琥珀色の戯言

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【映画感想】ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 ☆☆☆

メイジー・ロックウッド(イザベラ・サーモン)の決断により、イスラ・ヌブラル島からアメリカ本土へ送られた恐竜たちが世界各地に解き放たれて4年が経過する。恐竜の保護活動に力を注ぐオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、ロックウッド邸で保護したメイジーを大事に育ててきたが、ある日、メイジーヴェロキラプトルとともに連れ去られる。


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2022年16作目の映画館での鑑賞です。
平日の夕方からの回で、観客は50人くらい。
毎月1日の映画料金が安くなる「ファーストデイ」ということもあり、かなり賑わっていました。


「シリーズの壮大なる終幕!」
うーむ……これが「壮大」なのだろうか……
というか、始まって15分くらいの時点で、僕はかなり退屈になってきて、これがあと2時間以上も続くのか……という気分になってしまったのです。

これまでの作品に出てきた人物が一同に会した、同窓会みたいな内容ではあるのですが、登場人物が多いだけに、それぞれの人物の描写が浅いし、ご都合主義の展開ばかり。わかりやすい悪に、『007』の敵がバイクや車じゃなくて恐竜になっただけのアクションシーン。壮大な舞台設定でも、描かれるのはいつもの敵の本拠地への潜入劇。

コイツはさすがに味方になったと見せかけて裏切るヤツだな、と思っていたら、あれ、もう終わり?

まあでも、2時間くらい観ていたら、『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』って、毎回こんなもんだよな、これはこれで、シリーズの「ストーリーは二の次で、恐竜を見せる映画」という伝統に則った作品ではあるな、とも思ったのです。
そのわりには、恐竜が出てくるシーンでも、あんまりハラハラするところがなかったんですよね。
これまでのシリーズでは、演出で、「うわっ!」と席でのけぞってしまうような場面が、1作にひとつかふたつはあったのに。

映画館で観ないと、この映画の恐竜の迫力は伝わってこないけれど、映画館で正規料金を払って観るほど面白いか、と言われると「これまでのシリーズを全部観た人の『ケジメ目的』か、シリーズをはじめて観る子どもを『恐竜だ!』って喜ばせるためなら良いだろうけどねえ……」と言葉を濁さずにはいられないのです。
基本、恐竜を観るための「アトラクション映画」なのですが、それならもっと上映時間を短くして、人間の三流スパイアクションよりも恐竜の迫力や「お化け屋敷感」を重視しても良かったのでは……


ただ、この映画を観ていて、第1作『ジュラシック・パーク』を大学時代に部活のメンバーと一緒に観に行ったことを思い出しました。
ジュラシック・パーク』は1993年公開で、もうあれから30年近く経ってしまったんですね。
映画館のスクリーンで、恐竜が再現される!ということで、上映前にみんなで「どんな映像なんだろう?」と盛り上がっていたのを思い出します。
なかなか全体像が出てこなかった、T-REXがついに現れたとき、僕は心の中で「おおーーーっ!」と感動していたのです。
特撮も、ここまで来たか!と。
ジュラシック・パーク』を観終えて、みんなで話していたのは、T-REXなどの大型恐竜の迫力とともに、「人間くらいのサイズの小型恐竜の集団の怖さ」でした。
観る前までは「大きい恐竜」のことばかり考えていたのですが、観てみると「小さいやつ」がむしろ印象に残ったのです。
思えば、第1作は、小さい恐竜をうまく見せていたからこそ、大きな恐竜の存在感も増していたのだよなあ。
なんのかんの言っても、スピルバーグの演出力は凄かった。


『ジュラシック』シリーズって、全部映画館で観ているはずなのに、記憶に残っているのは最初の『ジュラシック・パーク』だけで、その後の作品は、ほとんど覚えていないのです。誰かの野心でつくられた恐竜パークが、なんらかのトラブルで制御不能になり、パニックになって、主人公たちが恐竜に襲われながら危地を脱する、という鉄板パターンの繰り返し。これだけ毎回大失敗しているのに、まだ恐竜パーク造るのかよ……と思いつつ、第1作のインパクトを期待して、また観てしまう。

「映画館で動いている巨大恐竜が再現された!」というだけでみんなが感動してくれた時代の第1作を超えることなんて、至難なのはわかりきっているはずなのに。
30年も経つと、あのとき20代の僕たちが「映画もここまで来たのか!」と驚いた映像より、もっと技術的には進化しているであろうものを、当たり前のものとして、自分の子どもたちが観ているんですよね。
思えば、遠くに来たものだ。
あの頃観た俳優さんたちも、けっこう年を重ねました。
一緒に『ジュラシック・パーク』を観た人たちは、いま、どうしているだろうか?

マンネリにも程がある、と思いながら観ていたのですが、マンネリだからこそ、過去の記憶が蘇る作品になってもいるのです。
ターミネーター』シリーズのように、新しいことをしようとして迷走し、オールドファンには失望され、新しい観客には意味不明になってしまうよりは、これで良かった、のかもしれませんね。
「映画館で、家族みんなで安心して観られるアトラクション作品」って、最近はほとんど無いですし。


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