琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

【読書感想】転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方 ☆☆☆☆

転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方

転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方


Kindle版もあります。

内容紹介
「転職アドバイスが的確すぎる!」「motoさんの発言を参考にしたら年収が上がった!」など、各種SNSで圧倒的支持――! 年収240万円の地方ホームセンター勤務から、4度の転職と副業を駆使して年収5000万円を稼ぐようになった「次世代型サラリーマン」の初の著書。

■今、ネットで最も注目されるサラリーマンのキャリア論

著者のmoto氏は、長野県出身の32歳。新卒で地方ホームセンターに入社し、レジ打ちからキャリアをスタート。現在は広告ベンチャーで営業部長をする傍ら、Twitter、ブログ、note、voicyなどを通じて独自のキャリア論を発信しています。

4度の転職によって、会社員として年収240万→年収1000万を実現したノウハウ、副業年収4000万円を稼ぐメソッド、さらに「本業」で成果を出すための仕事論などが多くの支持を集め、Twitterのフォロワーは約1年で5万人を突破。インタビュー記事がTwitterで日本のトレンドに入るなど、今、最も注目されているサラリーマンの一人です。

■「転職と副業のかけ算」は令和サラリーマンの一つのロールモデル

終身雇用が当たり前でなくなった昨今、サラリーマンにとっての「安定」はかつてないほど揺らいでいます。安定した会社はどこなのか、もし明日会社が倒産したらどうすればいいのか、老後のお金はどうすればいいのか――。

「まず『会社にキャリアを用意してもらう』とか『給与はもらうもの』という従来の考え方は捨てましょう。これからのサラリーマンには『キャリアを自分で取りにいく』『個人で稼ぐ力を持つ』といった考え方が必要です。それが“本当の安定"に繋がります。転職と副業は、そのための誰にでも使える術(すべ)です」(本書より抜粋)

moto氏の言葉は、「キャリアに悩む全ての人たち」に向けられたものです。決してエリートではなく、年収240万円から始まった社会人人生のなかで頭と体に汗をかきながら培ってきた、数多くの知見が本書に凝縮されています。


 世の中には、すごい人っているものだな……と感心しながら読みました。
 高校を卒業したあと、少しでも早く社会に出たい、と地元の短大を出て、アクティブな就職活動で大企業の内定を得たにもかかわらず、地元のホームセンターに就職して、「現場での経験」を積むというキャリア形成は、そう簡単に真似できるものじゃないよなあ、とも思ったのです。
 著者は、その「人とは違うキャリア」を自分のセールスポイントにして、転職をするたびに年収と周囲からの評価をあげていったのですが、もし、内定していた大企業にそのまま入っていたら、どうなっていたのだろう?と想像してしまいます。
 そこでもやはり、頭角を現したのではないか、というのと、そういう「やる気に満ちあふれた人たちの集団」に入っていたら、目立たない存在として、周囲に埋没してしまったのではないか、というのと。
 著者にとっては、回り道にみえるほうが、おそらく「正解」だったのではないか、とは思うのですけどね。
 32歳で年収1000万円というのは確かにすごいけれど、転職サイトなどでの副業で年収4000万円ということに、僕は驚いてしまいました。
 30代前半で年収1000万円というのは、業種によっては至難ではないのですが、副業で4000万円というのは、ちょっと想像もつきません。

 読んでいると、すごい、すごい、と思ってしまうのだけれど、著者には特別な資格があるわけでも、親が資産家で「種銭」があったわけでもないし、東大や京大、ハーバードを出たわけでもない。
 熱意と粘り強さと人生設計の工夫で、人はここまでの「必要とされる人材」になれるのです。
 正直なところ、「ここまで他者にアピールし、自分の力を限界まで引き出して仕事をする」ことができるのは、ひとつの才能だよな、とも思うんですけどね。

 就職先として検討していた企業の選考がすべて終わった後、僕は地元のホームセンターの面接を受けました。
 普段からよく買い物をしていたホームセンターだったのですが、いつ行っても店内のレイアウトが雑で、価格設定も近隣の店舗と比較するといまいち魅力がなく、素人目線でも改善点を挙げられるようなお店でした。キラキラした雰囲気もなければ給料も高くない。地元に根ざした「THEホームセンター」です。
 ただ、このホームセンターはそれまで受けていた大手企業と違い、入社後に自分がやるべきことが”解像度高く”描けました。店舗のレイアウトを変更したり、商品の値段や広告の構成を変えれば、自分でも確実に今よりもいいお店にできる。そんな根拠のない自信がありました。
 迎えた就職試験では、「僕ならお店をこう改善します」と、意気揚々と社長にプレゼン。生意気なことを言ったにもかかわらず、社長は、「じゃあ、やってみてよ」とその場で内定を出してくれました。
 面接で社長が言ってくれた「まずは現場からやってみなさい。必ず君を引き上げる」という言葉も後押しになり、その場で内定を承諾。しかし、その意思決定を親や同級生に伝えると、返ってきたのは猛烈な反対の声でした。
「絶対に大手企業に行ったほうがいい」
「ホームセンターから転職なんてできるわけない」
「それなら大学に編入したほうがいい」
 彼らのアドバイスはみな同じでした。しかし僕は、ホームセンターには絶好の成長機会があると考えていた。自分でこのキャリアを正解にしていくしかない――そう決意し、ホームセンターに入社したのです。

 結果的に、年収240万円でスタートしたホームセンターのキャリアは、10年後に年収1000万円を稼ぐ営業部長への第一歩となりました。


 僕も著者の知り合いだったら、止めていたと思います。
 僕のこれまでの人生を思い返してみると、身近でみてきた大きな成功を収めている人(たとえば、世界的に有名な大学の教授)というのは「この人は、どんな仕事をやってもうまくいっていたんじゃないかな」という印象ではあるので、著者も、どのルートを通っても「成功」していたのかもしれませんが。


 この本には、これまで著者が積み上げてきた「転職のノウハウ」も書かれています。
 転職先の探し方、転職エージェントとの付き合い方、自分の実績のアピールのしかたなど、かなり実践的な内容です。

 僕はこれまでの転職で大きく年収を上げてきました。ホームセンターから現職であるベンチャー企業まで、4度の転職で年収240万円から1000万円まで上昇させています。
 僕が年収を上げてきた転職方法は、年収の高い業界や職種に軸をずらす「軸ずらし転職」という方法です。

 実は年収というのは、「職種×業界」で大枠が決まっています。もちろん、役職(役員、部長、課長、リーダーなど)や、企業ランクと企業属性(外資系、日系大手、中小、ベンチャーなど)も関わってきますが、大きな要素は「職種×業界」にあります。
 例えば、「金融業界大手の営業部長→年収1600万円」とか、「小売り業界大手の取締役→年収900万円」という感じです。企業規模や役職より、業界や職種のほうが年収に大きな影響をもたらしています。

 つまり、転職で年収を上げるには「業界」か「職種」のどちらかの軸を「年収の高い業界」または「年収の高い職種」にずらすのが近道なのです。
 
 特に、業界は年収に大きく影響するので、業界を変える軸ずらしがオススメです。年収レンジの高い業界は、基本的に「動くお金が大きく、かつ利益率が高い」業界が該当します。例えば、商社やコンサル、金融、通信、広告などです。
 各業界における平均年収は「業界別平均年収ランキング」などで検索すればすぐにわかります。もう少し踏み込むのであれば、これから伸びる業界や産業についても知っておくといいです。
 これらの知識を入れたうえで、自分の業界や職種経験を活かし、応用できるような「年収レンジの高い業界」を選ぶのです。
 
 僕は、4度の転職で3回業界の軸を変えたことで、年収240万円から年収1000万円まで年収を伸ばしてきました。
 1社目は小売業界、2、3社目や人材業界、4社目はIT業界、5社目は広告業界と、平均年収の高い業界へ「軸」を移しつつ、営業という職種の軸はそのままに、役職も上げて年収を増やしてきたのです。


 自分がもっている資格や特性というのは、いま働いている企業や業界では「持っていてあたりまえ」でも職場や業種を変えると「貴重な武器」になることがあります。
 僕自身も、前の職場では「持っていて最低限」だった資格が、働く場所を変えたら、「この地域では数少ない専門家」とみなされ、珍重されて驚いた経験を持っています。
 もちろん、一番高い山の頂上に達するには、同じ資格を持つ人たちのなかでの競争に勝たなければならないのですが、ちょっと低めの山でよければ、競争相手が少なくなって、自分なりのやりかたで登頂することは、そんなに難しくはないのです。
 そんな資格なんて無い、と思う人も多いでしょうけど、自分にとっての「あたりまえ」は、必ずしもみんなにとって同じではありません。
 でも、転職や副業って、「変化への恐れ」が先に立って、なかなか踏み出せないですよね。

 僕は、Twitterを主戦場に副業をしています。
 僕の副業は、「サラリーマンとして苦労して得たこと」や「自分の転職経験」をコンテンツにすることで副収入を得ています。「本業は定時で帰って、副業でガッツリ稼ぎましょう」という意見を目にしますが、僕が目指しているのはあくまで「本業で努力をして、その知見で稼ぐ」です。
 これまでのキャリアで得た転職の知見や営業の知識、年収の話など、多くの人の共感を得られるツイートをすることで、Twitterを本格的に運用しはじめて約2年で6万人超にフォローしていただきました。このTwitterの力を活用して、自分の知見をコンテンツ化して配信し、収入に繋げています。
 例えば、僕が使っている「note」というサービスがあります。「note」はブログのように自分で記事を書いて、自ら値段をつけて販売することのできるサービスです。
 このサービスを利用して、本書でもご紹介したベンチャー企業時代に培った「新規アポの獲得術」や、自分の転職体験から得た「年収を上げる転職方法」について記事を書き、Twitterで発信することで、多いときには月に約200万円の収入を得ることができました。


 読んでいて、これは、誰にでもできる、というものではないな、と僕は感じました。
 しかしながら、一つの企業に終身雇用してもらえる時代ではないのは紛れもない事実で、これからは、自分で自分の仕事をマネージメントしていくことが不可欠になってくるはずです。
 そんな時代を生き抜くためのヒントとして、これから就職活動をする人にはとくに役立つのではないかと思います。


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