- 作者: 阿川佐和子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/02/16
- メディア: 文庫
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阿川さんが小学校四年生のときに、先生のいいつけで毎日日記をつけていて気づいたこと。
夜になり、その日一日のことを振り返る。
……今日、○○君とこんなことをおしゃべりしたが、私はこう思う。○○さんは怖い人だと思っていたけれど、こんな話をしてとてもいい人だと思った。掃除の時間、男子と女子が言い合いになり、そのとき○○さんが私と同じ意見を言ってくれた……など。
そんなちょっとした教室内での事件や思いついたこと、感じたこと、ときには密かに思いを寄せている男の子についての内緒話まで、好き放題に書きつづった。そうやって書いていると、心が落ち着いて、安心するのである。面と向かってだと到底言い出せない不満や悲しいことを夢中で書きまくってみれば、実は他人だけではない、自分にも非があったことに気づく。
長年サイト(ブログ)をやっていると、「他人に読まれるための文章」にこだわりがちになってしまうのですが、実は、「日記」というものには、こんなふうに「書いているうちに、自分の考えや行為を見つめなおすことができる」というメリットがあるのですよね。いや、僕は昔はまさにそのために日記を書いていたのだけれど、いつの間に「読者」を想定するようになってしまったのだろうか。
たぶん、誰も読んでくれないような「日常日記」にも、書いている本人にとっては、大きな見返りがあるものなのです。これからは「多くの人に発信するブログ」の隆盛の一方で、「日常日記への回帰」を求める人も増えるのではないかな、と僕は最近考えています。
「書く」こと以上に、自分を客観的に見つめなおせる行為って、あんまりないですし。