琥珀色の戯言

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【映画感想】ボヘミアン・ラプソディ ☆☆☆☆☆

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あらすじ
1970年のロンドン。ルックスや複雑な出自に劣等感を抱くフレディ・マーキュリー(ラミ・マレック)は、ボーカルが脱退したというブライアン・メイ(グウィリム・リー)とロジャー・テイラー(ベン・ハーディ)のバンドに自分を売り込む。類いまれな歌声に心を奪われた二人は彼をバンドに迎え、さらにジョン・ディーコン(ジョー・マッゼロ)も加わってクイーンとして活動する。やがて「キラー・クイーン」のヒットによってスターダムにのし上がるが、フレディはスキャンダル報道やメンバーとの衝突に苦しむ。


www.foxmovies-jp.com


2018年、映画館での32作目。
平日の朝の回で、観客は50人くらいでした。


僕自身は『クイーン』をリアルタイムではほとんど聴いたことがなくて、2004年に木村拓哉さん主演のアイスホッケーを題材にしたドラマ『プライド』の主題歌に「Born To Love You」が使われ、再ブームになったときに「いいなあ」と思った記憶があるんですよね。
そのときに、ベスト盤のCDも買って聴いてみたら、「あっ、この曲も『クイーン』だったのか……と。

この映画のタイトルにもなっている『ボヘミアン・ラプソディ』はもちろん知っていたし、あまりにも異質な、面白い曲だとは感じていたものの、ときどき聴いては「こんなのあったんだな」でおしまい、という付き合い方でした。

フレディ・マーキュリーの死のニュースも「クイーンのボーカルの死」というよりは、有名なアーティストがAIDSで死んだ、という印象のほうが強かったのです。

この映画、かなり評判が良くて、僕も楽しみにしていたんですよ。
観ている途中は、クイーンの楽曲の魅力を再認識しつつ、断片的に演奏される『ボヘミアン・ラプソディ』が、いつフルコーラスで流れるのだろう、とワクワクしていました。

正直なところ、良く言えば「神話的」、悪く言えば「寸止め」で、フレディ・マーキュリーという人間やクイーンというバンドの『暗部』についての描写は観客が不快にならない、彼らの「弱いところ」は感じても、嫌悪感は抱かない程度に抑えられているようにも感じたのです。

バンド内って、もっとギスギスしていたんじゃないかと思うし、フレディの「遊び」も、もっとえげつないものだったのではなかろうか。フレディのメアリーや家族との関係についても、もっと「深くえぐる」こともできたはずです。
フレディの闘病についても。

でも、この映画は、あえて、そういうところに踏み込まなかった。
いちおう、「人間・フレディ」を描いているようで、その描き方には、何かよそよそしさがあるのです。
映画というより「再現ドラマ的」というか。

観客は、アーティストであり、「パフォーマーとして生まれてきた男」フレディ・マーキュリーの運命を、クイーンの名曲たちとともになぞり、彼の「命をかけたステージ」に圧倒されてしまう。
フレディ・マーキュリーの「人生」はステージの上がメインで、彼の内面の葛藤や性的嗜好は、ステージの上でのパフォーマンスを充実させるためのエッセンスにすぎない。

ボヘミアン・ラプソディ』は、ひたすら「他のアーティストがやらないこと、オリジナリティがあること」の呪縛にとらわれた若者たち(まだ「何者でもなかった『クイーン』)が、試行錯誤の末につくりあげた「名曲」であり「迷曲」でもありました。
ガリレオって、どういう意味?」
僕も長年疑問だったのだけれど、あなたたちも疑問だったの?
発表当時「長すぎる」「理解不能」「駄作」などの評価が並んだこの曲が、今では「歴史的名曲」として賞賛されつづけているのも、面白いですよね。
そして、僕はあまりこの曲の歌詞に注目したことはなかったのですが、この映画をみていると、若い頃につくられた曲なのに、その後のフレディの人生を予言していたというか、むしろ、この曲のほうが、フレディの人生を引き寄せてしまったのではないか、とすら思えてくるのです。
で、「長すぎる」って批判されて、クイーンはそれに反発しているのだけれど、クライマックスでは……「僕は内心、まあ、やっぱり長すぎるのも事実だよね……」と、凄いステージに興奮しながら、ちょっと笑ってしまいました。
クライマックスのライブは、本当にすごいんですよ。これまでクイーンを知らなかった人でも、「あの観客のひとりになってみたかった!」と思うはず。
そして、なんかカクカクした変な動きのようなフレディなのですが、ライブで観るとすごくカッコいいというか、気持ちが高ぶってくるのだよなあ。


クイーンには歯科医志望だったメンバーがいて、GREEEENはクイーンの影響を受けていたのか……とか、フレディのライブでのパフォーマンスは、多くのアーティストの手本になっているのだな、とか、あらためてクイーンの偉大さも感じるのです。


この映画の最も物足りないところは、人間としてのフレディ・マーキュリーにあまり踏み込まなかったところであり、観客を満足させたのは、「あれこれ汚点をあげつらうことなく、フレディ・マーキュリーの『神話』を完成させるのを優先したところ」だと思います。


僕くらいの「にわかクイーン好き」にも、十分楽しめる作品でしたので、興味を持った方は、ぜひ。
久々にサントラも買ってしまいました。


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