- 作者: 瀬尾まいこ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/20
- メディア: 単行本
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久々に物語を読みたくなったので、この本を手にとってみました。
けっこう率直な感想を書きます。
(以下ネタバレあり)
確かに、心温まる「いい話」ではあるのだけれど、正直僕は、この手の話に食傷気味なのです。瀬尾さんはすばらしい文章書きだし、ハッとさせられるような表現もたくさんあるのだけれど、その一方で、今の「感動的な本」には、こういう「家族」とか「身近な人が傷つくこと」とか「突然の死」が、あまりに安易に配されすぎているのではないか、と。なんだか、西加奈子さんの「さくら」を思い出しながら読んでました(発表年代的には、こっちが先なんだけど)。「セカチュー」あたりの責任なのかもしれないけれど、とくに若い作家たちは、「感動」を創り出そうとして、あまりに安易に人を殺しすぎたり、傷つけすぎたりしているんじゃないかな、と、これを読みながら思ったのです。これは単純に僕が読んだ順番によるだけで、瀬尾さんひとりに帰すべき話ではないんだけど、僕は「そう簡単に、人は死ぬもんじゃない」と思うし、そういう「ドラマチックな出来事が起こらない中で、かみ合わない日常」というのが、現実なのだという気がします。この本のなかでは、最後の章は、ちょっとあざとい感じがして僕は苦手です。
いや確かに、人って信じられないくらいアッサリ命を落としてしまうこともあるんだけど、それにしても、なんかこう、もうちょっとオリジナリティがあってもいいんじゃないだろうか。
でも、最近あんまり本を読んでいないような中高生が、夏休みに一冊読んでみる本としては、いい本なんじゃないかな、と思います。