琥珀色の戯言

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レイザーラモンHGをゴールデンタイムで起用してはいけないのか?

http://d.hatena.ne.jp/lelele/20051205

僕はHGけっこう好きなので、あんまりテレビに出なくなったら寂しいです。いや、HG自身も雑誌のインタビューなどでは、「このキャラは長続きはしないから」なんて答えていたので、本人も「どうせ散るなら派手に!」と考えている節もありそうですが。
でも、この「多様な価値観の提示としてのHG」っていうのには、僕はちょっと違和感があるんですよね。
http://d.hatena.ne.jp/ultravisitor/20051125#p1にも書かれているように、HGさんは、「本当のハードゲイ」ではありません。あくまでも、あれは芸人としてのスタイルなのです。そして、HGさんは、あれを「ハードゲイに対する啓蒙のために」やっているわけではなくて、シンプルに「自分に向いた、面白いネタ」として選択しただけだと思うのです。HGさんはもともと大学のプロレス同好会で大活躍していて(それで、ハッスルマニア」でもあれだけの活躍ができたのです)、マッチョなものへの憧れもあったみたいですし。そもそも「レイザーラモン」っていうのは、アメリカの有名なレスラーの名前からきているくらいですから。
僕が思うに、HGさんの「面白さ」っていうのは、「下品だから」じゃなくて、今の時代では珍しい、肉体的な説得力にあるのではないでしょうか。最近のお笑い界が「あるあるネタ」とか、「ヘンな(あるいは、異常な)人が出てくるコント」主流になってきて、やや「頭でっかち」になってしまっている中で、HGっていうのは、あの太い声と鍛えられた身体、「フォー」とか「腰振り」という大きな動きなどで、すごく「絵になる」芸人なんですよね。先日「エンタの神様」にレイザーラモンが出てきたときも、HGが登場したとたんに、場内は大歓声でした。あれだけ「出てくるだけでウケる」という説得力のある芸人って、最近あんまりいない気がします(そのコントのネタそのものはさておき)。そして、そういう「動き」で勝負するネタだから、子供にも伝わりやすいし、マネしたくなるんですよね。僕もあれ、子供だったら絶対マネしてたと思う。大人だって、こっそりやってみたりしたことないですか?
 HGは「面白くてわかりやすいから」子供にも人気があるのだと思うし、そこに、「ゴールデンタイムにハードゲイなんて!」とか、「HGを観ることによって、マイノリティへの理解を促進する」なんていう教育的な見地を持ち込むのは、なんだか無意味なのではないかと。
 そもそも、「マイノリティへの理解のため」であるなら、HGよりもっと「教育的なもの」はたくさんあるはずですし(むしろ『1リットルの涙』を観ろよ!とか)、逆に、「教育上良くない」のなら、「ワンナイ」とか「リンカーン」とかの「弱者イジメを前提としたコント」のほうが、よっぽど「教育上良くない」と僕は思うわけですよ。
 HGは「面白いから」ゴールデンタイムに出てもいいというか、出て欲しいし、子供だって「いやらしいから」好きなんじゃなくて、「面白いから」好きなんだよね。そこに、PTAをはじめとする大人たちが、「そんなもの観ちゃいけません!」と言えば言うほど、「禁断の味」というスパイスも加わるわけで。
 確かに、ああやってテレビに出ることによって、「マイノリティへの理解」を促進するというか、親しみを増すという効果もあるのかもしれません。でも、それはあくまでも副次的な効果だし、必ずしもそれが正しいものとは限りません。「ミスターレディ」が流行ったあと、「オカマへの認知度」は高まったし、偏見は薄れたようですが、その一方で、結局は「水商売でしか生きる道がない」というのが現状だというのは、本当に「認知」が「理解」につながっているのか?と疑問になるところでもあるのです。どう考えても、HGを観ることが、本当の「ハードゲイ」の人たちへの理解を深めるとは思えないんだけど。
 僕は「出てもいい」と思うのですよ。あとは、「親が観せるかどうか」に尽きるんじゃないかなあ。テレビでやっているからといって、小さな子供であれば、「家で観られるか」というのは、親の裁量にかかっているだろうし、それこそ「親の責任」なのではないでしょうか。僕も「ドリフ」とか「ひょうきん族」とか観ていたし、親は何も言わなかったけど、今は一応普通の大人です。ただ、皇族の人たちとかを観ていると、ああいうふうにするためには、「ドリフ」とか「ひょうきん族」を観せてはダメだろうなあ、とは感じますけど。
 まあ、そんなに心配しなくても、署名集めているうちに、子供たちのほうが先に飽きてしまいますよ、きっと。
 「とりあえず、大人も子供も面白いと思っているから、いいんじゃない?」と。別に、教育的だから観せてもいい、というほど「教育的」であるとは思えないけどさ。子供だって、そんなにバカじゃありませんし、子供にだって娯楽は必要です。10年経ってもヒゲダンスやってる人なんて、いないんだしさ。ああ、でも「カラスの子」は、♪カラスの勝手でしょ〜、じゃないほうの本当の歌詞がなかなか思い出せないな。

 ちなみに、http://www.enpitu.ne.jp/usr6/bin/day?id=60769&pg=20051118に、HGさんの苦労話を引用しています。ただ腰振って、「フォー!」って言っているしか芸がない、なんてわけじゃなくって、けっこう苦労されているみたいです。

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