琥珀色の戯言

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【映画感想】ラ・ラ・ランド ☆☆☆☆

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何度もオーディションに落ちてすっかりへこんでいた女優志望の卵ミア(エマ・ストーン)は、ピアノの音色に導かれるようにジャズバーに入る。そこでピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会うが、そのいきさつは最悪なものだった。ある日、ミアはプールサイドで不機嫌そうに1980年代のポップスを演奏をするセバスチャンと再会し……。


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 2017年3本目の映画館での観賞。
 公開初日のレイトショーで、観客は僕も含めて20人くらいでした。
 冒頭の道路でいきなりたくさんの人々が歌い、踊りまくるシーンで、「ああ、ミュージカル映画って、こういうのだよなあ。みんなちゃんとダンスが揃っていてすごいなあ!でも、僕はこういうのって、ちょっと観ていて気恥ずかしくなるんだよな」なんて思っていたのです。
 予告編や宣伝で、こういう「派手な音楽やダンスの合間に、ストーリーが進んでいく」映画のつもりで観たのですが(ラッセル・クロウさんが主演していた『レ・ミゼラブル』のような)、突然歌やダンスがはじまる「ミュージカル的なシーン」は、予想していたより、かなり少なめでした。
 とくに、後半は「お金をかけたミュージカルっぽいシーン」がほとんどなくて、音楽に凝った「普通の映画」って感じだったんですよね。
 なんか後半、お金かかってないぞ、羊頭狗肉というか、『ファイナルファンタジー15』かよ!と、最初は「ミュージカルシーンって、気恥ずかしいよね」とか思っていたにもかかわらず、拍子抜け。
 もっと明るくてきらびやかなショービジネスの世界を描いた映画だと思い込んでいたのだけれど、やはり『セッション』の監督さんだよなあ、と妙に納得させられてしまったのです。
 予告では、けっこうハッピーなイメージでしたが、実際は「お互いに何かをつくろうとしているカップルの、どうしようもない葛藤」みたいなものも描かれているのです。
 観終えて黙り込んでしまうカップルもいそうな感じ。
 ストーリー云々、というよりは、音楽に浸りながら、ボーッと眺める、という映画なのかもしれませんね。


 ところで、この映画のタイトル『ラ・ラ・ランド』(LA LA LAND)なんですけど、ハリウッドがあるロサンゼルスの「LA」とかけているのか、ということに、ふたりがグリフィス天文台に行くシーンでようやく気づきました。
(グリフィス天文台は、ロサンゼルスの有名な夜景スポットです。と、行ったことがあると、つい言いたくなるんですよね。感じ悪くてすみません)
 この作品はある意味ハリウッドの「ご当地映画」でもあるわけで、正直、ハリウッドにあまり思い入れも予備知識もない僕にとって(そして、多くの日本人にとって)、ハリウッドの関係者たちほどは感情移入できないよねえ。


 それにしても、エマ・ストーンさんって、不思議な女優さんですよね。
 顔のそれぞれのバーツがけっこうダイナミックで、思わず見とれてしまうような「美人」とも言いがたい。
 でも、「見とれるわけじゃないけど、なんだか目が離せなくなってしまう人」なんですよ、僕にとっては。


 個人的には、途中に出てきた有名なジャズミュージシャン「サッチモ」って、誰のことだったのかなあ、というのが、観ている間、ずっとずっと気になっていて、絶対に知っているはずなのに、なぜ思い出せない……もうほんと、年だな、と。
 ちなみに、「サッチモ」は、ルイ・アームストロングさんのことでした(ストーリーの本筋とはまったく関係ありません)。


 この映画、ミュージカル的な群舞のシーンは「えっ?」と思うくらい少ないのですが、音楽は素晴らしくて、家で他の作業をしながら流すためにDVDを買おうかな、と思ったくらいです。
 ただ、この映画のなかで、いちばん僕の印象に残った曲は、a-haの『Take On Me』だったんだよなあ。
 正直なところ、これがアカデミー作品賞の最有力なんて、本当にアカデミー賞の審査員は内輪ネタというか、映画界とかショービジネスの話が好きだよなあ、と。
 去年はけっこう地味な『スポットライト』が作品賞だったから、話題性とか楽しさを重視したり、真面目な作品を評価したり、その回ごとの「気分」や前回の選考結果の反動とかがありそうな感じがします。
 まるで芥川賞みたいだ。


 この映画、ミュージカル映画好きには、「それほどミュージカルでもないんだよね……」って感じだし、さりとて、「感動的なストーリー」でもないし、「すごい映像美」でもない。
 ちょっと他人への薦めどころが難しい映画だなあ。僕は嫌いじゃないけど「アカデミー賞最有力!」なんて言われると、かえって、「それほどのものでもないような……」と言いたくなってしまうのです。
 いや、本当に受賞するかどうかなんてわからないんですけどね。
 そういう先入観なしだと、「けっこう面白いじゃん!」って言える映画だと思います。
 あっ、デミアン・チャゼル監督の前作『セッション』が好きだった人には、間違いなくおすすめできそう!


ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック

ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト: サントラ,ジャスティン・ハーウィッツ feat.エマ・ストーン,ジャスティン・ポール,ジャスティン・ハーウィッツ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2017/02/17
  • メディア: CD
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