琥珀色の戯言

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【映画感想】ムーンライト ☆☆☆

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あらすじ
マイアミの貧困地域で、麻薬を常習している母親ポーラ(ナオミ・ハリス)と暮らす少年シャロン(アレックス・R・ヒバート)。学校ではチビと呼ばれていじめられ、母親からは育児放棄されている彼は、何かと面倒を見てくれる麻薬ディーラーのホアン(マハーシャラ・アリ)とその妻、唯一の友人のケビンだけが心の支えだった。

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 2017年の映画館での8作目。
 今年のアカデミー作品賞受賞作にもかかわらず、僕の地元では上映されていなかったので、東京に出張した際に観てきました。
 ほとんど満席で、前から2列目の端っこでの観賞。

 人種差別を描いた映画、というような漠然としたイメージしかなかったのですが、僕が予想したようなハードな展開ではなく、『グランド・セフト・オート』風な環境での、麻薬の売人といじめられている子どもの心の交流を描く感動のファミリードラマが展開されていきます。


 なんか眠いなこれ……寝不足だからなのかな……それで、ここからどんなふうに盛り上がっていくのだろう……でも、けっこうはじまってから時間経ってるような気がするんだけど……退屈だから長く感じているのかな……


……えっ、これで終わりなの?


「あの夜のことを、今でもずっと、覚えている」


 そのキャッチコピーの「あの夜」って、あれのことだったの?


 観終えて、僕の後ろに座っていた中年女性は「難しい……」と呟きながら席を立ち、その隣の30歳くらいの男性は「しょうもなっ!」とぼやいていました。
 こ、これがアカデミー作品賞……


 黒人、貧困、家族崩壊、イジメ、LGBT……
 これって、あまりにもいろんなことを盛り込みすぎていて、全部中途半端というか、「トッピングを『全部入り』にすると、かえって味が濁るだろ!」とか言いたくなるんですよね。
 こういうのが、「彼ら」が置かれた現実なんだよ!ということなのかもしれませんが、「こんな世の中が悪いんだ!」と憤るような「何か」があるわけでもなく、人が「生きる」とか、家族がうまくいくなんていうのは、実際にやってみるとそんなに簡単なものじゃないんだ、と、しんみりしてしまうのです。
 主人公・シャロンをずっと気にかけ、父親代わりのように接しようとするフアンは、そういう「よき大人」である一方で、仕事は麻薬の売人なんですよね。
 生きるために仕方が無い、とは言っても、いろんな人を不幸に向かわせて日々の糧を得ていることはまちがいなくて、その罪がシャロンに優しくすることで消えるのかどうか。
 僕は「なんだかなあ……」と思いながら観ていて、たぶん、制作側も、そこは「なんだかなあ」って思ってもらいたいのでしょう。

 アメリカ人にしかわからない微妙な琴線みたいなものがあるのかもしれないけれど、僕には理解しがたいというか、『だから何?』としか思えない映画でした。
 なぜこれが、アカデミー作品賞に?
 これなら、『ラ・ラ・ランド』のほうが、ずっとマシな選択じゃないのか……


 まあでも、こういう映画こそ、「アカデミー作品賞」という看板のおかげで、多くの人に観てもらえるという恩恵を受けやすいのも間違いないでしょう。
 そうじゃなかったら、僕もまずスルーしていたし、そもそも、アカデミー作品賞を獲っても、日本での上映館がそんなに多くならなかったのも、買い付ける人たちが「これは、日本人にはピンと来ない映画なんじゃないか?」と感じたからなのだと思います。
 そもそも、アメリカ人は、これをみて、「マイノリティ要素、全部盛り!」以外の感想をもち、「これは素晴らしい映画だ!」って言うのだろうか……
 「白いアカデミー賞」問題がなくても、これが受賞作になっていたのだろうか……


 正直、「ああ、そういうものなんですか……」という以上の感慨のない映画でしたし、他の人にも積極的には薦めにくい。
 アカデミー作品賞という看板に興味がある人は、DVDが出たら、レンタルでちょっと観てみる、くらいでちょうど良いと思います。


ムーンライト

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森永製菓 ムーンライト14枚×5箱

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ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック

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