琥珀色の戯言

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【読書感想】不穏な眠り ☆☆☆

不穏な眠り (文春文庫)

不穏な眠り (文春文庫)


Kindle版もあります。

不穏な眠り (文春文庫)

不穏な眠り (文春文庫)

内容紹介
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶。
吉祥寺のミステリ専門書店でアルバイトとして働きながら、〈白熊探偵社〉の調査員として働いている。
「さよならの手口」(2014年4位)「静かな炎天」(2016年2位)、「錆びた滑車」(2019年3位)と「このミス」上位常連の人気ミステリシリーズ、文庫オリジナルの最新刊。

「水沫(みなわ)隠れの日々」
終活で蔵書の処分を頼んできた藤本サツキのもう一つの依頼は、死んだ親友の娘・田上遥香を刑務所から自分のところに連れてきてほしいということだった。刑務所からサツキの元に向かう道で、遥香は車に乗った男たちに拉致されてしまう。

「新春のラビリンス」(「呪いのC」改題)
晦日の夜、葉村は解体直前の〈呪いの幽霊ビル〉の警備をすることになった。ヒーターが壊れ、寒さの中一夜を明かした葉村は、女性事務員の公原から連絡が取れない男友達の行方を調べてほしいと頼まれる。

「逃げだした時刻表」
葉村の働くミステリ専門店でGWに〈鉄道ミステリフェア〉を開催することになった。展示の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。本の行方を追ううちに、互いを出し抜こうとするコレクター同士のトラブルや、過去の因縁まで絡んできて思わぬ展開に……。

「不穏な眠り」
亡くなった従妹から引き継いだ家にいつのまにか居座り、そこで死んでしまった宏香という女の知人を捜してほしいという依頼を受けた葉村。宏香を連れ込んだ今井という男の家を訪ねたところ、今井の妻に危うく殺されかける。今井は宏香の死後、家出していた。


 仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶。
 『このミス』などのランキングでも上位の常連となっており、僕も新しい作品が出るたびに、「今度は葉村さん、どんなひどい目に遭うんだろうなあ」と、楽しみ(?)にしています。
 僕がもう少しミステリというジャンルに詳しければ、もっと面白く読めるはずなのに、と思いつつ。


プレゼント (中公文庫)

プレゼント (中公文庫)


 ちなみに、葉村晶シリーズの第1作は、この『プレゼント』という短編集です。このシリーズ、『不穏な眠り』もそうなのですが、葉村さんのタフさとともに、けっこう後味が悪い結末が多いんですよね。


 この『不穏な眠り』は、4作が収録された短編集なのですが、どの作品も、読み終えてもなんだかスッキリしないというか、問題が解決した、とも言い難いような感じなのです。

 ハードボイルドっぽいのだけれど、トリックや仕掛けも、奇をてらったというか、それはさすがに都合が良すぎるんじゃない?と言いたくなるようなものがあります。

 最初に収録されている「水沫(みなわ)隠れの日々」なんて、ひとつ間違えれば「バカミス」なのですが、このシリーズの場合、本気でやっているのか、「何これ!」と読者にツッコミを入れられることまで想定内なのか、ちょっとわからないところがあります。
 これが許されてしまうのが、このシリーズの魅力でもあり、よくわからないところでもある。

 新しい年の幕開けだ。いい年でありますように。……いや贅沢は言わない。今年こそ、病院に担ぎ込まれませんように。調査料を踏み倒されませんように。依頼人が死にませんように。なにより、こんなところで凍死せずにすみますように。

 切なる願いは、いつも、ひとつしか叶わない。

 
 この「葉村晶シリーズ」、2020年1月から、NHKでドラマ化されることが決まっています。
 葉村晶役は、シシド・カフカさん。
 そうきたか!というキャスティングなのですが、シシドさんがこんな不幸な目に遭うのか……と思うと、それはそれで、ちょっと期待してしまう、かも。


fujipon.hatenadiary.com

このミステリーがすごい! 2020年版

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/12/11
  • メディア: 単行本
さよならの手口 (文春文庫)

さよならの手口 (文春文庫)

静かな炎天 (文春文庫)

静かな炎天 (文春文庫)

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