http://karina.vivian.jp/archives/mimi/post_589.php
↑のエントリ、興味深く読ませていただきました。
実のところ、僕は現代文学を読みはじめたのって本当にここ10年くらいのもので、それまではお金も無かったし、「文庫になっている本のなかで、面白そうなものを読む」というのが僕の読書傾向でした。ちなみに、僕は「恋愛小説」というやつが大の苦手だったので、雑学の本とか、歴史小説、推理小説などを好んで読んでいたような記憶があります。
そういえば、昔「ノルウェイの森」で、主人公ワタナベ・トオルの寮の先輩の永沢さんという人について、こんなことが書かれています。
僕は人生の過程で数多くの奇妙な人間と出会い、知り合い、すれちがってきたが、彼くらい奇妙な人間にはお目にかかったことはない。
彼は僕なんかははるかに及ばないくらいの読書家だったが、死後三十年を経ていない作家の本は原則として手にとろうとはしなかった。
そういう本しか俺は信用しない、と彼は言った。
もちろん永沢さんは架空の人物なのですが、
- 作者: 岡野宏文,豊崎由美
- 出版社/メーカー: ぴあ
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- メディア: 単行本
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あるいは、
http://www.tohan.jp/tohan-news/05-12-05.html
↑にトーハンの2005年度のベストセラーランキングを紹介しておきますが、ここに紹介されている本のなかで、「30年後も読まれている本」は、さて、どのくらいあるのでしょうか?ちなみに「文芸」はこちら(http://www.tohan.jp/tohan-news/05-12-05a.html)
しかしながら、僕は最近はけっこう好んで「新刊書」を読むようになりました。その原因としては、やはり「ネットで感想を書こうと思って」というのが大きいのではないかと思います。つまり、「ネット依存」「ブログ依存」が、読書傾向にまで影響を及ぼしているのですよね。せっかく本を読むのだったら、ブログのネタにしたいとか、誰かと感想を語り合いたい、とか。
たぶん、「ベストセラーを読む心理」のなかには、「多くの人との共通体験をしたい」という要素が大きいのではないでしょうか。
純粋に「効率」で考えれば、「世界の名作」(それこそ、村上春樹さん激賞の「カラマーゾフの兄弟」とかね、僕には長いし人の名前の区別がつかなくて辛いですが)を読んだほうがいいような気はするんですよね。国内の小説でも「作者の死後30年」とまではは言わなくても、「発表後10年」でも、だいぶ淘汰されそうです。
そういう意味では、僕は最近、ちょっと自分の読書に主体性が無くなってきているのではないかと反省しているのです。「本当に読みたい本」を昔ほど、読んでいないのではないか、と。
前述の永沢さんには、こんな印象的な言葉もあるのです。
他人と同じものを読んでいれば他人と同じ考え方しかできなくなる。そんなものは田舎者、俗物の世界だ。
まともな人間はそんな恥ずかしいことはしない。
ああ、耳が痛い……
ところで、僕の場合、今までで「自分の人生に影響を与えた本」「記憶に残っている本」の多くは、「歴史の淘汰に耐え抜いた『名作』」でも、「リアルタイムでしか読めない『新刊本』でもなくて、「リアルタイムで出逢った『名作』」なんですよね。
むろん、そんな幸運な出会いなんて滅多にないし、非効率的なかぎりなのですけど。