琥珀色の戯言

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武豊の3センチ

今日の日刊スポーツ紙面の「無敗3冠カウントダウン〜あと3日」より。

【4万6千人のファンがディープインパクト見たさに集まった秋初戦(神戸新聞杯)のパドック武豊騎手がまたがった瞬間、けげんな顔でささやいた。「ほんの3センチくらい前に、気持ち程度ですよ。ユタカが、鞍の位置が少し後ろだから直しましょうって。でも締め直す間、気合が乗ってるから大変。抑えるのに必死で…」。市川厩務員が、地下馬場の舞台裏を振り返る。騎手と競走馬をつなぐ接点は手綱と鐙(あぶみ)だけ。親指ひとつで乗る鐙は鞍と直接つながっている。以前、武豊騎手からこんな話を聞いたことがある。
「ちょうど亀甲(きこう)上、みんなより少し前に鞍を置くのが乗りやすい。馬はどこに乗られれば走りやすいか、あるいは邪魔にならないか。馬とのバランスは大事やね」
 首付け根と背中の間にある亀甲。その垂直線上にある馬の重心に乗ることは、馬の全能力を引き出す天才の生命線。ズレれば負担を掛ける。
「彼は自分を馬の重心に合わせるのが本当にうまい、だから掛からず、最後も伸びる」。ある騎手はそう賞賛する。
 3センチを感じ取れる才能と努力が勝利を重ね、数々のG1勝利をモノにしてきた。それが神戸新聞杯圧勝を生み、腕比べ、知恵比べの3000メートルの菊花賞ならなおさら生きる。】

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 ちなみに武さんのコメントは、「鞍?またがった瞬間、違うと思ったから。」だったということです。騎手の平均というのがどのくらいかわかりませんが、武豊という騎手の凄みが伝わってくるエピソード。長距離レースに強いのは、けっして、馬に恵まれているからだけではないんですね(もちろん、いい馬に乗っているのも事実ですけど)。
 人の乗りやすさではなく、馬の乗られやすさに合わせるという、まさに「天才」の領域。
 しかし、この最強馬にとって惜しむらくは、このディープインパクトを脅かすライバルが、アクシデント以外には考えにくいことでしょうか。最強馬+最強騎手というのは、ある意味、「卑怯」なのかもしれません。
 血統的にはお姉さんがレディブロンドということで、3000メートルは長いのではないか、とか考えたりもしてみたのですが、あのレースぶりと他の馬との力関係からいうと、大きな問題にはなりそうもないです。むしろ、レディブロンドのほうが、「偶然短距離馬が出た」ような気もするし。

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