http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200608170002.html
事件発生から10年。
この逮捕の報道を見て、僕はかなり後ろめたい気分になりました。正直、僕はジョンベネちゃんの両親がこの凶行にかかわっているのではないかなあ、と思い込んでいたものですから。当時のメディアには、それを「示唆」するような情報が、けっこうたくさん流れていましたし。
こうして事件は解決の方向に(たぶん)向かっているのですが、結局、あの両親の「失われた10年」は、誰も補償してはくれないんですよね。メディアは知らん顔して「難事件が解決の方向へ」と言っているけれど、彼らはその「剣より強い」力で、ジョンベネちゃんの両親を責め続けていたのです。それで、「真犯人」が見つかってみれば、踵を返して「ようやく容疑者が逮捕されたことについての感想を」と。
あの「松本サリン事件」でも、「冤罪報道」の被害にあった河野義行さんに対して、結局のところメディアが果たした「責任」は、ごくわずかな紙面を割いての「謝罪」や「お詫びと訂正」だけでした。
今回の件で、あらためて、「メディアの力は怖い」とあらためて思い知らされました。彼らは「殺人犯」を作り出すことが十分に可能であり、もしそういうミスがあったとしても、「責任」に関しては知らんぷり。でも、その一方で、僕らは「事件」そのものも「容疑者逮捕」も、メディアを通してしか知ることができないのです。そもそも、今回の「容疑者」だって、本当に真犯人かどうかは、まだわからないのだけどさ。
たぶん、こういう状況を変えるためには、メディアの情報を受け取る側が、興味を引くために造られたゴシップ記事や思い込みによる報道に「踊らされない」という姿勢が不可欠なのだと思います。しかしながら、「ペンの権力」のあまりの大きさには、何をやってもかなわないから、なんとか自分だけは生贄にならないようにと祈るしかないのかな、という絶望的な気分になってしまうのも事実です。