http://d.hatena.ne.jp/chd/20060109#p1
どちらかというと、↑で紹介されている「なんちゃって起業熱」への言及のようになってしまうのですが。
僕は「ヒルズ族」の人たちは、女子アナや芸能人と付き合ったり、豪華なホームパーティに連日行けたりして羨ましいなあ、とかけっこう思うときも多いのですけど、実際のところは、そんなに甘い世界でもないわけで。
- 作者: 藤田晋
- 出版社/メーカー: アメーバブックス
- 発売日: 2005/06
- メディア: 単行本
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だから、「ラクして起業しよう」なんていうのは、たぶん「起業すること」よりも「ラクすること」のほうを重視する人の考え方であって、よっぽど運がよくなければ、「身を粉にして働いても、うまくいくのかどうかわからない」くらいが現実です。インターネットオークションの利ざやで稼ぐというのも、果たして、あと何年もつことか…たとえば昔は中古ゲームの値段というのは店によってマチマチで、街の量販店で特価ゲームを買ってきて、田舎のゲーム屋に売ることで利ざやを稼いだりもできたんですよね。でも今は、「適正価格」というようなものがたぶん業界全体である程度決まっているような状況になっていて、昔ほど「このゲームがこんなに安いのか!」と驚かされるような「掘り出し物」を見つけられる機会はほとんどなくなりました。これからは、ネットオークションで利ざやを稼ぐような商売そのものも、「企業化・標準化」されてくる可能性が高いので、よほどの「目利き」であるか、勤勉でないかぎり、生き残っていくのは難しいと思います。それこそ、「在宅でできる」という以外のメリットって、あんまりないかもしれません。
それに、起業するっていうのは、仕事そのもの以外にも、いろいろと難しい問題があって、例えば「人を使う」ということの難しさもありますよね。みんなが自分の思ったとおりに動いてくれるわけではないし、場合によっては、クビを宣告しなければならないかもしれません。相手も生活がかかっているということを知っていたとしても。それに、起業の最初の時期というのは、とにかく頭を下げなくてはならないことって多いみたいなのです。大学でもけっこう上のほうだって先生が、自分の病院を建てたときには、患者さんを紹介してくれるように、周りのみんなにものすごく腰を低くして「お願い」されていましたし。「会社をつくれば、お客さんが向こうのほうからどんどんやってくる」という幻想を抱く人は多いのかもしれませんが、そんなことは絶対にありません(これって、サイト運営と同じだな)。某「小泉チルドレン」の女性は、官僚から衆議院選挙に出馬するとき、いきなり地元の人たちの前で土下座をして、頭を地面にすりつけたそうです。まあ、土下座という行為の是非はともかく、そのくらいやらないと「成功」なんてできない、ということなんですよね。
「地道に働く」というのと「起業で大成功」というのは、全く別のルートだと思い込んでいる人が多いのかもしれないけれど、実際は、「成功に王道なし」なのでしょう。あとは、「サラリーマン向き」か「起業家向き」かという個性の違いがあるだけで。
こんな話があります。
「一番ラクして金持ちになれる方法を教えてあげようか?」
「えっ、ほんと?教えて教えて」
「『ラクして金持ちになれる方法』っていう本を書いて売ることさ」