(by「オトナファミ」2006・SUMMER(エンターブレイン))
インタビュアー:オリジナルと変わってしまってかまわないよ、とおっしゃられたとか。
筒井康隆:物語の骨格、ロマンティシズムはそのままに、主人公を含め登場人物のキャラクターが全く変わっています。現代的になったんだけど、それでいいと思うんだよ。今まで何度もドラマ化されたけど、みな原作通りでちょっと飽きてきてた(笑)。
インタビュアー:先生の膨大な作品の中でなぜ『時かけ』が特に注目されるのでしょう。
筒井:僕の作品の中では異質だよね。逆に言えば他の作品が映画化しにくいんじゃないのかな。例えば『旅のラゴス』も、ずいぶんお話をいただきましたけど、なぜか全部頓挫しちゃった。いっぺんに2社から映画化の話が出て、折り合いがつかなかったりね。『パプリカ』映画化も資金的な問題でダメになった。今度こそアニメ化されますけどね。『富豪刑事』も何度か話があったけど、カネがかかり過ぎるってね。
インタビュアー:では深田恭子さん主演のテレビドラマ『富豪刑事』が実現に至ったのは。
筒井:あれはもう覚悟の上で、そうとうカネをかけて作ったんですよ。とにかく衣装から道具から高価だし、料理代が1回100万円だよ。
御大・筒井康隆先生のインタビュー。
僕も大好きな『旅のラゴス』も「すいぶん映画化の話があった」というのは初めて知りました。どんな映画になっていたのだろうかと思うと、観てみたいような、観るのが怖いような。
ちなみに、↓のように筒井作品はけっこう映画化されているのですが、
http://www.ex.biwa.ne.jp/~sasaki/list_syutuen.html(本人出演作品も含まれたリスト)
今まで商業的に「大ヒット」と言えるようなものは、原田知世主演の角川映画「時をかける少女」くらいしかなかったんですよね。
筒井作品のなかでは、ある意味もっとも「異端」である『時かけ』が、もっとも映像化された筒井作品として世に出ているというのは、なんだか不思議な話ではあるのですけど。