琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

【読書感想】マジ文章書けないんだけど ~朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術~ ☆☆☆

内容紹介
朝日新聞のベテラン校閲記者が教える超新感覚な文章講座。
文章の基礎の基礎から、物事を客観的に捉えてストーリーを練りあげる超実践的な文章術まで学べます。


あなたは、自分の伝えたいことをしっかり文章で伝えることができますか?

たとえば、就活のエントリーシート……
伝えたいことをきっちり書けるかどうかで、希望の会社や希望の職種につけるかどうかが決まります。
どんなに伝えたいことがあっても、文章が下手な人はダメな人と評価されてしまいます。

その他、メール、手紙、企画書、報告書、稟議書……
毎日文章を書く機会は山のようにあります。
この本は、どんな場面にも使えて、自分の未来を切り開く武器となる文章力を身につける一冊です。


 オビに「朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術」「各業界の著名人が絶賛」などと書いてあって、このくだけたタイトルとのギャップに首をかしげつつ読み始めてみました。


fujipon.hatenadiary.com


 僕は「文章術」というか「伝わる文章の書き方」を身につけるための本を尋ねられたら、この『新しい文章力の教室』を紹介しています。


 僕自身は、こうしてほとんど毎日なんらかの文章を書いていて、とりあえず書くことに抵抗はありません。うまいかどうかはさておき。
 夏休みの終わりに、毎年「ああ、今年も読書感想文書いてない……」と憂鬱な気分になっていたのがウソのようです。
 でも、この本を読んでみて、痛感したのです。
 世の中には、文章を書くことそのものが苦痛でしょうがないんだけれど、そういう人でも、就職のエントリーシートとか、結婚式のスピーチとか、どうしても文章を書く(作る)ことが求められる場合がある。そういう人たち向けの「文章術」って、盲点だったなあ、って。
 文章術って、それを講義する人も基本的には「書ける人」「書きたい人」なだけに、「書けない人」「書きたくない人」の気持ちって、わかってないのかもしれませんね。


 この本、最初のほうは、読んでいて、「こんなこと、わざわざあらためて言われなくても、わかってるよ……」って感じなんですよ。

<例5>
 タケル君がユミの新しいカレシなんだって。


<例6>
 タケル君はユミの新しいカレシなんだって。


 さて、この「が」と「は」の違いを説明できますか?という話なんですよ。
 小学生の国語の時間じゃないんだからさ……と思うし、自分では使い分けられているつもりなんだけれども、以前書いた文章を読み返してみると「あれ?」って思うことは少なくありません。
 それに、わかっているつもりでも「ちゃんと言葉で説明してみて」と言われると、けっこう難しいものですよね。


 ちなみに答えはこんな感じ。

<例5>の場合は、ユミにカレシができたことは知っていて(既知情報)、それがタケル君だってこと(未知情報)を伝える文。


――ああ、わかる。カレシができてもどんな人か言わないんだよね。あの人が?なんてビックリしたりして。
  <例6>は、みんなのあこがれのタケル君(既知情報)が実はユミのカレシだったってこと(未知情報)を知って、エーッ!ってなるんだ。ああ、よくあるパターン。いやだ、いやだ。


 まあ、そうすねないでさ。未知情報の後には「が」、既知情報の後には「は」がつくってこと。


 なるほど、こういうふうに説明すればいいのか、と。
 こんな感じで、自分ではわかっているし、使いこなせているつもりだけれど、うまく説明できないものを言葉にしてくれる本なんですよね、これ。

 つなぎの意味しかない「だが」「ので」「が」「けど」が出てきたら文を二つにわけてみる。
 そうすれば、必然的に文は短くなる。

 こういうのは、一文が長くなりがちな僕も、意識しなくては。

【問題】次の文をわかりやすく二つにわけてみよう。

 商店街の抽選で当たった朝顔の種をまいたのだが、毎日の水やりが楽しみなのだけれど、仕事が忙しいのでしっかり枯れないようにしたいと思って水やりをしている。

 こういう文章って、「問題」として出されれば、あっさり修正できるけれど、ふだん、書いてしまいがちです。
(と書いて、「問題」として出されれば、あっさり修正できる。でも、ふだん書いてしまいがちです、だよな、とセルフ校正)


 「文章術」と書かれているのですが、ひととおり読んでみての印象としては、「作文が苦手で文章なんて書きたくないんだけれど、就活でエントリーシートを書かなくてはならない大学生が、それなりに個性的なエントリーシートを書くためのノウハウ本」なんですよね。
 遠回りなようだけれど、この本の例題をひとつひとつこなしていけば、最後にはそれなりのエントリーシートが書けそうな気がします。

ES(エントリーシート)の設問
1) 学生時代に一番力を入れたことを具体的なエピソードを交えて記入してください。
2) これまでの人生のなかで取り組んだ一番難しい課題について教えてください。
3) あなたが学生時代にした最大のチャレンジは何ですか。具体的に記してください。


 こういうのを書かされるわけですよね、エントリーシートって。
 でもこれ、難しいようで、志望者の「人となり」を探るには、かなり適格な質問でもあるのです。
 この本は、一般的な「文章術」というより、こういうのを書かなければならないのだけれど、どこから手をつけていいのかわからず、ネットで「エントリーシートの書き方」をみても、いまひとつピンとこない人向けだと思います。
 みんながみている「参考になるサイト」では、差別化するのは難しいだろうし。


 「ブログで個性的な文章を書きたい」とか「作家になりたい」という人には、あまりにも基礎的な内容ではあります。だからこそ、このくらいは最低限確認しておくべきこと、でもあるんですけどね。


fujipon.hatenablog.com