琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

「白夜行」続き

 雪穂の子ども時代の福田真由子の評価が高かったみたいだけど、僕は泉澤祐希の演技にも拍手を送りたい。雪穂というのは、もともと「演技しながら生きるようになってしまった女性」で、そういう意味では、福田真由子は「上手な演技」だったし、それに対して、泉澤祐希は、亮司を傍からみれば幼稚に見えるくらい真っ直ぐにやっていて、それがこの2人の関係にはすごくふさわしかったように思えるのだ。お互いの役柄に合っているという意味では、どちらがというわけではなくて、両方とも素晴らしかったと思う。僕は「自分の演技の上手さを押し付ける演技」よりも、泉澤祐希のような「役柄を生かすような演技」のほうが、なんとなく好きだ。
 それと、このドラマを観て「面白い」という感想がけっこうあったのに、実はちょっと驚いている。だって、あの内容は、どちらかというと「目をそむけたくなる」ようなものではないだろうか。生活苦から娘を売る母親(「お母さんも同じことをして、お前を育ててきたんだからね!」というのは、本当に痛々しい)と一見平和そうに見えているものの、実際は崩壊しており、少女買春をやめられない父親。さすがに、どこにでもある話ではないだろうけれど、大人の視点からすれば、あの親たちだって「自分がこんなふうになっても、おかしくないのではないか」という気もするのだ。あの人たちは、本当にダメな大人だけれど、大人というのは、多かれ少なかれダメな存在なのだし。だからといって殺されてもいい、なんてことはないのだけれど……
 でも、どうなのだろう?この「白夜行」って、今の世の中では、「こんな話は、もう観たくない…」と考える人がたくさんいるほどの「酷い話」ではないのだろうか?

アクセスカウンター