琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

ブロガー堕落論

http://d.hatena.ne.jp/kotoko/20060710
http://d.hatena.ne.jp/screammachine/20060710#p1
時をかける少女(http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/index.php)」という映画の「ブロガー試写会」に参加された方々のレポートがいくつか公開されているのですけれど、何人かのブロガーたちの「絶賛」を読んで、僕も観てみようかな、と思ったのと同時に、やや黒い気持ちが僕の心にわきあがってきたのです。

試写室というものに行くのが生まれて初めてだったので、一人用の皮張りソファーだキャー座り心地いーなーキャーってなりました。しかも紹介書く時ように画像もくれたー! しんせつー! 平民の子なのでこういうことでキャッキャします。

と、id:kotokoさんは書かれていて、こういう経験が無い僕は、ちょっと羨ましいなあ、なんて思ったりもしていたのですけど、その一方で、「でもさあ、そんな『特別扱い』されて、本当に率直な感想とか書けるのかな?」とも感じたのですよね。
僕が同じ立場で「ご招待」とかされたら、やっぱり、「手加減」しちゃうんじゃないかと。
(ちなみに、↑の2つのブログを挙げさせていただいたのは、このお二方は、ちょっと「いやー有名ブロガーのみなさん、どうぞどうぞこちらのVIP席へ」なんていう扱いを受けても、そう簡単には「転ばない」人だと僕が判断しているからなので、悪意はないです。本当に転んでそうな人を挙げると洒落にならないので。お二方、どうもすみません)

メディアの映画の紹介記事が、「提灯記事」になりがちな理由のひとつとして、そこに「配給会社などの製作サイドとの馴れ合いの構造」があって、ブロガーの多くは、そういう「利害構造」にかかわりのないところで「メディアには出てこない、本当の感想」を書こうとしているわけです。
でも、こうして「ブロガー試写会」に「招待」されちゃったりするというのは、「人気ブロガー」というのもまた、ひとつの「権威」であり、やりようによっては、多少でも「利益」を生み出す可能性がある存在だということなのですよね。
そして、それはまた、ブロガーが「馴れ合いの構造」に取り込まれていく可能性も示唆しているのです。

「ブロガーとは何者なのか?」http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20060627#p2
というエントリで書きましたが、実際、ブログというのも大きくなればひとつのメディアですし、ブロガーのなかには「プチマスコミ化」していく人も出てくるでしょう。
そして、最初は「メディアには書けない「本音」を書くのだと心に決めていた人々も、それが自分の収入源になったり、名刺代わりになったりするようになれば、いろいろな「しがらみ」にとらわれてしまうことになるはずです。「こんな記事ではクライアントからクレームが来るから、金は払えない」という反応に、「じゃあいいです」と言えるのか?それとも「お金が貰えるように手直しする」のか?
最初は、「金なんて関係ないから、書きたいことを書く」と思っていた人でも、いちどそれで収入や名声を得ることを覚えてしまったら、その座にしがみつくために、「堕落」してしまう可能性は十分にあると思います。
今、僕たちが「自分を特別な人間だと思い込んでいる、傲慢なマスコミ」だと叩いている人たちだって、最初から、「そういう人」になろうと思っていたのではなくて、理想に燃えていたにもかかわらず、「生きていくため」に堕落してしまった人たちが大多数なのではないでしょうか。

いやまあ、試写会に行ったから「堕落」だ、とか言うつもりはさらさらないのですけど、結局、人気ブログというのは、「堕落」していく危険性と紙一重なのでしょうし、ブロガーとして何かを得ようと思えば、何かを失う覚悟は必要なのでしょうね。

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