琥珀色の戯言

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電車男

電車男 スタンダード・エディション [DVD]

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今月は僕にとっての「中谷美紀強化月間」なので、まずは未見のこの映画から。
まあ、言ってみれば、「お前はどんなにオタクの格好していても、やっぱり山田孝之じゃないか!」とか、そこまでして主人公たちに名前をつけないのもヘンなのではないか?とか、いろいろ思ったことはあったのですけど、現代の「おとぎ話」としては、けっこう楽しめる作品だと思います。しかし、リアルオタクというやつは、あんなにちょっと見た目に気をつかっただけではそう簡単に抜けないような、負のオーラみたいなのがあるんだよ本当は!
そういう意味では、テレビ版の伊藤淳史の「電車男」のほうが、親近感がわいてくるのは事実。
そもそも、この映画って、「電車男」ダイジェスト版、という印象です。冒頭でいきなり「電車男」を名乗ってるし、ある程度「電車男」に対する予備知識がないと、わかりにくいのではないかなあ。
しかしながら、100分あまりとコンパクトにまとまっている、けっこう幸せなラブストーリーではありますので、平日の夜に気分転換に観るには、良質の作品ではあると思います。
それにしても、中谷さんにとっては、「エルメス役」って、あんまり面白くなかったのではなかろうか。なんかこう、「記号的」なんですよねエルメスって。
あと、映画やドラマでしか「電車男」を知らない人には、ぜひ一度本になっている「電車男」を読んでみてもらいたいです。
あの最後の「祝祭のアスキーアートの渦」を見るたびに「インターネットの善意」みたいなものを少しだけ信じてみたくなるので。

電車男

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付記:「電車男」と中谷さん
ちなみに、中谷美紀さんは、「嫌われ松子の一年」のなかで、「電車男」のエルメス役について、こんなふうに書いておられます。

 編集用コンピューターのオペレーターとして監督の隣に座って、いつも横パンチを食らっている小松さんが『電車男』を見に行ってくれたそう。
「でもこいつ、あんまり面白くなかったって言ってたよ。中谷さんが良くなかったって」
 監督は相変わらず辛辣なことを言う。
「ああ、その通りですよ。私にとってあれは負け戦でしたから。まあ、そういう時もあるよなあっていう感じです」
 私が演じたエルメスは、実在する人物なのに、みんなにとっての憧れで、どこかベールに包まれていて、ある種の虚像のような人間で、実際に演じてみるととても難しかった。できる限りのことはしたつもりだけど、未だに自信がない。

 やっぱり、役者にとって「演じにくい役」というのはあるのだろうなあ、と考えながら、このコメントを読みました。「負け戦」っていうほど酷いものではないと思うのだけど、結局「エルメス」っていうキャラクターは、「人間的」じゃない存在なのかもしれませんね。TV版では、「人間・エルメス」を時間をかけて描いていたみたいですけど、映画の100分では、そういうわけにもいかないだろうし。

 しかし、最近DVD観るのも、上映時間が120分を超えるとちょっと食指が動かなくなってきました。10年前くらいは「長ければ長いほどいい」くらいの気持ちだったんですけどねえ。正直、90〜100分くらいが丁度いい。

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