琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

作家の若年化について

http://d.hatena.ne.jp/donsapark/20040109
を読んで思ったのだが、最近の作家の若年化というのは、インターネットの普及によるところが大きいのかもしれない。
「人生経験のない、青二才に何が書ける!」なんて「作家の人生経験の重要性」というのは、昔から言われていたことなのだが、あの田口ランディさんの「盗作事件」がネットで知り合った女性のサイトから引用されていたものだったように、ある種の「疑似体験」というのは、十分インターネットで可能になっているのだ。
「いろいろな職業を経験する」よりも「いろいろな職業の人のサイトを読んでいく」ほうが、はるかに効率的な情報収集が可能なのではないだろうか?
ひとつ恋愛をするのことより、ひとつ優れた恋愛小説を読むほうが、はるかに「資料」としては効率的なのと同じように。
もちろん、これだけ雑多な情報が溢れているのだから、それを取捨して消化していくというのは、誰にでもできることではないけれど、歴史小説などの特殊なジャンルでなければ、資料集めの優劣は、プロ作家とアマチュアの間の溝はだいぶ埋まってきているのかもしれない。

そういえば、先日読んだ綿矢りささんのインタビューで、彼女は「ネットで個人の日記とかを読んでます」と発言していた。「POPOI」とかを読んでいるのかも(まあ、「吉本ばなな公式サイト」だって、「個人の日記」なんだけどね)。
やはり、「無関係」ではないんじゃないかな。

こういう流れというのは将棋の世界とよく似ていて、羽生さんをはじめとする「新人類棋士」たちは、コンピューターによる過去の棋譜の分析や定跡の研究などで、それまでは「経験がないと埋まらない」と考えられていたベテラン棋士との溝を劇的に埋めてみせた。
パソコンというのは、上手く使いこなせば、そのジャンルによっては「経験の差」を埋めることが十分可能なツールであることは間違いないだろう。

それはある意味、「同世代間の格差が、さらに広がっていく」ことでもあるんだけれども。

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