琥珀色の戯言

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【読書感想】ご本、出しときますね? ☆☆☆☆


Kindle版もあります。

ご本、出しときますね?

ご本、出しときますね?

内容紹介
小説家って面白い! 無類の本好き芸人・オードリー若林正恭と、20人の作家たちが“自分のルール”を語りつくす。 大人気番組、ついに書籍化! 西加奈子朝井リョウ長嶋有加藤千恵村田沙耶香平野啓一郎山崎ナオコーラ佐藤友哉島本理生藤沢周羽田圭介海猫沢めろん白岩玄中村航中村文則窪美澄柴崎友香角田光代尾崎世界観光浦靖子


 「本好き芸人」オードリーの若林正恭さんが、いま第一線で活躍している20〜40代くらいの人気作家たちと対談するBSジャパンの「文筆系トークバラエティ ご本、出しときますね?」を書籍化したものです。
 正直に言うと、僕は最近の本屋大賞直木賞によくノミネートされている、仲良しの人気作家、西加奈子さんや朝井リョウさんや中村文則さん、羽田圭介さんたちが、あまり好きじゃないんです。
 なんかお互いにつるんで褒め合っているのが、感じ悪いな、とか思ってしまうんですよね。
 そこに、又吉直樹さんや若林さんが絡んで、お互いに「すごいすごい」って、馴れ合いかよ!と。

 ただ、そんな個人的な印象はさておき、この対談本では、いまの日本の人気作家たちの「生態」みたいなものが、けっこう率直に語られているのです。
「ああ、僕が勝手に偏見というか、コンプレックスを持って斜に構えてみているだけで、単に同じ仕事をしている人たちと仲良くしているだけ」なのかもしれないな、と思えてくるんですよね。


 角田光代さんについて、西加奈子さんがこんな話をされています。
「書けない」「登場人物の台詞が降りてこない」ときに、どうするのか?

西加奈子何か月も書くから、登場人物たちとも付き合いが長くなるやん。ほな、この子やったらどうやろ、こっちの子やったらどうやろって書いていく。自分を投影するっていうのはあんまりないけど。でも角田さんがおっしゃってた。降りてくることが一切ないって。書くことなくなったりしないんですか?  って聞いたら、あるよって。そういうときどうするんですか? って聞いたら、TSUTAYAの会員になったよって言うてた(笑)。


 ああ、なんか親近感わくなあ!
 まあ、ほとんどの人は、TSUTAYAでDVDを借りても、小説は書けないんですけど、「キャラクターが勝手に喋り出す」なんていう人ばっかりじゃないんだなあ。あの角田光代さんが、そんな感じなのか。


 この対談集のなかでいちばんインパクトがあったのは、『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんでした。

若林正恭コンビニって、いろんな人種が来るじゃないですか。たとえばイライラしてるお客さんが「早くしろよ!」って怒鳴ったり。そんな客がいたら、腹が立ちませんか?


村田沙耶香それを愛するのがコンビニ店員だから。


加藤千恵そうなの!?


村田:そうだよ。店員はみんなそうだよ。


若林:俺、それ無理だわ! だとしたら時給が安すぎる!

村田:よく、「バイトしてるんです」って言うと、小説の題材にするためにお客様を観察してるんでしょう、って言われるんですけど、違うんです。もっと真剣に働いているので、観察はしていません。


若林:コンビニ店員として、真面目に勤務してるんだね。


村田:だって、自分のことを観察してくるコンビニ店員、嫌じゃない?


加藤:うん、わたしはいつも初めてのように接してほしい。


村田:だからタバコも、いつも初めて注文されたかのように承る。「ああラークのいつものやつですね」って出したりは、絶対にしない。「おタバコ何番ですか?」って聞く。今日出会ったかのように。


若林:どの職業でもそうですけど、こちら(客)は、店員さんに影響を受けますよね。店員さんが明るいと、ちょっといい気分になりますよね。すっげー滑った収録のあと、ヨーグルト買って帰らなきゃ……ってコンビニでヨーグルト買って、笑顔で「ありがとうございました」って言われると少し気分が良くなる。


村田:そういう方のために働いてるんです。


 村田さん、僕の行きつけのコンビニで働いてほしい……
 僕もよくコンビニを利用するのですが、どんな店でも「いつもありがとうございます」と言われると、「常連としての愛想の良いふるまい」を求められているように感じて、足が遠のいてしまうんですよね。
 ただ、コンビニのレジで「いつもの!」ってタバコを買う人もときどき見かけるので(「いつものですね」って言われる前から出してくる店員さんもいます)、相性というのはあるのでしょう。
 僕も「いつも初めてのように接してほしい」。


 窪美澄さん、柴崎友香さんの回では、若林さんの「女性を泣かせた過去」についての話が出てきます。

窪美澄部屋とか勝手に掃除されるの、イヤそうですよね。


若林:うわあ、大正解。やっぱりそういう感じが出ちゃってるんだなあ……。俺、酷い人間なんです。この問題で女性を何人も泣かせてるんですよ。まあ、単純も単純。「若林くんの為を思ってやったんだけどな……」とか言われると、「頼んでねえから」って言っちゃうの。わかってます、最低ですよね(笑)でもね、経済の流れから見ても、百パーセント、「人の為を思って」なんてことはありえないでしょう? たとえばボランティアにしたって、やると気持ちいいですよね。奉仕の精神は、もともと人間に備わっている。相手の為にもなるし、自分の為にもなる。それを、「全部、あなたの為よ」とされると……怒りが湧いてきちゃう。人間は結局自分の為に、合理的な行動をとってるんだよ! って。


柴崎:実は自分の為にやってるのに、人の為とか、なにか大きいものの為、という考えがよくないんですよね。


 若林さんも、作家さんたちも、けっこうめんどくさい人たちだなあ、と思うんですよ、これを読んでいると。
 でも、きっとそういう「めんどくささ」に、僕はひきつけられてしまうのだろうな。