琥珀色の戯言

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マジックなんかじゃない

http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-051017-0042.html

 僕は九州人なので、一応ソフトバンクを応援していたつもりなんですけど(実はカープ以外のチームにはあんまり興味ない)、今年に関しては、本当に千葉ロッテマリーンズの闘いぶりに感動させられました。いや、一歩外に出て同僚と顔をあわせれば「ソフトバンク残念だったね〜」くらいのことは言いますが。
 今日の試合を観ていて思ったのは、とにかくロッテのバレンタイン監督というのは、選手を信頼していて、選手を「駒」ではなく、「チームの仲間」として見ているのだなあ、ということでした。いや、そんなの当たり前だって言うかもしれないけど、本当にそれが伝わってくるリーダーなんて、そんなにいるもんじゃないんだよ。
 8回、初芝が代打で出てきたとき僕が思ったのは、「ロッテ、ちょっと試合諦めたのかな?」ということでした。もちろん初芝は経験のあるベテランだし、いい打者ではあるけれど、今年で引退を表明している選手。勝負どころにしては、ちょっと感傷的な起用じゃないかなあ、という気がしたのです。でも、その初芝が塁に出て流れが変わりました。
 そして、9回の裏の攻撃の際、バレンタイン監督は迷わず小林雅英をマウンドへ。第3戦で4失点した「守護神」を、この場面で使うことには、やっぱり、不安もあったと思うのです。でも、「だからこそ」ここで小林雅を起用したというのは、本当に凄い。そして、その「迷いのなさ」が、小林雅にとっての自信になったのではないでしょうか。
 優勝インタビューでも、バレンタイン監督は、(福岡ドームということもあったのでしょうが)、終始選手たちと相手チームであるソフトバンクを褒め称えていたんですよね。そういうのが「アメリカ式スポーツマンシップ」なのかもしれませんが、それでも、僕はバレンタイン監督がインタビューで言っていた「これはマジックなんかじゃないんだ」という言葉に、涙が出そうになりました。
 バレンタイン監督に比べたら、阪神の岡田監督には「品性が足りない」という気がします。春くらいにカープが首位を走っているときに、スポーツ紙のインタビューかなにかで「どうせ広島は『鯉のぼりの季節』までだから」という岡田監督のコメントが載っていたのですが、そんなの、そこらへんのおっちゃんレベルのイヤミで、「プロ野球チームの監督」が、「同じプロ野球チームを評する言葉」としては、あまりにも配慮不足です(まあ、その通りの結果になったんですけどね。それにしてもさ)。「自分のチームさえ良ければいい。相手チームの悪口なら言ってもいい」というような姿勢っていうのは、なんだか視野の狭さを露呈しまくっています。まあ、あの人は「8球団論者」らしいし。バレンタイン監督は、ロッテの監督であるのと同時に(あるいはそれ以上に)「職業野球人」だけれども、岡田監督は、単なる「阪神の監督」でしかない、それが僕の持っている印象です。いや、日本のプロ野球の監督は、ほとんどが「岡田監督タイプ」なんですけどね。

 ロッテというチームは、本当に長い間「パリーグのお荷物的存在」で、考えてみれば、この10年くらい「ドラフトの目玉選手」を指名することもなければ、大金を投じてFA選手を獲得することもありませんでした。にもかかわらず、地道なスカウティングと徹底した「守りの野球」(とくに二遊間の守りは凄かった!)と「ファンサービスの精神」で、ついに「金に糸目はつけないぜホークス」に勝ったのです。いや、あのプレーオフってシステムは、理不尽極まりないんだけど、制度の善悪はさておき、僕はロッテの優勝を心より祝福します。というか、心底羨ましい。カープの目指すべきチームは、まさにこの、今年のロッテなんだよなあ。

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