琥珀色の戯言

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必笑小咄のテクニック

必笑小咄のテクニック (集英社新書)

必笑小咄のテクニック (集英社新書)

 翻訳家・エッセイストの米原万里さんによる「人を笑わせる話のツボ」をさまざまな角度から紹介した本。「笑い」が好きな人、ユーモアがある文章を書きたい人にとっては、とても参考になる本だと思います。まあ正直「笑い」のセンスとしては、ちょっと前時代的なんじゃないかな、という気がするし、「笑い」といっても「爆笑」というよりは、唇の端をちょっと歪めてニヤリ、という感じのシニカルなジョークが多いのですが。
 正直、米原さんの政治的な言及、とくに小泉・ブッシュ批判については、典型的な「良心的知識人」っぽくてやや引いてしまうのですが(もちろん、ある種の「笑い」は「政治」を無視しては語れないところはあるにせよ)。
 それにしても、米原さんってこんなに豪快な人だったとは!

 この本の末尾には、2005年の晩秋に書かれた米原さん自身による「あとがき」があります。
 それを読んで、癌の転移を知りながら、この「笑い」についての本を執筆されていたということを思うと、なんともいえない気持ちにさせられてしまうのですけど。
 人間にとって、切実に「笑い」が必要なときって、「笑えない状況」のときなんですよね、きっと。

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