琥珀色の戯言

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【読書感想】マリコ、うまくいくよ ☆☆☆☆

マリコ、うまくいくよ

マリコ、うまくいくよ

内容紹介
頑張れば、むくわれるのですか。
働くって、なんなんだろう?

社会人2年目、12年目、20年目。同じ職場で働く、3人のマリコ
「今日も会議で意見が言えなかった」
「〈会社用の自分〉に、自分がのっとられそう」
「後輩は増えるけど、年上の実感ってない」
彼女たちの問いに、心が揺れ動く。
きっと、私たちは、もうひとりのマリコ

発売前から共感の嵐!
読めば、じわりと勇気が湧いてくる、お仕事漫画。


 僕は益田ミリさんの本を読むたびに、ああ、わかる……と言いかけて、ちょっと逡巡してしまうのです。
 こういうのを読んで「わかった」ような気分になることは簡単だけれど、結局、男という立場で仕事をして、世界をみてきた僕には、実感できないところがあるんですよね。
 性別だけではなくて、年齢や役職によっても、みている世界というのは違ってきます。

 自分自身は出世しようなんて野心はなく、周りも「あの人はそういうタイプじゃない」とみているはずなのだけれど、仲良くしているはずの「仕事ができる同期」に対して、なんだか居心地の悪い思いを抱えてしまう。
 僕はなんとも思っていないけれど、あなたは僕を軽蔑しているのではないですか、って。
 他人の感情を勝手に決めつけて、他人のせいにするのはずるいよね、本当に。


 この本のなかでは、同じ会社で働いている社会人2年目の「岡崎マリコ」、12年目の「矢部マリコ」、20年目の「長沢マリコ」の3人が出てきます。
 会社でのさまざまな状況で、3人はすれ違うのですが、ひとつの出来事でも、2年目のマリコからみえる風景と、20年目のマリコのそれとは、まったく違ったものになるのです。
 「いまの若い者は……」と言われることに反発を感じる岡崎マリコと、そういう若手時代のことを覚えていて、何か気のきいたことを言おうとして思いとどまってしまう長沢マリコ。若手ではないし、年齢で扱いが変わることに反発しつつも、まだ自分は長沢マリコの「お局」的なポジションには至っていないことに安心してしまう面もある矢部マリコ
 この3人に、仕事がすごくできるけれど、女性としては……と社内(のとくに男たち)から見られている桑田さん、という人が絡んでくるのです。
 

 どうして歳をとった人たちは、若い世代を気の毒がりたいんだろう
 てか、うちらを仮想敵にでもしてんのか?
 そりゃ、ダイヤル式の電話の使い方知りませんよ
 ポケベルも実物で見たことありませんし
 PHSを知らぬままいきなりケータイでしたしね
 待ち合わせで会えなかったとかありえないですし

 これを気の毒がったところで、一体何になるんだろう?
 
 だって、もう後退することはないというのに


 僕は「長沢マリコ世代」なので、こういう「昔はこうだったよね」なんて話を、懐かしみながらしてしまうことがあるのです。
 こちら側からすれば、気の毒というより、生まれたときからスマートフォンがあって、字が小さいと感じたときに、紙の本でも二本の指で拡大する捜査をしてしまう幼児をみて、「この子たちは、どこまでの未来をみることになるのだろう」なんて、感慨にふけっているだけなのに……
 まあでも、自分が知らない話をされるのって、あんまり気持ちの良いものではないですよねやっぱり。
 それでも、「黒電話って使ったことがない」というのを聞くと、けっこう驚いてしまうのです。
 人というのは、同じ年齢の他者に対して若い頃に思っていたほど、自分が年を取った実感って無いものだなあ、と感じます。
 いつかは、ガタッとくるもの、ではあるのでしょうけど。


 この本のなかで、ある人物が「人づきあいの良くなる方法」を語っていたのが印象的でした。

 簡単だよ、人とは次に会う時に、気まずくないように別れる、それだけだよ


 ああ、それは確かに簡単そうだよなあ。
 でも、僕の場合は、とにかくその場の自分を善い人に見せるのに精いっぱいで、別れるときには「ギリギリで逃げ切った」みたいになるがちなのです。
 そうじゃなくて、「最後まで油断しない、苛立って、電話をいきなり切ったりしない」ことが大事なのだな、と。
 嫌なことって、やった側は忘れたり記憶が薄れたりしがちだけれど、やられたほうは、ずっと覚えているものです。

 登ってきた山の向う側にあった景色は、のっぺりとした平地だった。
 大人って、社会人って、そんな気分だ。


 正直、僕にはこの本がうまく読めていないような気がするし、こんなふうに、人の気持ちをうまく掬い上げているような本って、かえって、「できすぎ」な気もするんですよ。
 益田ミリさんは、わかっているふりをするのがものすごく上手いだけじゃないか、とか。
 トイレで、小用を足しながら、いろんなものを値踏みする男社会というのも、そんなにラクじゃないのに(少なくとも僕にとっては)。
 

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