琥珀色の戯言

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交流戦と希望格差球界

【盛り上がっている交流戦】とスポーツニュースでアナウンサーが言うたびに、僕は暗澹たる気持ちになる。もちろん最大の要因は、交流戦期間に入ってからの広島カープの際立つ弱さなわけなのだが、交流戦そのものだって、そんなに盛り上がっているような印象はない。というか、野球そのものに、もうあまり魅力を感じなくなっている。最近のカープの試合ぶりは、サンドバックみたいなもので、巷では広島、楽天、日ハム戦は、「ボーナスステージ」とか呼ばれているらしいし。確かに、カープは弱い。今期の勝ち越しカードが、開幕の巨人戦と前回の地元での楽天戦しかないというのも酷い。パリーグのピッチャーに決勝タイムリーを浴び、フォアボールでランナーを溜めてはホームランを打たれ、接戦になったときには必ずミスが出て負ける。リリーフピッチャーは、ここぞというときに必ず点を取られ、打線が反撃を開始したときには、もう9回2アウト。
もちろん、弱いチームはカープだけじゃなくて、楽天だって日ハムだって、今年は巨人だって弱い。でも、今のカープの弱さというのは、本当に出口が無い感じがする。
カープのレギュラーは、ここ何年も変化に乏しくて、外野には緒方と前田がいて、内野には野村と新井、あるいは木村拓也がいる。新井以外は、もう30代半ばにさしかかっている選手たちだ。そして、新井と去年ようやくブレイクした嶋は、もうすぐ30歳。「若手」とは言えない年齢だ。今年「機動力野球の復活」を掲げてショートに入り、トップバッターとして活躍していた尾形は、古傷の靭帯を損傷し、今期は絶望。今後、同じようなプレーができるかどうかも、まだ未知数。ピッチャーは、黒田、小山田(最近は大竹もちょっといい感じ)以外は精彩を欠き、佐々岡・高橋建は悲劇的なまでに出れば打たれ、長谷川は勝負弱く、河内なんてずっと二軍。打線が頑張ればそれ以上に点を取られ、ピッチャーががんばれば、打線は拙攻を繰り返す。
ただし、カープの「弱さ」には、楽天や日ハムや巨人とは違うところがある。カープの弱さというのは、なんというか、ファンの目からみても「これはどうしようもないなあ」と考えざるをえないような弱さなのだ。この10年のFA制度や逆指名ドラフトでカープからは有力選手が抜け、ドラフトでも「逆指名しない」どころか「来てくれない選手は取らない」という弱腰を続けてきたため、選手全体の質が下がってしまっているのだ。でも、その選手たちは、厳しい練習に耐え、頑張っているというのは伝わってくる。しかしながら、年々、「頑張ってもどうしようもない」というところまで、力の差は広がってきているのだ。そして、頑張りすぎた選手たちは怪我をして、さらに残りの選手たちに負担がかかって消耗していく。巨人などは、どうせ来年になれば大補強をして優勝候補になるのだろうし、日ハムも、けっこう積極的に補強をして「勝とう」という姿勢はみせている。北海道のファンたちも熱い。楽天は、まだこれからチームを創っていく時期だ。

カープは、弱い。そして、今のままだと時間が経つにつれ、さらに弱くなっていく。トランプの「大富豪」のように、最下位からはいいカードが抜かれて、勝者に与えられていくのみだから。そして、他のチームより強くするためのフロントの努力は、放棄されている。
「存続していること」にだけ意味を見出しているチームを応援することは、非常に辛い。でも、それが現実だし、僕は今さら金満球団に宗旨替えをすることなんてできない。自分でも、マゾだなあ、とか思う。試合を観るのだって辛い。身を切られているようだ。
正直、そういう「希望格差社会」が反映された野球の世界を観るのは悲しい。
ソフトバンクのオーナーなんかは、「金に糸目はつけない」とか言っているのに。

先日の横浜・オリックス戦は、雨の影響もあってか、実数で2200人という今期最少観客数だったらしい。これで、本当に盛り上がっているのか?交流戦って。
交流戦とか言っても、所詮、予定調和の一部だし、野球が面白くない原因は、対戦カードのマンネリ化だけじゃない、ということはよくわかったけれど。

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