琥珀色の戯言

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天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 ☆☆☆☆☆

天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)

天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
あなたは天ぷらにソースをかけますか?赤飯に甘納豆を入れますか?「天かす」と呼びますか、「揚げ玉」ですか?お肉と言えばなんの肉ですか?―ネットで集めた厖大な情報分析は、驚きと発見の連続。実際に歩いて実証した東海道食文化の境界リポート付き。

「あなたは天ぷらにソースをかけますか?」
というタイトルを見て、僕は「ソースなんてかけるわけないだろ普通は」と思ったのですけど、そういう僕も「子どものころ、家では天ぷらに醤油をつけて食べていた」という話をして、妻に「天ぷらは天つゆに決まってるじゃない!」と呆れられたことがあるのです。専門店に行けば「天ぷらは塩ですよお客さん」みたいな話にもなりますしね。

九州で知り合ったものの、母親が茨城出身の僕とお母さんが長野出身の妻とは(長野ではおやつ代わりに虫を食べるっていうんだから!)、かなり「家で食べてきたもの」が違うということをずっと実感してきたので、この本にはさまざまな発見と再確認がありました。
いやほんと、自分が食べ物の「標準」「常識」だと思っていたものは、実はものすごくローカルな食習慣だったりするんですよ。
コンビニで「冷やし中華にマヨネーズ」がついていて、「これはサラダにつけるはずのものが、間違ってついてきたのではないか?」としか思えなかったり、「肉まんに酢醤油」というのも「なんで味がついているものにこんなのがついてくるんだ?」と不思議に感じたり。
ところが、冷やし中華にマヨネーズがついていないとクレームがつくという地方も、この国のなかにあるのです。
その地方独特の「名物」だけではなく、ごく当たり前の食べ物でも、「食べ方のちがい」は少なくない。

ちなみに「天ぷらにソースをかけますか?」という問いに対する結果は以下の通りだそうです。

 やがて都道府県別詳細地図が完成した。改めて言えば「ソースで天ぷら派」が10%以下だったのは福島(0)、岩手(0)、山形(0)、山梨(0)、栃木(5)、群馬(6)、新潟(8)、青森(10)、茨城(10)、宮城(10)、東京(10)の十一都県。無論、東日本勢である。
 逆に50%以上だったのは和歌山(88)、沖縄(79)、高知(75)、福井(73)、鳥取(67)、鹿児島(67)、愛媛(67)、奈良(66)、徳島(64)、広島(59)、山口(57)、大分(57)、大阪(52)、長崎(50)、宮崎(50)、兵庫(50)、岐阜(50)の西日本勢十七府県(かっこ内は%)。

↑の結果の日本地図は、こちらから御覧いただけます。日本地図の右側の「ソースでてんぷら」を選択してみてください(この本のもとになったNIKKEI NETの「食べ物新日本奇行より」)。

あんまり面白くないな、というテーマのものもありますし、キリのいい数字が目立ったり、同じ人ばかりが投稿しているのも「統計学的な信頼度は?」みたいな気がしてくる本ではあるのですが、ひとつの「傾向」はみえてきますし、巻末の著者が自分の足で確かめた「東海道食文化の境界リポート」も興味深いです。
「ずっと生まれた地方に住んでいて、自分の『食の常識』を疑ったことがない」という人には、ぜひ一度読んでみていただきたい本。

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