琥珀色の戯言

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【映画感想】SING/シング ☆☆☆☆

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あらすじ
劇場を運営するコアラのバスター・ムーンは、以前は活気のあった劇場に輝きを取り戻すべく、世界最高の歌唱コンテストをプロデュースしようと考える。感傷的に歌うハツカネズミや、内気なゾウ、25匹も子供がいるブタ、パンクロッカーのヤマアラシらが会場に集結し……。


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 2017年の映画館での5作目。
 日本語吹き替え版で観ました。
 金曜日の夕方からの回で、観客は50人くらいでした。
 潰れそうな劇場の支配人が、起死回生をかけて素人歌唱コンクールを開催するのだが、勝ち残ったのはみんな一癖も二癖もある人(動物)ばかりで……という内容。
 観ていて、けっこう知っている曲もあって楽しいし、日本語吹き替え版のキャストも芸達者、歌が上手な人ばかりです。
 主役のバスター・ムーンの声、どこかで聴いたことはあるんだけど、誰だったかな……とずっと思っていたのですが、内村光良さんだったんですね。
 他の芸人さんたちの才能を見いだすのが上手くて、良い仕事もしているのだけれど、映画で「自分の作品をつくる」となると、いまひとつ商業的にうまくいかない内村さんは、このバスター・ムーンという役に何らかの思うところがあったのではないかなあ。
 ……というのは、観ている側の勝手な思い込みの可能性が高いんですけどね。
 日本語版の声をあてているキャストも、MISIAさんをはじめとして、長澤まさみさんやスキマスイッチの大橋さん、坂本真綾さんに、この人が出ていない大作アニメ映画を探すほうが難しい山寺宏一さんと豪華絢爛。
 なかでも、MISIAさんは、やっぱり歌が上手いんだなあ、と圧倒されました。
 最初にテレビに出始めたときは「歌がものすごく上手い人枠」だったものなあ。
 この役がハマるのは、MISIAさんか元ちとせさんくらいではなかろうか。
 でも、クライマックスのステージでの歌よりも、その前に廃墟でひとりで歌っていたときの歌のほうが、僕は好きだったし、インパクトはあったように思います。
 「バラード至上主義」の弊害かもしれませんが。

 
 それぞれのキャラクターのパフォーマンスは面白いし、気持ちいい。
 ただ、『アナと雪の女王』の『ありの〜ままの〜』みたいな「作品を象徴する曲」は無かったし、こういうのって「素人のオーディション」というドラマ性がないと、単に「歌がうまい人」というだけではないか、とも思うのです。
「隠れた才能を発掘する」っていっても、「かなり上手い人」はいても、「ものすごく上手い人」って、なかなか見つからないんですよね。
 『K−1』の人気が出てきたときに、「これが世界中に広まったら、他の競技からの転向組など、未知の強豪がたくさん出場してきて、既成勢力は太刀打ち出来なくなるだろうな」って思っていました。
 ところが、ピーター・アーツなどの初期から活躍している選手の牙城は、そう簡単には崩せなかった。
 裾野を広げても、「先にやっている人、プロの指導を受けたり、きっちりトレーニングしている人」をこえるような「新星」は、そうそう出てはこない。
 だからこそ、「彗星のごとくあらわれた未知の才能」は持て囃されるのでしょうけど。


 この映画、老若男女が楽しめる「良作」ではあるのですが、個人的には、参加者たちが犯罪組織の一員だったり、イカサマをやって金儲けをしていたり、主人公も電気を泥棒したりしているのが、なんか引っかかったんですよね。

 
 アメリカ的には、ああいうのって、「許容範囲」なのかなあ。子ども向けのアニメだし、娯楽なんだから、ってことなのか。
 アメリカは、『グランド・セフト・オート』が大ヒットする国だしねえ、面白いんだけど、面白がっていいのだろうか、とか、思いながら観ていまし。
 あまりにクリーンすぎる物語は嘘くさいけれど、悪いことをしている人たちをここまでポジティブ描かれると、「良いのかそれで?」と言いたくなるのです。


 「まあ、良くできているのだけどねえ……」とかつぶやきつつ、シアターを出ると、お母さんと男の子が「面白かったね!『2』も絶対観に行こうね!」とニコニコしながら話していたので、僕は自分の狭量さがちょっと恥ずかしくなってしまいました。


シング-オリジナル・サウンドトラック

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SING シング (小学館文庫)

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