琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

まほろ駅前多田便利軒

まほろ駅前多田便利軒

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三浦しをんさんの直木賞受賞作。
文藝春秋発行という点を除いては、今回の直木賞レースでは、ほとんど無印に近い扱いだったのですが、非常に読みやすい良作だと思います。そういえば、「めった斬り」のなかで、「これはBL(ボーイズラブ)小説なんじゃないか?」という感想が出ていたのですが、
http://www.nikkeibp.co.jp/style/life/topic/literaryawards/060710_4th/index3.htmlを参照)
僕も正直「いい話」なんだけど、これって、「女性が描く、ちょっと歪んだ男の友情モノ」の典型的なパターンのひとつだよなあ、と感じました。この本には、主要登場人物としては、「感情を持った女性」がほとんど描かれていませんし。多田の「打ち明け話」には、「女って、結婚って怖いよなあ」と思いましたけど。だって、そういう話って、僕たちの周りにもけっこう転がっていますしね。
そして、他人を許せない自分が許せないっていうのも、「そういうのってあるよなあ」と共感してしまいました。
ただ、この場合多田は悪くないよね絶対。それでも、心が動いてしまうことがあるのが人間。

しかし、女同士って「ルームシェア」とかやりますが、男っていうのは基本的に共同生活ってしませんよね。大人の男同士の共同生活って、僕にとってはそれだけですでにファンタジーなんだよなあ。僕は読みながら、ちょっと気恥ずかしかったです。
結局のところ「異性からみた男同士の腐れ縁」って、こんな感じなんでしょうね、たぶん。

高校生の本好き女子とかには、けっこうオススメできると思います。ちょっとオトナの男の世界を垣間見たような、そんな気分になれますぜ。
まあ、こういう「読みやすくて、面白い本」が、直木賞を獲るというのは、悪いことじゃないとは思うんですけどね。

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