多くなるような気がします。


 また、有名な企業が実際に稼いでいるジャンルが、その企業の一般的なイメージとは違う、ということも少なくないんですね。

 医療機器メーカーの売上高トップはオリンパス。一般にオリンパスといえば、デジカメだろう。しかし、海外では医療機器メーカーとして有名だ。売上高7647億円の内訳は医療事業が73%、科学事業が14%、映像事業が11%となっている。医療事業とは主に人体の内部を観察するための内視鏡の製造であり、科学事業の主体は顕微鏡の製造だ。カメラなどの映像事業は全体の11%しかない。
 医療向け消化器内視鏡の世界シェアは70%超で圧倒的な首位。同社の内視鏡は技術優位性が高く、利益率が高い。


 病院で働いていると、「オリンパス」=「内視鏡」という感じになってしまうのですが、たしかに、一般的にはデジカメのメーカーとしての知名度のほうが高いかもしれません。
 もちろん、技術的には内視鏡も顕微鏡もデジカメも共通するところはあるのですが、現在のオリンパスの事業の柱は医療機器、なんですね。


 電化製品をつくるメーカーは全般的に新興国に押されぎみなのですが、部品やシステムも含めたパッケージングの品質では、まだまだ日本企業が優位なジャンルがたくさんあるのです。
 新たに参入して技術を磨いて勝負するほどの「うまみ」のない規模の市場で、新規参入は限定的になります。
 ニッチなジャンルでは、「先行者利益」が大きくなりがちです。


 就職先や転職先、投資などを考えている人は、こういう切り口で「企業」を眺めてみるのも有意義ではないかと思います。
 どっこい生きてる、日本企業。