琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

「好き好き大好き超愛してる。」(舞城王太郎)


※少しネタバレしてます。


「好き好き大好き…」のほうは、行間空きすぎだよこれ、とか思いながら、つい引き込まれて読んでしまいました。いくつかの「愛」のエピソードがパラレルに進行していって、いつかどこかで結びつくのかな、と思っていたら、結局断片的なイメージのまま終わる、という物語。
 舞城さんという人は、きっといろんなことを考えすぎて同じところをグルグルと回ってしまうような人なんだろうなあ、と思います。「世界の中心で、愛をさけぶ」が、「どんな愛も、遺された人間にとっては『記憶』に変えられていくのだ、という残酷な現実を主人公の男が無自覚なまま描写した話だとすれば、「好き好き…」のほうは、まだその「愛する相手」が現実に存在しているうちから、「愛の永遠なんて信じられない」と諦めてしまって、「悟って」いる男の話。片山さんは、大事な人を失った記憶がたぶんあるのだろうけど、舞城さんは、大事な人を失っていくプロセスに立ち会った記憶を持っているのではないかなあ、なんてことを考えながら読みました。
なんだかね、もうマニアックで100通の手紙とかありえなくて、空白の1日なんてどうせたいしたことしてないんだろうな、なんて思いつつも、その「悪あがき」みたいなものに僕はひどく泣けてしまうのです。
バカだなほんと、あなたも私も、って。

それにしても、こういう物語は、ほとんど生き残った側の人からしか書かれない。
まあ、読むのは生きている人間ばかりだから、死んでいく人間からの視点なんていうのは、誰も必要としないのかもしれないけれど。
逆にあの世というものがあれば、亡くなっていく側からの視点の物語ばっかりなのかな。

「ドリルホール・インマイブレイン」のほうは、論評しにくいというか、僕はちょっと評価不能です。フォントいじりがテキストサイトっぽくて、舞城さんって絶対テキストサイトとかやってそうなタイプだと思いました。
それと、あと一種類は「ツームストン」です。

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