琥珀色の戯言

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アクセス数が多いと、楽しいのか?

http://blog.livedoor.jp/kangaenai/archives/50119823.html

 うーん、そいつは「感覚が違う」のではなくて、「まだまだこれから」というだけなのかもしれません。
 「とにかくアクセスを!」という姿勢は「アクセス厨」などと呼ばれて、個人サイトの世界では、もっともバカにされやすい管理人の態度のひとつなのですが、僕個人の体験からすれば、「アクセスが多い」というのは楽しくもなんともないけれど、「アクセスを増やしていく」という過程は、けっこう楽しいのではないかなあ、と思うのです。露悪的な言葉にすれば、それはひとつの「ゲーム」みたいなものだと言えなくもないのです。たとえば、「こういうことを書くと、こんな反応があるんだな」とか「こういうのがWEBではウケるのか」という試行錯誤そのものが、けっこう面白いのだと思います。そして、「アクセス数」という結果が出ると、やっぱり嬉しい。そういうのって、世界というパズルの答えが少しだけ解けたような気がしてくるし。
 僕みたいに特別な才能もなく、芸術や音楽をその「実験」の手段にすることはできない、普通に生きている人間にとっては、世界に対して、そんな「壮大な実験」を行える機会なんて、なかなかないものだから。
 その一方で、「誰か1人でもいいから、この気持ちに共感してくれないか」と切実に感じて書いていることもあるのですが、そういうときでも、「アクセス数」というのは、「母集団」ですから、それが多ければ多いほど「私もそう思います」と言ってくれる人がいる可能性も増えていくわけです。もっとも「叩かれる」頻度も増えるのだけれども。
   それにしても、アクセス数ってやつは、まさに魔物。僕も最初は、「10人の知らない人が!」みたいな時期がありましたし、今でも、そういう出会いみたいなものに対する感謝の気持ちはあるのですよ、本当に。でも、最初は10人で満足できていたはずなのに、どんどん「それじゃ物足りないような気分」になってくるのです。「アクセスの多さ」というのは、もっともわかりやすい「自分が書いているものが読まれている頻度」なので、やっぱり増えると「せっかく書いたのだから、大勢の人に読んでもらいたい」という欲求が満たされます。そして、一度どこか大きなサイトからリンクされて、たくさんのアクセスを得るという経験をすると、その波が去ってアクセス数が元に戻ったあと、なんだか、「つまらなくなったから、人が来なくなったのか?」という焦燥感に駆られてしまったりもします。そういう焦燥感に駆られて「話題性だけの記事」を書いてしまって自分を追い詰める例も、枚挙に暇がないのですが。実際は、そんな波を繰り返しながら、サイトというのは少しずつアクセスを増やしていくわけなのですけど。
 それに、基本的には、サイトをやっていてもそんなに喜ぶべき反応なんてたくさんあるものではないから、「アクセス数」というのは、数少ない「目に見える反応」なんですよね。長年やっていると、書いている側が「今日は面白いんじゃないかな」と思った日には増えることが多いし、逆に、「書いていてどうもピンとこなかったけど、やっぱりダメだったか…」ということもよくあります。「アクセス数なんて、運とか宣伝」と言うけれども、長いスパンでみれば、「お客さんは、ちゃんとわかっている」のです。それはもう、悔しいくらいに。ほんと「今日は手抜きだってわかりました、よね…」と謝りたくなるほどに。
 もちろん、予想外のところから大きな反応があったりして、そういうのもまた面白いのですが。
 まあ、全体的に言えば、「サイトの質」と「アクセス数」というのは、必ずしも正比例するものではありません。それには「運」とか「宣伝のテクニック」が介在するから。ただし、個々のサイトでは、確かに「より面白く、より更新頻度が増えれば、アクセスは増えていく」のだと思います。それは、10が20になるくらいの場合もあるでしょうし、1万が10万になることもあるでしょうけど。
 よく「アクセス数だけがサイトの価値ではないし、アクセスが少なくても面白いサイトはたくさんある」と言われますし、僕もそう思います。面白くても「交流下手」「交流嫌い」で世に出られないサイトというのは、本当にたくさんあるのだろうし。
 でも、だからといって、「アクセスが多い」=「アクセス厨」みたいなのも、一種の偏見なのではないでしょうか。

 僕は昔、「月刊カドカワ」のインタビューで、MR.CHILDREN桜井和寿さんが、【それまでのミスチルは、音楽評論家には高く評価されていて、『もうすぐブレイクするバンド』にいつも挙げられながらなかなかヒット曲を出せなくて苦しかったんですけど、『CROSS ROAD』が百万枚売れたとき、僕の中で、「ミリオンセラーになる曲の創りかたがわかった!」と感じたんです。それを形にしたのが『INNOCENT WORLD』です。】と言っていたのを読んだことがあります。そのときは、「なんて傲慢な…」と思ったのだけれど、確かにその後のことを考えると、桜井さんは「掴んだ」のですよねそれを。そして、それに従って、実際にミリオンセラーを生み出したときは、ものすごく爽快だっただろうなあ、と思います。
 だからといって、僕たちの多くはミスチルの曲に「売れ線ばかり狙った曲」という印象は持っていないはずです。おそらく桜井さんは、「ミリオンの方程式」を見つけたとき、嬉しくてしょうがなかったのだろうけど(だってそれは、「音楽で御飯を食べていけること」とイコールなのだから)、あくまでもそれは、「自分の言いたいことを、多くの人に伝えつつ御飯も食べられる」というテクニックだったのでしょう。あるいは、「売れることばかり考えて言いたいことを言わなければ、かえって売れない」ということだったような気もするのですが。
 少なくとも、売れなかった名曲っていうのはたくさんあるけれど、売れたから駄作だというのは、言いがかりでしかないのです。
 なんかもう、どんどん脱線しているのでこのへんでやめますが、「特定の仲間を作ろうと志向するサイト」は別としても、一般的には、「自分の力を試したいサイトの場合、アクセスが増えていくほど楽しいことって、他にはあんまりないんじゃない?(ネガティブアクセスは除く)」と思います。いや、僕自身は、あんまり増えて身内バレすると困るので、今くらいで十分すぎますが。
 サイト運営って、「ファイナルファンタジー11」よりもリアルで危険だけどやめられない、傑作オンラインRPGなのかもしれません。 

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