琥珀色の戯言

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文学賞メッタ斬り! リターンズ ☆☆☆☆

文学賞メッタ斬り!リターンズ

文学賞メッタ斬り!リターンズ

 あの「文学賞メッタ斬り!」が帰ってきた!ということで、かなり楽しみにしていた本。これだけ分厚い本なのに、3日で読み終えてしまったので、やっぱり「面白い本」であるのは間違いありません。
 ただ、前作「文学賞メッタ斬り!」に比べると、僕にとってはやや物足りないところもありました。
 ひとつは、最近の芥川賞直木賞に言及された部分が、ネットで書かれていたものの転載だったことです。僕はこれを毎回ネットで楽しみに読んでいたものですから、やっぱり新鮮さはありませんでした。そもそも、こういうのって、受賞作決定前に読んだほうが面白いに決まっているわけで。
 あと、「メッタ斬り!文学賞」というのががワールドカップ形式で行われているのですけど、これがあんまり面白くない。グループリーグとかトーナメント形式の意味もよくわかんないし、そのわりにはけっこうページ数を多くとっているし。「メッタ斬り!選考委員S−1グランプリ」とかのほうが良かったんじゃないかなあ。
 そして、最も今作でがっかりしたのが、「文学賞ガイド」の部分が無かったことなんですよね。多少なりとも文学賞に応募してみようかな、なんていう色気のある人間にとっては、あのコーナーはかなり役に立っていたし、あれから2年半(くらいじゃ変わらないってことなのかもしれないけど)で、それぞれの文学賞の位置づけとか傾向がどういうふうになっているのかという再分析を期待していたのに。結局、「文学賞メッタ斬り!」というよりは「文学賞受賞作品メッタ斬り!」という感じで、単なるブックガイド化してしまっているようで残念でした。
 と、文句ばかり書いてしまったのですけど、僕の期待とは傾向が異なってはいたものの「本好きにはコタエラレナイ本」であることは間違いありません。最近の小説を読んでみたいけれど、何を読んでいいのかよくわからない、という人にもオススメです。ただ「文学賞」について知りたい人は、この本よりも「メッタ斬り!」のほうを先に読んだほうがいいと思います。前作が「ロードランナー」だとしたら、今作は「チャンピオンシップロードランナー」みたいな感じです。前作で物足りなかった人には満足感を与えてくれるでしょうけど、いきなりこちらから始めるのは、ちょっと厳しい。

文学賞メッタ斬り!

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