琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

日記を読んでいるのは誰だ?

絶対音感日記」http://zettaionkan.hp.infoseek.co.jp/ の(5/7)

 そういえば昔何かの小説を読んでいて、「ストレッチャー」という言葉に解説がついていて驚いたことがありました。冷静に考えれば、病院以外の場所で、「ストレッチャー」なんていうのは、そうそう使われる言葉ではないんですけどね。まあ、最近は医療モノのドラマも多いので、けっこう耳慣れてきている言葉かもしれませんが。
 例えば、病院で医療関係者どうしで話している場合には、「ストレッチャーとは何か」なんて、いちいちお互いに説明しあったりしません。もしそんな人がいれば、「うざい」と一蹴されてしまうでしょう。
 でも、僕たちが病院外で話をしたり、こういうブログとかに書くときには、ちょっとここで考えるわけです。
 「さて、この言葉、説明したほうがいいのだろうか?」と。
 もちろん、可能であれば、文中リンクのような形式でリファレンスを作っておけば、それに越したことはありません。「はてなキーワード」とかは、もともとはそういう意味あいのサービスだったのでしょうし。しかしながら、実際のところ、すべての「専門的な」記述に対してそんなことをするのに時間や手間をかけたくない、というのが、おそらく一般的な見解だと思います。
 そこで、「誰に読んでもらいたいのか?」と、考えるわけです。
 もし医療の世界に対して全く予備知識がない人たちをターゲットにするのならば、やはり「ストレッチャー」には、脚注が必要でしょう。逆に、医療関係者をターゲットにしているならば、いちいち脚注をつける必要などないわけです。確かに、週刊誌と医学雑誌では、脚注のつけかたは全然違うわけですから。
 要するに「専門用語の羅列」というのは、「門外漢をシャットアウトする」という難点(あるいは効果)があるのです。
 ところが、いろんなブログを散見していると「関係者以外にも幅広く」なんてアナウンスしながら、こういう言葉に対してまったく配慮していないブログって、けっこうあるんですよね。そういうのは、明らかに「読んでいる人の顔が見えていない」ということになります。こういうのは専門家のサイトに限ったことではなくて、日記などでも、「新しく人を呼びたい」なんて言いながら、いきなり「このあいだの件だけど…」とかで書き始められているブログも少なくないんですよね。そんなの、来た側からすれば、自分抜きで話が始まってしまっていては、面白くもなんともないわけで。
 でもまあ実は、小説などでも「あえて専門用語を解説しすぎないようにしている」作品が多くなってきたような気がしますし、あまりに懇切丁寧すぎるものというのは、かえって興味がわかなくなるのも事実なんですけどね。
 ただ、あまりにも「万人向け」というのは、結局「誰にとっても中途半端」なものになりがちだというのは、覚えておいたほうがいいと思うのです。
 

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