琥珀色の戯言

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インド旅行記 ☆☆☆☆

インド旅行記〈1〉北インド編 (幻冬舎文庫)

インド旅行記〈1〉北インド編 (幻冬舎文庫)

 中谷美紀さんが、「嫌われ松子の一生」の撮影後、インドに一人旅に出たときの日記をまとめた本。

嫌われ松子の一年

嫌われ松子の一年

↑の本を読んだときにも驚いたのですが、中谷さんという人は非常に感受性が豊かで文章も巧みな人みたいです。この「インド旅行記」も僕にはかなり興味深く読めました。
 ただ、この本に関しては、一般的な「旅行ガイド」とか「インドの魅力を紹介する本」というよりは、「女優・中谷美紀の内面を浮き彫りにしている作品」というふうに考えたほうがいいと思います。実際、インドに1ヶ月間も逗留できる旅行者はほんのわずかでしょうし、中谷さんは「ヨガ」という興味の核があればこそ、こうして長い滞在もできたのでしょうが、インドのローカルガイドや土産物屋との攻防や一筋縄ではいかない「めんどくさい人々」との交流を読んでいると、なんだか、読んでいるだけの僕のほうが日本に早く帰りたくなってしまったくらいです。まあ、それだけ「率直な旅行記」ではあるのですよね。
 中谷さんとインドに興味がある人には文句なくオススメできますし、中谷さんだけに興味がある人にもオススメして良いでしょう。ただ、「インドのことが知りたい」人は、「河童が覗いたインド」とか「インドでわしも考えた」のほうが良いかもしれません。これだけ「紹介されている場所に行くのをためらわせる旅行記」というのも珍しい。
 僕はこれを読んで、「とりあえずタージマハルだけ行って、そのまま日本に帰ってきてもいいかな」と思ったくらいです。

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