琥珀色の戯言

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西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

児童文学っぽい内容に大きめの字、空いた行間。ああ、なんか柄にもない本を読み始めちまったな、という感じだったのですが。読み終えて、清々しい気持ちになりました。このくらい子どもの感情に媚びていない(と僕は思ったけれど、今のリアルな中学生にとってどうなのかは、正直わかんないんだけどさ)小説じゃないと、かえって子どもにも伝わらないんだろうなあ、という気がします。
それで、僕がこれを読んでいちばん考えさせられたのが、自分の「生」に対するスタンスなのですよ。僕も子どものころは、「歴史の片隅にでも、名前を残せる人間になりたい」なんてココロザシがあったのですが、今は正直、「太っても美味しいものを食べたい」とか「勉強するのめんどうだから寝る」とか、かなり現世利益方面に比重を置いて生きているわけです。まあ、どうせそんなエライ人にはなれそうもないことは、自分でもわかるしね。
でも、この本を読んで、なんというか、自分が死んだあとに周りの人に「あの人は『偉人』ではなかったけど、立派な人だった」と言われるような生き方をしなくてはならないな、と思えてきたんですよね。周りがどうであろうと、ちゃんと、背筋を伸ばして生きるように心がけなくては、って。むしろ、生きることに慣れ、死ぬことを諦めてしまった大人こそ、読むべき本なのかもしれません。
ただ、あとがきの人が、これを「田園小説」的な「スローフードスローライフ推奨本!」みたいに解釈していたのが、僕にはちょっと寂しかったのだけれど。

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