琥珀色の戯言

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【読書感想】できるかなロワイヤル ☆☆☆

【Amazon.co.jp 限定】描き下ろし限定ペーパー付き できるかなロワイヤル (SPA COMICS)

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Kindle版もあります。

内容(「BOOK」データベースより)
こりずにやってみよう。てきとうに行ってみよう。この本でやったこと、高知にサイバラ電車を走らせる、クジラの解体を見学、サイバラ仕様の包丁を作る、世界的砂像作家に挑戦…etc.有川浩(作家)、うどよし(書家)、枝元なほみ(料理研究家)などゲストも登場!


 西原理恵子さんの『できるかな』シリーズ、そういえば不定期で『週刊SPA!』に新作が掲載されていたな、と思い出したのですが、前作『できるかなゴーゴー!』から、6年くらい経っているんですね。
 その前作の『クアトロ』から、『ゴーゴー』までが5年。
 ここまでくると、西原さんの『火の鳥』みたいな感じです。
 
 待望の、というか、こちらとしてもちょっと忘れかけていた『できるかな』なのですが、最初の『とさでん交通』で、「サイバラ電車」を走らせる、という企画を読みながら、「相変わらず西原さんのマンガは情報量(というか文字数)が多いよなあ!」と感心していました。
 クラウドファンディングで648万円集めてラッピング電車を走らせ、特別電車のなかで「おきゃく(宴会)」をやる、なんていう企画には、「ダークサイドアンパンマン」の話なども出てきて、「ああ、これぞサイバラ!」とニヤニヤしつつ新幹線の中で読んでいました。
 こういう企画をやるたびに、高須先生は出禁、という条件をつけなければ成立しないというのは、西原さんにとっては少しやりづらいかもしれませんね。
 高須先生に頼んだら、「サイバラジェット」とか一発で飛ばしてくれそうだものなあ。
(ちなみに、「ポケモンジェット」は塗装に1機1億円かかっているそうです。飛行機なので、特殊な塗料を使っているのだとか。この本ではじめて知りました)
 それにしても、地元のことをここまで描いても許されるのだろうか、というくらいの弾けっぷり。「日本三大がっかり名所でもぶっちぎりダントツ はりまや橋 五メートルくらいのただの柵」には笑いつつ、深く頷いてしまいました。
 まあ、ここまでくると「どのくらいがっかりなのか、見極めてみよう」と訪れる剛の者も少なくないと思われます。
 いやほんと、行ってみると「えっ? これだけ?」って周りに誰もいないのに、声に出して確認したくなります。

 あっという間に目標の648万円(ラッピング電車の広告費)を達成し、最終的には896万円もの金額を集めたサイバラ電車。お金をもらった以上は本当に走らせなきゃ怒られる。そこでまずは西原さんに車体広告用のテンプレ(型紙)にラフスケッチを描いてもらう。
 しかし、この時点で早くも問題発生。公共空間の広告だけに事前に審査があるのだが、「脱税」「やり逃げ」といったフレーズが思いっきり引っかかってしまった(そりゃそうだ)。さらに、アンパンマンもどきの絵にも「これはちょっと」とダメ出しが……。


 あと、「包丁編」も面白いというか、技術に圧倒されてしまいます。
 こんな包丁が作れるんだ、それも、日本刀のような切れ味なのか、と。


 ただ、後半、とくに「ボートレース編」などは、「単行本にするのに分量が足りないから、昔の単行本未収録作品やPR用に描いたマンガをかき集めてきてページ数を稼ぎにきたことが伝わってくるんですよ。
 「ボート編」は、競艇のPRマンガなのですが、描かれたのは2011年から12年。
 今は状況が変わっている選手や「この企画はすでに終了しています」という「おことわり」だらけです。
 競艇の話だから、PRだから悪いというわけじゃなくて、もともと単行本に収録するつもりもなく、あくまでも「宣伝のお仕事」として描かれたのが伝わってきて、しかも、6年も前で、情報としても古いものを、なぜ今さら収録したのだろうか。
 競艇が大好きな人なら「こんな選手もいた(いる)なあ」って楽しめるのかもしれないけれど、競艇に興味がない人がみて、「見に行ってみよう」と思うほどのインパクトはなく、描き手の情熱にも欠ける作品群でした。
 
 総じていえば、これで1000円なら、そんなに悪くない、とも思うのですが(最近のエッセイマンガなんて、うっすい内容を引き延ばしまくって商売しているものが多いし)、前半の気合いの入り具合に比べて、後半の「寄せ集め感」があからさまで、「これなら、もうちょっと待って作品が貯まってからでもよかったのでは……」と感じました。
 まあしかし、これでも「6年ぶり」だものなあ。
 漫画家としての作品づくりと高須先生とのプライベート(それはそれで別の作品に描かれている)にかけられている時間を考えると、いまの西原さんは「体験型マンガ」を描くには忙しすぎる、ということなのかもしれませんね。
 『まあじゃんほうろうき』『恨ミシュラン』と、「体験型女性漫画家のパイオニア」としてキャリアをはじめた西原さんには、このジャンルを描き続けてほしいのだけれど。
 そういえば、『毎日かあさん』も、「体験型」だよなあ。


恨ミシュラン (上) (朝日文庫)

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